1989年(平成元年)に奥村遊機から登場した旧要件ハネモノ
「ルーピングスター」(賞球オール13、最高8ラウンド継続)
パチデビューからまだそれほど経っていない、90年夏頃に
新宿・東南口の「パチンコ平和」(閉店)で出会ったっけ。
当時はまだスレてない頃で、小箱1箱800個満タンにしたら
ウキウキ、デジパチで1回フィーバーしたら天にも昇る気分、
ダメ元で打った一発台でVなど射止めたら、大富豪になった
ような錯覚を起こしていた時期だ(ちょっとオーバーか)。
大学1年で何もかも新鮮で楽しかった時期だが、バイトは
まだやり始めの頃で、財布の中身はイマイチな状態だった。
なので、打ちたい台や店は山程あっても「先立つもの」が
常に不足している感じだった。そんな中で、安銭で長時間
遊べるハネモノやチューリップ台は、何とも嬉しい存在で
あった。今回紹介するルーピングスターも、そんな「財布に
優しい」部類のハネモノだった事を思い出す。
何が好きだったかって、まずもって盤面のデザインが良い。
天下に、まんま「ルーピングスター」と片仮名でハッキリ
機種名が書いてあって、「私、こういう者ですよ」と潔く
自己紹介する正直な姿勢に好感が持てた。また、「遊園地」
を直感させる華やかな盤面イラスト。当時、地元が「よみうり
ランド」の近くだった自分にとって、こういった遊園地モノは
自然と愛着がわいたものだ。乗り物に乗る客の表情豊かな顔も、
盤面の至るところに描かれていて、幼少期の思い出が蘇ってくる
ようだった。
「ルーピング」の名称や盤面イラストが示すように、本機の
モチーフは、遊園地のジェットコースター(ループコースター)
だった。ヤクモノは三層構造になっていて、ハネに拾われた玉は、
まず上段ステージの小穴から中段へ落下。中段ステージ中央には、
玉を左右に分岐するマウンドがあって、落下してきた玉を左右に
振り分ける。両サイドへと流れた玉は、半円状に弧を描きながら、
両脇から回りこむように下段に落ちた後、最後の「関門」に挑む。
下段中央には、玉が乗っかる細長い一本のレールが、奥に向って
伸びている。そのレールの先には、反時計回りする垂直回転体が
待ち構えていて、回転体の外周には均等間隔で4穴が開いている。
中段から弧を描いて勢いよく落ちた玉が、下段で中央のレールに
乗れば、奥の回転体にアプローチして何れかの穴に入る。4穴の
うち3つはハズレで、1つがV穴。タイミングよくV穴に入賞すれば、
見事大当りとなる。但し、玉がレールに乗る確率は1/2~1/3程度。
ネカセやクセの影響もあった。無論、レールに乗らなかった玉は、
回転体へ挑む権利すらないまま、アウトに空しく吸い込まれる。
大当りすると、回転体の3つのハズレ穴にストッパーが働き、
いったんハズレ穴に入った玉は即アウトにならず、回転体の
力で上へと持ち上げられ、再び中段ステージ左右から落下後、
下段でレールに乗るチャンスが生まれる。即ち、「ハズレ玉の
再挑戦」が可能なヤクモノだったのだ。いったんハズレそうに
なった玉が、何度もVに挑もうとする様は実に健気で、思わず
「頑張れ!」と声をかけたくなったものである。この「再挑戦」
仕様は、約5年前の「ダブルリバース2」の記事でも触れた通り、
当時の奥村モナコの得意技であった。本機では、回転体が玉を
何度も上部に戻す動きに特性があって、戻った玉がカーブして
下段へと落ちる動きも面白い。まさに、ジェットコースターが
緩急織り交ぜて、上に下にと豪快に動き回る様子を表していた。
こうした特性により、V継続率は良好な部類に属した。但し、
継続が良すぎてラウンド序盤でVに入ってしまう機会も多い。
完走しても出玉は少なかったが、少ない投資で食いついた後、
時間をかけて終了にもっていく展開は、パチ屋でハンドルを
握っているだけで無性に楽しかった自分にとって、長い時間
店にいられるから却って好都合だった。まぁ、その甘さ故に、
鳴かない、寄らないの激辛調整の台も目立った訳だが…。
そうそう、この台は大当り中のBGMも華やかで魅力的だった。
自分が現金投資中でも、隣の台が大当りして、あのサウンドが
横から流れるだけで、思わずウキウキしたものだ。個人的には、
1~7ラウンドの音楽※が、アニメ「サザエさん」でよく使われていた、
定番のBGMを思わせて気持ちが良かった。サザエさんといえば、
スポンサーである東芝の業績低迷によって、その存続を危ぶむ
声も出ているが、昭和期から長く続く国民的番組には引き続き
頑張って欲しいと願っている。
※「アルプスの少女ハイジ」のイントロ的な匂いも、若干する。
これも余談だが、かつてパチマガ誌の「ご意見番」で有名だった
「田中勝男」プロ(パンチパーマ&色付きのメガネ)は、本機に
ついてこう語っていた事がある。曰く、ヨリの良い台に座った時、
大当り中はヤクモノに沢山玉が入ったら、一度打ち出しをヤメて、
それからまた打つようにすれば、継続率が上がるという。同氏に
よれば、大当り中にヤクモノに玉が入りすぎた状態では、下段の
レールに玉が乗りにくくなって、パンクが増えるという。当時は
初心者も同然で、そういった特性には気づかずに「うん、これは
寄りがいいから、ガンガン玉をぶっ込め~」なんてやっていたが、
「プロ」と言われた人の目線は違うな、と感心させられる。まぁ、
ライバルのガイド誌は、この田中氏に対抗して、「パチプロ負男」
なるキャラを誌面に登場させて、コミカルに皮肉っていたのだが。
その負男氏は、現在でもベテランライターとして活躍を続けるが、
田中氏は年齢もあるだろうが、自然消滅的にその姿を見かけなく
なってしまったな…。
(奥村「ルーピングスター」の項、了)
あそこはレア羽物もあったなぁ・・・マルホンのやつ
(空母とエンパイア2)
ルーピングスター・・・本文にも書かれてる通り玉が外れても何度も再挑戦があり面白い機種でしたねえ
おん歳52さい…貴方のブログで時折‘生き返ります,
大人になっていくときのこの感覚は本当に懐かしいですねぇ。東京の色んなところを知っていくだけで、いつもワクワクしていたものです。以降、関西方面を探検したり、社会人になってから海外を練り歩いたりしたのもこういう新鮮な感覚を求めてのことからかもしれません。今だったら何が残っているのだろう、宇宙に行くとかの次元かもしれません。
田中勝男氏と言えば、このルーピングスターをべた褒めしていましたね。人気機種の6大要素を備えていて人気機種になる可能性大と言っていました。実際にはほとんど出回らず、個人的にも見たのは1回くらいだと記憶していますが。
奥村の羽根モノと言えば、私はヤマトIIでしょうか。戦艦から吐き出された玉が必ずVに入るのが不思議で、良くできた役物だなぁと思ってしょっちゅう打ってました。