1990年(平成2年)に西陣から登場した旧要件ハネモノ「ドッカン島13」(ドッカン島P-1)
★賞球…オール13
★最高8ラウンド継続(10カウント機)
★ハネ開閉時間…オトシ0.3秒、ヘソ0.5秒×2
★大当り時、ヤクモノに3個まで貯留
★4カウントで貯留解除、その後は2秒貯留→解除を繰り返す。9カウントで貯留は完全解除。
★兄弟機…「ドッカン島11」(ドッカン島P-2)
ドッカン島11・・・賞球11個戻し(オール11)の兄弟機。大当り中の貯留数なども「13」と異なる。
今回紹介する「ドッカン島13」は、西陣ハネモノが神がかっていた頃の「名機」である。
思い返せば、旧要件時代に西陣がリリースしたハネモノは、どれも私の「ツボ」をグイグイ突いた。
その機種名をザッと挙げてみると…
パチンコ大賞、スケボーキッズ、マッハシュート、おジョーズランド、ミスターフォール、ワイルド4WD、CR-Vスペシャル、もちあげ隊、すし五郎、レッドライオンアルファ、バニーギャルズ、魔界組、ザ・拳法、ザ・カンフー、スペースドーム、赤兵衛、スーパーブラザース、アフリカンボーイ、ハワイアンドリーム、スペースファイヤー、ニューガオス、ニュー金棒くん、ももたろう、ベースボール、タンク、チェンジャーマン、ちんどんや、ちんどんショー、ダイスマン、グリーンベレー、フォートレス、大工さん、RX-5…
と、こんな感じである。
この機種名だけで、ドンブリ飯3杯いける…という方も、いるかもしれない(笑)。
現役時、ドッカン島13に遭遇したホールは、新宿・歌舞伎町の地下ホール「パチンコ747」、高田馬場駅前「コスモ」、小田急線・登戸駅前「ハトヤ」、隣の向ヶ丘遊園駅・北口「スター」などが思い出される。どの店も、ことハネモノに関しては安ゼニで遊べる台を多く置いていた。
バイト料が出る前の金欠期、これらの店でドッカン島などのハネモノを打ち、800個入りの小箱2箱ほど出して交換…という事をよくやっていた。
ハネモノを打つ限りは、財布に大変優しい時代だったが、バイト料が入った途端、一発台に食指が動いたりして、資金はあまり安定しなかった。さらに、スロの連チャン3号機が台頭すると、財布の中身も激しく変動した。
この時期、「西陣ハネモノ」というと、大抵は人気となり注目されたが、意外な事に、本機の注目度はそれ程高い方ではなかった。1990年11月から1991年12月までに「必勝G誌」が行った月イチ読者アンケートを見ると、ドッカン島13が「人気ハネモノランキング」ベスト10に入ったのは、たった1回のみ。しかも、その1回でさえ、ギリギリの「第10位」である(平成3年4月度)。
実に意外なデータだが、これは、本機がパチンコ大賞やスケボーキッズに比べて、ゲーム性で劣っていたという事ではない筈だ。おそらく、ドッカン島の設置から暫くして「新要件機」が登場し、ニューモンローやサンダードラゴン、ニュートキオといった大量獲得機が脚光を浴びた事と、少なからず関係があろう。上記アンケート結果は、新しいモノ好きのファンが新要件機に目を奪われただけで、本機は旧要件ハネモノのファンを十分満足させるスペックだった。
因みに、レトロファンの「聖地」だった東京・巣鴨「パチンコ天国」(閉店)には、長らく本機が設置されていた。当時、この店は文字通り、西陣・旧要件機の「天国」であった。
※西巣鴨「パチンコ天国」にあった西陣の旧要件ハネモノ
→レッドライオンアルファ、魔界組、スケボーキッズ、Mr.フォール、ドッカン島13、もちあげ隊、ワイルド4WDなど。
(新要件ハネモノは、ラブモーション、じゃじゃ馬キック、パックンザウルス、オメデタブラザーズなど。)
さらに、松本明子主演のパチンコドラマ「グッドラック」でロケ地となった、JR代々木駅東口「平和会館」にも、ドラマ撮影時(1996年)に本機が4台設置されていた。向かいのシマには、同じ西陣の「パチンコ大賞13」も7台並んでいた。ドラマでは、固定ハンドルで掛け持ちする悪質な客を、パチンコメーカー営業マンの祐二(原田龍二)が注意するシーンなどで、これらの機種が登場。
★本機のゲーム性について
「ドッカン島」(どっかんじま)という奇抜な名称は、海賊同士の「島争奪戦」をモチーフにしたと思われる。ヤクモノ内の玉が大砲によって左右にポンポンと動く様は、まさに「ドッカン」の名に相応しい。また、「島」といえば、文字通りパチンコ店の「シマ」にも通じる。
カマボコステージ両端の大砲=発射装置(これは左側)
ハネに拾われた玉は、まず上段ステージの二つの穴から真下に落ちる。左右どちらの穴を通っても、それ程の大差はない。ハネ開放時の独特な効果音(「波をチャプチャプ~」っぽい音)も特徴。
ヤクモノ奥にはアーチ型のカマボコ状ステージがあり、アーチ中央に開閉式の透明な橋がある。上段から落下した玉は、まずこの中央橋にアプロ-チする。
アーチ中央にある橋の開閉が、玉の動きに大きな影響を与えた。通常時、橋は下を向いて分断された状態だが、始動チャッカー入賞時や大当り中は、橋が上昇してアーチが「開通」する。
この時、橋が画像のように平行だと、上から来た玉はアーチ両サイドに流れ易い。一方、橋が「逆ハの字」の状態では、そのまま下方に行ったり中央に一旦貯留され易くなる。こうした橋の向きによって、ヤクモノ内の玉の動きも様々に変わる。
オトシ又はヘソの始動チャッカー入賞で、まず橋が上昇を開始して、続いてハネが開く。
この時、オトシ(1チャッカー)入賞時とヘソ(2チャッカー)入賞時では、ヤクモノの挙動が異なる。
オトシ入賞時は、橋が上昇して平行状態になるが、玉が橋にアプローチする段階で、すでに橋は下降を始めている。この下降動作に合わせて、玉は下段ステージ奥へと導かれるのだ。この時、続けざまにオトシに入賞すると、橋が下降する前に玉がヤクモノに入り、アーチ左右へと流れ易くなる。
一方、ヘソ入賞時は橋が上下動を2回行うが、最初の下降では橋が完全に下りず、「逆ハの字」でとどまる。これにより、1回目のハネ開放時に拾われた玉は、逆ハの字になった橋に一旦貯留される可能性が高い。その後、2回目の橋上昇時に貯留玉は両サイドに流れる。計2回のハネ開放で多くの玉を拾えば、大当り中の貯留に準ずる形となり、Vのチャンスも大きく広がる。
即ち、ヘソが甘い台は、他機種以上に有利となった。少々オトシが辛くても、ヘソさえ開いていれば勝負になった。逆に、オトシがいくら甘くても、ヘソがキツいとVに入らずにジワジワ投資が増えた。
こうして、中央橋から下段ステージに落下した玉は、下段奥から手前Vゾーンを目指す。
但し、下段奥には格子状の溝があって、ステージを転がる玉の動きがランダムになる。
さらにクセモノなのが、下段ステージ中央に付いた、菱形の「突起」だ。
画像では見づらいが、白い円で囲んだ部分に突起がある。
下段奥から来た玉は、素直に手前へ直進すればV入賞の可能性も高まる。だが、途中で突起に当ると、左右に逸れてVコースから外れてしまう。この突起は、まさにV入賞の「鬼門」であった。
突起に邪魔されず玉が直進するには、玉の通るコースはもちろんの事、玉にある程度の「勢い」が付いている事も必要となる。
また、この突起は台毎にクセが異なり、いつも左にばかり逸れるようなクセ悪台はV入賞も厳しい。逆に、ぶつかった玉が左右均等にばらけるような突起が理想とされた。
基本的には、中央橋から下段ステージに落下し、そこから真っ直ぐ手前に戻るルート(正面ルート)が多い。ただ、橋が上下するタイミング次第では、アーチの左右に玉が流れる事もある。
この場合、アーチ両端の大砲(発射装置)が来た玉を弾き飛ばし、アーチ中央から正面ルートを取るケースが多いが、大砲の横を素通りしてサイドから下段ステージに抜けるルート(横ルート)も存在する。
ただ、下段ステージの左右には丸い「ハズレ穴」があって、横ルートから来た玉の多くは、Vまで届かずに力尽きる。それでも、横ルート絡みからの大当りは意外性があって、コチラからVを射止めると喜びも大きかった。このハズレ穴は、正面ルートから来た玉もブロックするが、正面ルートの玉がハズレ穴に絡む段階では、既にVルートから逸れているので影響は少ない。
大当りになると、橋が平行のまま停止して、アーチ状のカマボコステージが常に開通状態となる。
この時、アーチ上に玉を最大3個貯留するのだが、貯留方法が実に奇抜だった。
先述した通り、アーチ両端には大砲(発射装置)があって、この大砲がアーチ左右に貯留された玉を、絶えず反対側に弾き飛ばす。アーチ上の玉が、忙しく左右に往復する様子がコミカルだった。
時には橋の真ん中でピタッと止まったり、勢いが付かず大砲側に戻されたり、玉突きしたり…まさにハネモノのアナログ感である(平和「ファクトリー」的な要素も、若干入っていたのかも…)。大砲の発射とランプ点滅のタイミングが同調していて、芸の細かさも感じられた。
ヤクモノが4個目の入賞をカウントすると、貯留は一旦解除となる。この時、アーチ左右に散っていた玉は、大砲の力でいったん中央に集まり、複数玉がまとまった状態で一斉解除される。その為、通常時よりもはるかにV入賞し易い。
惜しくも最初の貯留解除でVを外した場合、今度は中央橋が「逆ハの字型で2秒停止(貯留)」→「貯留解除」を繰り返すようになる。この時は、最初ほどVに入り易くはないが、一度のハネ開放で複数の玉を拾えば、貯留が増えてV継続の期待も高まる。
その後、ヤクモノ9カウントで貯留は完全に解除となり、1ラウンドで最大10個の玉を拾う。
このように、大当り中はアーチと「大砲」を利用したユニークな貯留方法に加え、2段階の貯留システムで、常に期待と不安が交錯してドキドキできた。大当たり中の軽快なBGMも、心ときめいた。
意外なV入賞で喜んだかと思えば、直後に貯留玉がVをかすめるようにパンクして、悔しい思いをしたり…数枚の100円玉をきっかけに、実に多彩なドラマを打ち手に見せた本機。旧要件の末期という微妙なタイミングで登場したが、ファンの心をガッツリと捉えた事は間違いない。
余談だが、本機はラウンド間の待ち時間が4秒と長い。その間の「止め打ち」が、大いに玉の節約となった。チマチマした小技も、積もり積もると大きな差となり、決しておろそかにはできなかった。銀玉親方こと山崎一夫氏が、「これでかっぱげ」と特筆しそうなネタであろう(笑)。
初当り時やラウンド間は、「カンカンカン…」という競輪の打鐘(ジャン)を思わせる効果音が鳴る。これは、海賊が打ち鳴らす銅鑼(どら)の音を意識したと思われるが、この派手な音が鳴っている間は、決して玉を打たない…これも、ドッカン島を攻略するポイントの1つであった。
ただ、FM音源(?)が使われた初期の機種で、その明るい音色と低音部分が印象に残っています。
私も、この年末年始に昔のパチンコ雑誌を掘り起こしてみましたが、自分が思っていたよりも登場時期が新しいもの、古いもの、いろいろあって人間の記憶って当てにならないと感じました。そういう意味で貴ブログは貴重だと思います。
あと、平成元年~2年あたりまでって元号が使われていることが多く、西暦はあまり見かけないんですよね。この辺も記憶をあいまいにしている原因のひとつとみています。