1993年(平成5年)に西陣から登場した、新要件ハネモノ「オメデタブラザーズZ」
★賞球…5&11
★最高10ラウンド継続(初回が「2R」表示で、最終が「11R」)
★大当り中は、傘の先端の磁石に1個、傘の上に最大8個の貯留を行う
★貯留解除…ヤクモノ10カウント後、又はハネ18回開閉後
★当時の実戦店…新宿・西口(大ガード)「ジャンボ」(現存)
★兄弟機…「オメデタブラザーズ」(1993年)
・賞球違いの「オメデタブラザーズ」。コチラは賞球「7&13」。10R継続は共通。
今年一年も色々とあったが、決して良い出来事ばかりでなく、殺伐とした事件や痛ましい事故、また、予期せぬ自然災害なども、数多く発生した。
一足早い形だが、来たるべき年2016年は、ぜひ、「オメデタイ」事ばかりが多く起こる、明るく平穏無事な1年であって欲しい。そんな気持ちを込めて、今回は本機を紹介する。
「来年の事を話すと、鬼が笑う」というが、鬼も悪魔も、笑わば笑え。笑う門には、福が来る。
おめでたい新年の席で、「おめでとうございまーす!」の賑やかな名調子と共に、伝統芸・太神楽の「海老一染之助・染太郎」兄弟が、見事な曲芸を披露する…一昔前は、定番の光景だった。
兄・染太郎さんが2002年に逝去された後は、弟の染之助さんがピンで頑張っていたが、近年は、その染之助さんも病と戦っておられるという。
また、あの元気な掛け声で、和傘を使って四角い桝をクルクルと回したり、口にくわえた扇子に茶瓶を乗せたりする「名人芸」を、TVや舞台で披露して頂きたい。
本機は、その「染之助・染太郎」をモチーフにした(と思われる)ハネモノ。平成5年・春登場。
センターヤクモノでは、コミカルな曲芸師が傘を両手で抱えて、クルクルと回している。
新要件初期に三共から出た、「名人会GPA」(1991年)を彷彿とさせる動きであった。
(通常時の動き)
「あっぱれ」と書かれたハネに拾われた玉は、上段ステージを通って、下段に落ちる。
上段から下段に至るルートは2つ。(1)上段センター奥から傘に落ちる「傘ルート」と、(2)上段左右脇の穴から、傘に当らず下段へ落ちる、「左右穴ルート」の二つだ。
因みに、兄弟機「オメデタブラザーズ」には、(2)の左右穴がない。本機との大きな相違点である。
(1)の傘ルートの場合、ハネ開閉中は傘が左右半回転を繰り返す。落下した玉が、動く傘に当って手前に転がり、Vゾーンに入れば大当り。
但し、1チャッカー入賞時は、傘の回転(遠心力)で玉の挙動が不規則となり、V穴の左右に逸れるケースが多い。一方、2チャッカー入賞時は、2回目のハネ開閉前に、傘の動きが一瞬止まるので、そのタイミングで傘に当ると、Vに飛び込み易かった。即ち、2チャッカーに入れば、大当りの大きなチャンスとなる。
また、本機は(2)の左右穴ルートから、大当りする事も多かった。傘に当らず、下段ステージ両脇に落ちた玉が、斜め手前に転がってVを射止めるパターンだ。当然だが、左右穴を持たない兄弟機「オメデタブラザーズ」には、このV入賞パターンも存在しない。
左右穴からV入賞するルートがあった分、トータルのV入賞率は、本機の方が、兄弟機よりも高い。賞球や出玉が少ない代わりに、初当りは取り易かったという訳だ。
(とはいっても、クセ悪台だとVは遠い…)
(大当り時の動き)
大当りすると、ヤクモノの傘がやや上昇して、時計周りを開始する。この変化によって、傘の上部に玉を多く貯留する。複数の貯留玉が、傘と一緒にクルクル回る動きが、視覚的に楽しかった。
さらに、傘にアプローチした玉の一つが、傘の先端に仕込まれた「磁石」にひっつく。この「磁石玉」が、貯留解除後、Vに入り易い構造だった。
大当り中も、ヤクモノに入った玉は、(1)の「傘ルート」と、(2)の「両脇ルート」の何れかから、下段に落ちる。(1)は必ず貯留されるが、(2)は貯留されない。
つまり、本機は、大当り中、ヤクモノに入った全ての玉を、貯留する訳ではなかった。一方、兄弟機「オメデタブラザーズ」は、ヤクモノ内の玉を、全て貯留する「大量貯留タイプ」。これも、両者の大きな違いといえる。
本機は、大当り中、(2)の左右ルートからVに入ったりもしたから、10カウント前にV継続するケースも普通にあった。一方の兄弟機は、ヤクモノ内の玉を全貯留した後、10カウント後に解除なので、10カウント前のV継続はあり得ない。
したがって、1ラウンド当りの平均入賞数は、本機の方が劣る。さらに、ヤクモノの戻しも「11個」と少ないから、出玉のボリューム感は劣る。一方、(2)のルートでもV継続する分、継続率は本機の方が良好だ(それでも、よくパンクしたが…)。
ヤクモノ10カウント後、又はハネ18回開閉後に、貯留は解除される。
解除は、二段階に分けて、素早く行われる。まず、(1)傘の上で回転する複数の貯留玉を全解除。続けて、(2)傘の先端の「磁石」についた、大事な「1個貯留」を解除する。
先に解除された貯留は、V両脇に外れ易い。一方、磁石に付いていた玉は、解除後、ステージ中央を手前に直進して、Vを射止め易かった。
但し、「クセ」による大きな差もあって、磁石の玉を頻繁に外してしまう、クセ悪台も存在した。
因みに、下段奥から手前にかけて、V穴を左右から挟むように取り囲む、二本の「段差」があった。この段差は、ステージ外側の玉をVから遠ざける「ガード」であると同時に、中心付近の玉をVに導く「ガイド」の役割も果たした。なお、段差は、通常時のV入賞率にも影響した。
最後に、もう一つ。本機と兄弟機では、大当り中(通常時も)、V穴に入る際の玉の「挙動」が、全く違った。
V穴にダイレクトで飛び込む本機と違い、兄弟機「オメデタブラザーズ」では、V穴の真上にいったん貯留後、ストッパー(フタ)解除で、あらためてV穴に入る仕組み(二段階V入賞)だった。これは、当時の西陣ハネモノに、しばしば見られた構造である(「リキゾー」や「デジマル」の大当り中など)。
こうして色々比較すると、本機と兄弟機は、賞球以外に、かなり多くの相違点があった事が判る。
★★本年の更新は、これで最後となります。本年も、当ブログを御贔屓頂き、御礼申し上げます。来年も、相変わらずのマイペースでやっていく所存ですので、どうか、よろしくお付き合い下さい。それでは皆様、良いお年を。
「まにあっく懐パチ・懐スロ」管理人M