三菱自動車が軽自動車の燃費性能を実際よりも高くみせかけていた問題で、国土交通省は20日、道路運送車両法などに違反している疑いもあるとみて行政処分の検討を始めた。三菱自動車には27日までに詳細な報告をするよう指示した。クレーム隠しなど不正を繰り返す三菱自動車。今回も外部の指摘がきっかけで問題が発覚しており、同社幹部は記者会見で「自浄作用が働いていない」と認めざるを得なかった。
国交省は20日、同法に基づき三菱自動車の名古屋製作所・技術センター(愛知県岡崎市)に立ち入り検査を実施した。
国内の自動車メーカーなどにも、同様の不正がないかを5月18日までに報告するよう指示した。同省幹部は今回の問題を「データを恣意(しい)的に変えたと理解している。自動車検査の信頼を損なう」と重大視している。
20日午後5時すぎ、国交省で開かれた三菱自動車の緊急の記者会見で、相川哲郎社長は「燃費を実際よりも良く見せるため、不正な操作が行われていたことが判明しました」と硬い表情で語り、中尾龍吾副社長、横幕康次開発本部長とともに深く頭を下げた。
3人は会見で不正が意図的だと認めたものの、理由については「調査中」などと説明。消費者や販売店に対して早期に対応する姿勢を見せたが、具体策は「決まっていない」とした。
三菱自動車をめぐっては平成12、16年と相次いでクレーム隠しが発覚。横浜市の母子死傷事故では、警察の捜査が進む中でリコールを届け出ていた。
再出発を誓って社内横断の品質担当の部署の設置や内部通報制度の整備など、品質問題に対応してきたはずだったが、今回の不正発覚は、軽自動車の次期車を共同開発する日産自動車からの指摘だった。
「体質が変わっていないのではないか」。こう質問された相川社長は「そういう見方を重々承知している。石垣を積むように改善してきたが、全社員にコンプライアンス意識を徹底することの難しさを感じている。非常に無念」と語り、中尾副社長も「自浄作用が働いていない」と述べた。