「トランプリスク」と「安倍リスク」
「魚は頭から腐る」とはロシアの格言らしいが、この格言がいま最も当てはまるのは、アメリカと日本ではないかと危惧される。
「トランプリスク」はアメリカと世界を、「安倍リスク」は日本を確実に衰退に向かわせている。
山本二郎法大教授によればこの疫病神の様な二人の共通点は、以下多少の修正を加えると次の通りである。
①自己愛が極めて強く幼児性の強いリーダーが権力を握って好き放題、政治の私物化を行っている。②二つ目は自己愛の裏返しとして批判や攻撃に対し極めて不寛容で敵対的になる。攻撃の仕方が極めて幼児的で軽薄そのものである。③3番目は相手を攻撃し、或いは責任を回避する際に嘘、偽り,出鱈目をためらわず、ありとあらゆる手段を使う。それが嘘であることがバレても一向に恥じるところが無い。「主観的にこうあって欲しい」と思う事と「客観的に物事はこうである」という両者の区別がつかない、つまり事実と虚構の区別がつかない反知性主義の典型ということになる。
④4つ目は権力の過剰な乱用である。行政は元より司法にまで手を伸ばし自分達のカラーに変えてしまう。内閣法制局を首相がコントロールし憲法解釈迄変えてしまうという事件があったが、二人とも権力の源泉である人事権を徹底的に活用する。
トランプの場合は「You're fired!」であり、安倍の場合は官邸主導の人事である。アメリカの場合は気骨のある政治家や官僚が居たので多くは辞任したが、日本の場合は平目役人が増え、首相や政権の意向・期待を過剰に忖度し、更には首相や政権の嘘を隠す為の嘘、文書の改竄の積み重ねが常態化してしまい、行政に止まらず会社を始めあらゆる団体・組織、スポーツ界に至るまで社会全体のモラルが完全に地に落ちてしまった。日本のモラール・活力の疲弊は目を覆うべき物があり日本の行く末が極めて憂慮される。
「トランプリスク」は世界的影響度の大きさから事態は深刻である。
トランプの物差しには「自分ファースト」、「金」、「損か得か」「勝つ為のハッタリ、恫喝」、「選挙対策」しか無いように見受けられる。
グローバル化の進んだ世界では人種・宗教・考え方・利害の相違が必ず存在し世界的な調和を図る為には常に相手の立場や状況を考え問題の対応に当たるという姿勢・態度が不可欠である。
アメリカ・ファーストしか念頭にないトランプにとってはグロ―バルという意識が完全に欠如している。又全身醜い欲望の塊の様なこの人物には相手に対する敬意や尊敬の念はもとより社会人として必要不可欠な礼儀・常識が欠如しているとしか思えない。トランプの下品・粗野な演説に狂気・乱舞するアメリカの聴衆の映像を見ているとアメリカよどこへ行く、大丈夫かという懸念が益々大きくなる。
共和党主流派や民主党、とりわけオバマ前大統領やクリントンの様な知性と権力が結びつくことへの、大衆の反感が如何に根強いか、反知性主義こそトランプの原動力であることは疑いない。
しかしトランプの傍若無人な外交姿勢に世界は少しずつアメリカと距離を置き始めた気がする。
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