昨年10月、サントリー食品インターナショナルが発売した『伊右衛門 特茶』は、脂肪の分解に着目した初めての特保飲料。ポリフェノールの一種「ケルセチン配糖体」を配合し、“体脂肪を減らすのを助ける”という。
飲料は100万ケースでヒットといわれるが、わずか3カ月で300万ケースと特大のヒットとなり、夏場に向けて加速している。
大ヒットの要因を、食品事業本部ブランド戦略部の新関祥子(にいぜき・さちこ)さんは「これまで特保は350ミリリットルが当たり前だったが、伊右衛門ブランドで出すことを決め、500ミリリットルのボトルで出したこと」という。
開発のきっかけは7年前に遡(さかのぼ)る。当時、「黒烏龍茶」のヒットで特保市場の可能性を実感。「特保需要のキーワードは脂肪」(新関さん)と研究が始まり、脂肪減少効果があるケルセチン配糖体にたどりついた。
ケルセチン配糖体とどんな飲み物と組み合わせるのかについて検討が行われ、最終的に伊右衛門シリーズの1つとして売り出されることが決まった。
新関さんは当初、「お客さまは(伊右衛門で特保を出すことに)違和感があるかなと思ったが、知っているブランドなので品質は信頼してもらえる」と思ったという。これで「効果が期待できる特保でかつ美味しい」という開発コンセプトが決まる。
しかし、これは矛盾した要求だった。特保の効能を追求すれば美味しくなく、お茶としての美味しさを追求すれば「効かなそう」と見られる。「お腹がダブダブになる」(同)ほど試飲を繰り返し特保らしさと緑茶らしさの両立を求めた。最後は大規模なモニター調査を行い味や風味、パッケージを決めた。
CMには、伊右衛門シリーズに出演している俳優の本木雅弘と宮沢りえを起用、“伊右衛門シリーズの一環”であることを打ち出す一方、本来の設定が江戸時代の茶名人であるのに対し、「特茶」では設定を現代に置き換え、脂肪分解のアイコンで“機能”を訴えた。特保飲料らしさもアピール、「お茶らしさと特保らしさの絶妙なバランスを狙った」(同)。
CMの効果は大きく、伊右衛門からの特保が出たことが伝わり、「1回飲んでみたい」という消費者の反応を引き出すことに成功する。
また、価格戦略にも苦心した。500ミリリットルにしたことで、小売店では通常の伊右衛門や他のペットボトルの茶と同じ棚に位置されることになる。他がコンビニで120円前後で売っているのに対し、その差はいくらが妥当か。
「100円では高すぎるし、20円では効かないと思われる」(同)と調査を繰り返し、現在の約50円の価格差にたどり着いた。この価格戦略が特保飲料ユーザーには割安感を与えた。
その一方で、ペットボトル茶のユーザーには「どうせ飲むなら、1本、買い換えるか」という予想外の需要も引き起こし、2つの異なる層を取り込むことに成功、大ヒットした。 (村上信夫)
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