1997年(平成9年)にマックスアライドから登場した
「ファイアールーレットX」(Aタイプ・4号機)
(ボーナス確率表)
(払い出し表)
この台に思いを馳せると、20年前の旅打ち(という名の旅行)の
記憶が自然と蘇ってくる。
1997年8月、私は夏季休暇を利用して北陸へ旅打ちに出かけた。
といっても、別に現地の事前情報や攻略法などはなく、目的地と
泊まる宿だけ決めておき、現地に着いたら行き当たりバッタリに
ホールを探して、よさげな店や台があったら座って勝負…という、
何とも無計画な立ち回り方(とさえ呼べないかも)を考えていた。
で、この時訪問したのは、富山と金沢だった。金沢の方は以前に
アラジンマスターやナナシーの記事で触れたと思うから、詳細は
当該記事をご検索の上、ご覧頂きたい(直接リンクしたいのだが、
リンクを貼りつけて記事をアップすると、全文章が消えてしまう
不具合を何度も経験しているから、怖くてできないのだ)。ただ、
金沢の事を書いた時に、「富山から金沢に移動した」ことを全く
書いていなかった。実は、両エリアの旅打ちはバラバラの時期に
決行したのではなく、時間的に連続しているのだ。
富山を訪れたのは、97年8月11日(その後も何度か富山には行ったが、
これが旅打ち初訪問だった)。東京から上越新幹線で越後湯沢に出て、
そこから特急「はくたか」に乗り換えて、富山まで出向いたと記憶する。
無論、便利な北陸新幹線などは存在しない。
確か、富山着は午後2時頃。その後、駅地下にある小さなカウンターの
すし屋で、本場の海の幸を堪能。それから店を出て、予約を入れていた
「富山キャッスルホテル」という駅近くのビジネスホテルへと向った。
なお、富山キャッスルホテルは現存せず、現在は同じ場所でホテル
「ルートイン富山」が営業。キャッスルに泊まったのはこの時だけで、
2001年や2003年の旅打ち時の領収書は、全て「ルートイン」名義に
なっている。この間に、ホテルの経営主体などが変わったと思われる。
因みに、2001年には「ニューグランドイン富山」にも宿泊している
(以前、銀河伝説Rの記事で書いた)。
これまた余談だが、件の富山キャッスルホテルは、ミュージシャンの
故・ジョニー大倉が宿泊中、7F客室のベランダで懸垂している途中で
手を滑らせ転落、全治半年の大怪我を負ったホテルだ。その大倉氏が
90年代に主演したパチンコVシネマが、「銀玉命!銀次郎」シリーズ。
さて、部屋に入った私は、夏の全国高校野球なんぞをベッドでのんびり
見ていたが、移動の疲れが出たのか眠ってしまった。暫くして起きると、
もう夜の8時近く。まだ、富山に来てから一軒もパチ屋に入っていない。
流石に焦って外に出てみると、何とホテルの裏口にある路地の真向いで、
一軒のパチ屋が営業していた。これは好都合と早速入店。居酒屋などが
数多く入る、古臭いビルの地下にある店だ。店名は失念したが、改めて
調査したところ、「金太郎・富山駅前店」だった模様(現在は「ビック
タイガー」が営業)。
その折、私の目に飛び込んできた台こそが、今回挙げた「ファイアー
ルーレットX」であった。カジノを想起させる、洗練された渋い筐体。
金の7図柄も目を引いた。この数か月前、登戸駅の「ニューハトヤ」と
いう店で、同じマックスアライドの「グランドスラムX」という機種と
対峙した事があり、その金7とよく似ていたからピンと来た。しかし、
本機を設置するホールに足を踏み入れたのは、これが最初だった。
「旅打ち」と「初モノ台」とが重なり合って、興味津々に本機と対峙。
で、打ってみて真っ先に感じたのが「7図柄が多い」という事だった。
「赤7、青7、金7」と計3種類の7が、リールのいたる所に並んでいる。
グランドスラムより、遥かに多い。3色7ならエニイセブンやトリプル
ウィナー、トリコロール96辺りで見慣れてはいたが、全図柄に対して
7図柄の占める割合が、全く違うのだ。それもそのハズ、本機は赤7、
青7、金7全てひっくるめると、実に22図柄もあった。全図柄(63個)の
1/3以上が7で占められていた訳だ。強い違和感を覚えて当然であろう。
しかも、その7図柄がやたら左中でテンパイする。時には、7が一直線に
並んでリーチ目に思えるが、全く入っていなかったり。しかも、赤7と
金7が「赤・赤・金」又は「赤・金・金」と並べば、只のリプレイである。
そう、本機はリプレイ専用図柄が無く、赤7と金7の組み合わせをリプと
していたのだ。それ故、7の一直線だからといっても、特段の有難みを
感じられないケースが多かったのだ。
コイツは比較的新しい台のようで、シマの客付もまずまず良い。中には、
調子よくボーナスを引き続ける台も。しかし、私が座った台は、単発で
バケを2回引いて、その後に引いたビッグも連チャンせず、全ノマレで
終わった。加えて、引いたボーナスが少なすぎて、リーチ目をはじめ
台の「正体」がイマイチ掴めない感じ。それなのに、アト引く魅力も
ジンワリ感じる。「これは、もう一度打ち込む必要があるな」と直感。
実は、本機はマックスアライド初のテーブル制御採用機。リーチ目の
多彩さ、豊富さもウリだったのだが、その時はそれすら知らなかった。
退店すると、既に夜は更けている。空腹を満たそうと、近くにあった
「匠庵」という小さなラーメン店に入店(携帯していた富山のガイド
ブックに、この店の記事が出ていて場所も判っていたのだ)。狭めの
カウンターに腰かけると、ラーメンと餃子を注文。店主は無愛想だが、
味は抜群だった(アッサリ系の透明スープ)。しかも、その無愛想と
対照的に、奥さんと思しき女性の店員が、誠に人当たりが良かった。
翌日(8/12)は、ホテル向かいのコンビニでおにぎり購入。軽く朝飯を
取ってから、昨日と同じくホテル裏口にある「金太郎」へ出向く。地下に
続くエスカレーターを使って入店すると、パチの「CRモンスターハウス」
が最初にお出迎え。CRより現金機派の私だが、この台は好きだ。今日の
目的は、あくまでも昨日やられたファイアールーレットXのリベンジだが、
一応、釘だけ見ておこう…と通路を歩いて釘を観察すると、意外にもヘソ
ガバ空きの台がチラホラ。地元店では、まずお目にかかれない大甘の調整。
これならば勝負になるかもと、ファイアーは後回しにしてモンスターから
打ち始める。
すると、2000円分のパッキーカードを使い切る前に、「888」であっさり
最初の大当り。しかも、プレミアの「ゾンビ手リーチ」でビタッと揃った。
今までモンスターは何度も当ててるのに、ゾンビ手で当てた事は無かった。
こんな旅打ち時に初めてゾンビ手で当るとは、どんなヒキをしているのか。
そう思うと同時に、「これだけヒキが良ければ、この甘釘台をぶん回せば、
大勝ちも夢ではないな」と妄想は膨らむ。
しかし、持ち玉遊技に変わってからは、急に回りがシブくなる。これだけ
ヘソが開いてるのに、どうも…。まぁ、ヨリのチェックが悪かったのかも
しれないが、また持ち直すかもしれないから、とりあえず飲まれるまでは
勝負続行。
すると、半箱飲ませてミイラ図柄のオバケ掴みリーチが掛かり、これが
戻りで当って、待望の確変を引く。いつの間にか、回りも復活している。
この確変を契機に一気に爆裂を開始、「大爆発中」が出るかもしれない。
そんな事を思いながら、確変大当りを消化していたのだが…。
結局、その確変はワンセットで終わってしまい、再びデジタルの回りも
覚束なくなっていく。「何か、スッキリしないな、この台」と、徐々に
ストレスが溜まっていった。何とか回復するようにと願いつつ打ったが、
ダメ。地元店の回りと大差なく感じで、残り1箱少々のところでヤメる。
まぁ、とりあえずは勝ちになった。
さあ、こうなったら、最初の予定通り、昨日打ったファイアーのシマへ。
もう、開店時間から大分経っている。昨日の客付から見て、高設定台は
既に抑えられているかも…と思ったのだが、シマは全くのガラガラ状態。
ちょっと面食らったが、台は選び放題である。一応、昨日ビッグ回数が
一番ついていた、左カド2を打ってみよう。まだ、0回転のままである。
(今回はやたら前置きが長く、何の機種を回顧しているか
判らなくなる可能性が多分にあるので、改めて画像を掲載)
すると、3000円使ったところで初ビッグ。加えて、単発続きだった
昨日の台とは違い、100ゲーム以内でのビッグ5連を決める。これは、
据え置きか…と期待して続行すると、200G内のビッグやバケが続き、
さほど大きくハマらない。どんなに回しても、350G辺りで次のBRが
くる。「もしかして設定5or6?」と旅打ちでの爆勝ちが脳裏をよぎる。
ところが、朝イチのビッグ5連を引いてから、初当りが全く連チャン
しない。つまりは「揉み」である。まぁ、前日のシマ状況からみても、
ノーマル濃厚で、仮に〇モノでも露骨なVerではないと思われたから、
「このまま我慢して回していれば、ノーマル高設定台特有のボーナス
連打が、何れやってくるさ…」と楽観していた。
それに、左カド2で何度もボーナスを引くうちに、未知に近かった本機の
特徴が徐々に掴めてきた。まず、7の一直線でとにかくアツイのは「金7」
が並んだ形だ。金7揃いは、払い出しの無い「0枚役」。全ライン有効で、
3つ並べば、ほぼ確実に入りとなった(後に、稀にガセもある事を知る)。
それと、左リールの配列が大いに個性的で、「赤7・金7・青7・金7」と
7図柄が4連続する箇所があった。よくもまぁ、こうもインパクト十分な
配列を考え付いたものだ…と感心せざるを得ないほど。しかも、4連7の
「金7・青7・金7」がズドンと降臨すれば、それで1リール確定となる。
普段から7図柄が出まくって「有難みが無い」と書いたが、衝撃MAXの
「金青金」の一確目を拝む度、さすがに震えざるを得なかった。
また、2リール確定のリーチ目も豊富で、「赤7右下がりとBAR下段の
Wテンパイ」や、「青7上段テンパイ(中リール青7の上はチェリーに
限る)」などが止まれば、その時点でボーナス確定。この旅打ちでは
順押しで消化していたが、実は、ハサミ打ちの二確目も多く存在した。
さらに、左にチェリーが出て、赤7が左右で挟んだ形もアツかった。
但し、これはボーナス成立後のリーチ目。因みに、この時は鉄板と
思って打っていたが、後に赤7チェリー挟みが稀にガセる事を知る。
但し、一見アツそうに見える「赤7と青7の一直線」はガセが多く、
色々と条件が加わらない限り、リーチ目と呼べなかった。一直線
だけで見れば、チャンス目と呼ぶべき存在だ。それでも、左・中で
赤7や青7が並んで、かつ「金7・赤7/青7・金7」の一直線を作った
形なんかは、ほぼ確実に入っていた。無論、赤7と青7が一直線形や
山形、谷型、L字型などを作ったに時、金7が一直線になっていれば
確実なリーチ目となる。
(リーチ目抜粋)
(5ライン有効だが、中リールの金7が
条件付きの形もあって、鉄板ではない)
(単なるチャンス目となる並びも多い)
それから、チェリー以外でメイン役だった10枚(ベル/コイン)は、
左にベルとコイン両方出ていれば中リールで取りこぼす事はないが、
左にどちらか一方のみが停止した場合は、配列上、中で取りこぼす
可能性があった。また、左・中と10枚役がテンパイしても、やはり
配列上、右でテンパイした役を取りこぼす箇所が存在した。これは
通常時もビッグ中も全く同じで、適当押しだと10枚丸々こぼして
損する事もあった。これを防ぐ為には、(1)左リールに「赤7・
チェリー・赤7」の塊を狙うか(これなら、チェリーが枠下に
逃げた時、ベルとコイン双方が左枠内に出る)、(2)左にベル
orコインが単独で出た時のみ、中リールでその小役を目押しする
必要がある。さらに、左・中でベルやコインがテンパイした時は、
右リールにテンパった小役を狙えば、取りこぼしもほぼ無くなる。
とりわけ、手順(1)はチェリーもカバーできるので好都合だった。
無理にハズシに拘るより、この小役狙いを重視した方が、効率的と
いえた。
まぁ、そんな感じで、徐々に本機に慣れていったが、肝心のボーナスは
相変わらずダラダラばかり。最初のビッグ5連で出た1500枚のピークを
サッパリ超えない。かといって、さほど大きくハマらない為、コインの
激減もない。結局、「1500枚天井」を一度も破れないまま、しびれを
切らした形で1000枚ほど流して勝ち逃げ。18時半。
食事を取りたいが、富山に来て一度も「名所」に行かないのは勿体ない。
換金後は駅に直行。ガラガラの富山港線に乗り込んで、終点まで向かう。
駅名は「岩瀬浜駅」。そう、私は「海」に行きたかったのだ。富山港。
滅多に拝めない日本海の姿を、この目に刻んでおきたかった。が、この
判断がマズかった。駅から浜までは、公園内を通って割と普通に行けた。
港に停泊する大型船舶の灯りなども、哀愁が漂っていて味わい深かった。
しかし、海岸線を歩いているうち、すっかり日が暮れて辺りは真っ暗に
なって、外灯のない浜辺で、何処を歩いているのかさえ判らなくなって
しまった。まさに、人っ子一人いない夜の浜辺で、遭難しそうになった。
あの時の、何とも言えぬ恐怖心といったら…。
その後、何とか自力で海岸を脱出して岩瀬浜駅に戻ると、富山駅に帰還。
猛烈な空腹感に襲われ、ホテル近くの飯屋を探索。すると、ホテル前の
大通りを挟んだ向かいの路地に、一軒のラーメン屋を発見。この時代は、
ラーメン食が何日続いても平気な程、無類の麺好きだった。店名は失念。
カウンターの小さな店で、40代と思しき綺麗めの女将が一人で切り盛り
していた。無性に腹が減っていたので、ネギチャーシュー麺とギョーザ、
ライスを頼んだ。出てきたのは、真っ黒いスープのラーメン。今では、
「富山ブラック」なんて言葉も有名になったが、当時はそんな言葉さえ
ほとんど聞かれなかった。それでも、私がここで見たのはコクの効いた
黒いスープで、チャーシューとネギのタップリ乗ったラーメンだった。
それを一気に啜っていると、カウンターの女将さんが「観光ですか?」
と聞いてきたので、「ええ、色々旅して回ってます」と適当に答えた。
すると、彼女は「貴方を見ていると、「良い人」というのがお顔から
伝わって来ますね」と妙な事を言った。私は何と返して良いか判らず、
ぎこちない笑顔で会釈するしかなかった。「良い人」とは、一体何を
意味していたのだろうか。人間性について率直に褒めてくれたのか、
或いは「お人好しで騙され易そうだから、気をつけなさいよ」と、
釘を刺したのか…未だに謎である。因みに、このラーメンは非常に
旨かったのだが、あまりに脂が強すぎたのか、ホテルに戻ってから、
ベッドとトイレを数往復する羽目になった(食事中の方、失礼)。
翌日(8/13)、朝7時頃にチェックアウトを済ませて富山駅に行き、
金沢行きの切符を買って、在来線で金沢まで直行。富山駅ホームで
名物「ますのすし」を購入すると、金沢までの道中、朝飯代わりに
食べていた。その途中、通勤や通学の客がガンガン乗り込んで来て、
非常に肩身の狭い思いをしながら、ますのすしを食したのだった…。
★1997.8.11~8.13の富山滞在を示す、富山キャッスルホテル領収書。
よく見ると、客室番号が「715」となっている。つまり、7階の客室。
富山キャッスルホテル7階といえば、故・ジョニー大倉が筋トレ中に
転落して大怪我した部屋と、まさに同じ階(時期は違うが)。当時は
全く気付かないでいたが、今思えば、貴重な経験をしたかもしれない。
(一泊目)8/11宿泊、8/12領収書発行。デポジット(前受金)システムなので、
到着日にカウンターで二泊分の料金を預り金の形で前払いして、翌日に1泊目の
領収書、次の日に二泊目の領収書を発行する流れになっていた。
(二泊目)8/12宿泊、8/13領収書発行 既に二泊分払っているので、実際は
この日、電話料金の640円のみを支払っている。
(住所は「富山市新富町1-3-3」⇒現在の「ルートイン富山」と同じ)
そんな訳で、今回はファイアールーレットXの機種説明というより、
「1997~富山旅打ち回顧」になってしまった。こんな駄記事でも、
楽しんで読んで下さる方がいると信じて、今後も更新を続けたい。
(マックスアライド「ファイアールーレットX」の項、了)