世界の異常気象…続編―(1)
この夏、8階の自室の窓から眺めると、遠く東京湾、相模湾、房総半島沖、鹿島灘方面一帯に、出来たばかりで薄く、従って真っ白な巨大入道雲がモクモクと言う表現其の儘に勢いよく立ち上がり、近くには黒くて厚い大きな塊の雲があちこちに浮遊し、凡そ今迄日本では余り見た事の無い様な風景が連日続いた。時には突然黒い雲が集まって、周りが暗くなり、雷鳴が轟いて大粒の雨が地面を叩き付ける。
40年前の5年間泰国滞在中、6月から11月頃に掛け毎日見ていたのと同じ光景である。少し違うのは泰(タイ)では雷鳴と大粒の雨,所謂豪快な(スコール)の回数が圧倒的に多かったことだろうか。
最近の雲の様子や、連日の猛烈な暑さから日本の夏は熱帯性気候に替わりつつあるのではないかという疑念さえ浮かぶ。
熱帯地方のタイにも季節の変化は有る。ニューヨークやロンドンから訪ねて来た人達から、よく気候の事を聞かれたが、タイの気候変化は「(Hot),(Hotter and Humid),(Hottest)」(=乾期・雨季・暑季)の3つだと説明すると、相手は合点が行ったのか、親指を立てニンマリする事が多かった。日本の気候もここまでは行かない迄も,四季が無くなりつつあると言う懸念の声をよく耳にするようになった。
厳しい夏と冬の間に精神的にも肉体的にも優しい春と秋が明確に実感出来てこそ、日本には素晴らしい四季があると言えるのではないか。長く厳しい酷暑に痛めつけられ、紅葉も早々と枯葉となって姿を消し、秋を愛でる間もなく、一部地域での突然のドカ雪とスキー場の雪不足のアンバランスだった冬、待ちかねた春も年々桜の開花が早くなり、高温続きと異常ともいえる花粉の到来、春と秋を明確に実感出来なくなっているのを多くの人が感じ懸念の声に繋がっているのだと考えられる。
我々日本人にとって春の大きな楽しみの一つは桜開花の知らせである。過って桜の満開は4月の入学式と結び付けられていたが、最近は3月の卒業式に満開になる事が多くなった。気象庁の開花データでも、2000年代迄は3月下旬~4月初旬だったのに対し、最近では3月中旬~下旬に開花するケースが増えている。最近の研究では開花時期が早まるだけでなく、(桜開花前線)と言う様な美しい言葉も無くなり、全国一斉に開花したり、地域によっては桜が咲かなくなる可能性も出てきているらしい。桜の花芽の成長に必要な3~10度前後の「休眠打破」が不足して居る為、咲いてもちらほら咲きの淋しい状況で終わる例も報告されている。季語「花冷え」も無くなるかもしれない。
気象庁は2023年3月の日本の月間平均気温偏差が観測史上最高の+2.75℃だったと発表した。公表されているデータから、過去100年、年々平均気温が上昇しているが、特に2010年代中頃から3月の平均気温が過去にない勢いで上昇していることがわかる。 3月以外の月もここ10年は概ね上振れトレンドにあるが、特に3月に限っては伸びが著しいといえる。
気象庁が規定する春は3~5月であるが、その暦に合わせる様に、1日の夜に関東地方で春一番が吹き、例年の様にすぐさま寒さがぶり返す気配も無く、其処を境にそのまま春本番に突入した。最高気温も最低気温も2月に比べ様変わり、最高気温が20度近辺を維持する日が続いたのである。
特に3月下旬、記録的な最高気温を観測した所があった。札幌市は22日19.1℃、大阪市は同日22日25.2℃で、いずれも統計開始以降3月の1位の値を更新、東京都心では、24日25.0℃で、統計開始の1876年以降、3月の4位になった。何故この様に日本列島が暖気に包まれたのか、大きな原因は偏西風の蛇行である。
2月中旬、北極の上空で、大規模な成層圏の突然昇温が始まり、気温が数日で(-60度)から(-30度)へと30度以上も上昇した。成層圏の突然昇温により、北極を取り巻く偏西風の流れが大きく変わり、日本付近では北側に蛇行し、暖かい空気を引き込むことになったと報告されている。
「暑さ、寒さも彼岸まで」と言われるが、今年は彼岸の日より20日以上も早く寒気が去った。その伝で行けば、9月のお彼岸、暑さはどうなっているだろうか、興味津々である。
(成層圏突然昇温とは、冬に北極や南極の成層圏(高さ10kmから50km程度の大気)の気温が数日間で数十度も上昇する現象で、1952年に発見され、その後の研究で異常気象の原因の一つとされている)
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この夏、8階の自室の窓から眺めると、遠く東京湾、相模湾、房総半島沖、鹿島灘方面一帯に、出来たばかりで薄く、従って真っ白な巨大入道雲がモクモクと言う表現其の儘に勢いよく立ち上がり、近くには黒くて厚い大きな塊の雲があちこちに浮遊し、凡そ今迄日本では余り見た事の無い様な風景が連日続いた。時には突然黒い雲が集まって、周りが暗くなり、雷鳴が轟いて大粒の雨が地面を叩き付ける。
40年前の5年間泰国滞在中、6月から11月頃に掛け毎日見ていたのと同じ光景である。少し違うのは泰(タイ)では雷鳴と大粒の雨,所謂豪快な(スコール)の回数が圧倒的に多かったことだろうか。
最近の雲の様子や、連日の猛烈な暑さから日本の夏は熱帯性気候に替わりつつあるのではないかという疑念さえ浮かぶ。
熱帯地方のタイにも季節の変化は有る。ニューヨークやロンドンから訪ねて来た人達から、よく気候の事を聞かれたが、タイの気候変化は「(Hot),(Hotter and Humid),(Hottest)」(=乾期・雨季・暑季)の3つだと説明すると、相手は合点が行ったのか、親指を立てニンマリする事が多かった。日本の気候もここまでは行かない迄も,四季が無くなりつつあると言う懸念の声をよく耳にするようになった。
厳しい夏と冬の間に精神的にも肉体的にも優しい春と秋が明確に実感出来てこそ、日本には素晴らしい四季があると言えるのではないか。長く厳しい酷暑に痛めつけられ、紅葉も早々と枯葉となって姿を消し、秋を愛でる間もなく、一部地域での突然のドカ雪とスキー場の雪不足のアンバランスだった冬、待ちかねた春も年々桜の開花が早くなり、高温続きと異常ともいえる花粉の到来、春と秋を明確に実感出来なくなっているのを多くの人が感じ懸念の声に繋がっているのだと考えられる。
我々日本人にとって春の大きな楽しみの一つは桜開花の知らせである。過って桜の満開は4月の入学式と結び付けられていたが、最近は3月の卒業式に満開になる事が多くなった。気象庁の開花データでも、2000年代迄は3月下旬~4月初旬だったのに対し、最近では3月中旬~下旬に開花するケースが増えている。最近の研究では開花時期が早まるだけでなく、(桜開花前線)と言う様な美しい言葉も無くなり、全国一斉に開花したり、地域によっては桜が咲かなくなる可能性も出てきているらしい。桜の花芽の成長に必要な3~10度前後の「休眠打破」が不足して居る為、咲いてもちらほら咲きの淋しい状況で終わる例も報告されている。季語「花冷え」も無くなるかもしれない。
気象庁は2023年3月の日本の月間平均気温偏差が観測史上最高の+2.75℃だったと発表した。公表されているデータから、過去100年、年々平均気温が上昇しているが、特に2010年代中頃から3月の平均気温が過去にない勢いで上昇していることがわかる。 3月以外の月もここ10年は概ね上振れトレンドにあるが、特に3月に限っては伸びが著しいといえる。
気象庁が規定する春は3~5月であるが、その暦に合わせる様に、1日の夜に関東地方で春一番が吹き、例年の様にすぐさま寒さがぶり返す気配も無く、其処を境にそのまま春本番に突入した。最高気温も最低気温も2月に比べ様変わり、最高気温が20度近辺を維持する日が続いたのである。
特に3月下旬、記録的な最高気温を観測した所があった。札幌市は22日19.1℃、大阪市は同日22日25.2℃で、いずれも統計開始以降3月の1位の値を更新、東京都心では、24日25.0℃で、統計開始の1876年以降、3月の4位になった。何故この様に日本列島が暖気に包まれたのか、大きな原因は偏西風の蛇行である。
2月中旬、北極の上空で、大規模な成層圏の突然昇温が始まり、気温が数日で(-60度)から(-30度)へと30度以上も上昇した。成層圏の突然昇温により、北極を取り巻く偏西風の流れが大きく変わり、日本付近では北側に蛇行し、暖かい空気を引き込むことになったと報告されている。
「暑さ、寒さも彼岸まで」と言われるが、今年は彼岸の日より20日以上も早く寒気が去った。その伝で行けば、9月のお彼岸、暑さはどうなっているだろうか、興味津々である。
(成層圏突然昇温とは、冬に北極や南極の成層圏(高さ10kmから50km程度の大気)の気温が数日間で数十度も上昇する現象で、1952年に発見され、その後の研究で異常気象の原因の一つとされている)
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