今年5月、「“サッカー王国”崩壊危機! J1から「意識だけがビック」の静岡勢が消える!?」(参照記事)という記事を寄稿した。
J1リーグ第13節を終えた段階での記事だったため、清水エスパルスを愛するサポーターからは、「まだファーストステージだからわからない」「嫌味な記事だ」と批判的な声を多く頂いた。だが、今月17日、清水エスパルスのJ2降格が決まってしまった。
今なら冷静に振り返れると思うが、第13節の時点で勝ち点10しか獲得できていないのは非常に危険だった。とあるサッカーライターも「近年の結果からJ1リーグに残留する条件を考察すると、勝ち点43以上が必要。失点数が多いチームも危険」というが、清水エスパルスの失点数は、この時点で20台に突入していた。完全に、お尻に火が付いた状態だった。
にもかかわらず、清水エスパルスに対する批判の声は少なかった。どこか余裕さえ感じられた。「エスパルスのサッカーを見つめ直そう」という合言葉でチームを鼓舞するのではなく、「J1残留」をテーマに泥臭く勝ち点を取れる監督を招へいすべきだった。やはり、どこか「意識だけがビッグ」だったのだろう。
そんな清水エスパルスが降格した理由について、サッカー関係者は「アフシン・ゴトビ監督を切るべきではなかった」と話す。
「ゴトビ元監督は、戦術は見事なのですが、人心掌握術に欠けていたんです。特に経験のある選手たちの心をつかめない。なので、選手たちから反発を受けてしまった。ミックスゾーンでは、親しい記者に『あいつがいるから……』とゴトビ監督を批判するような声が、解任される1年前から、ちらほらと出始めていた。それを察知したクラブ側が、ゴトビ監督を解任した。結果論でいえば、切るべきだったのは、ゴトビ監督ではなく、造反する選手たちだった。もしくは、監督と選手の間にコーチを入れることだってできた。にもかかわらず、ゴトビ監督を切ったのは、選手たちを、サポーターやクラブ側が評価しすぎてしまった。違う監督を連れてくれば、上位にいけるのでは? と思い込んでしまった」
ゴトビ監督だからタイトル争いができなかったのではなく、ゴトビ監督だからJ1残留ができていたというのが実際のところだった。ゴトビ監督を切ってから、2年連続でJ1残留争いに巻き込まれてしまった事実が、それを物語っている。
清水エスパルスが再出発できるかどうかは、自らの立ち位置を理解できるかどうかにかかっている。
(文=TV Journal編集部)