1993年(平成5年)に京楽から登場した確変デジパチ(現金機)「リゾート」
★賞球…6&12
★大当り確率…1/240
★小当り確率…通常時=10/100、確変時=99/100(9.9倍アップ)
★最高16ラウンド継続
★出玉…約1800個
★大当り図柄…0~9、太陽、ハート、ヨット、鯨、椰子の木(15種類)
★2回ワンセット機(確変終了時の保留連チャンあり)
・電源オンから数えて奇数回目の大当り後は、絵柄に関係なく小デジタルの確変状態に突入
・小デジ確変は次回大当りまで継続。確変ループはなく、実質2回ワンセットで出玉約3600個。
・小当り時は、電チューが「約1.1秒開放⇒約3.5秒閉鎖」を計5回繰り返す。
・確変中は、メインデジタル変動時間も大幅短縮。
・確変中は、電チューに入賞した玉が大当り乱数を拾いやすい。その為、確変時の消化時間は短く、確変中に点灯した保留玉での連チャンも期待できる。
★後に、本機とデジタルアクションが瓜二つの「フルーツキング」(1994年、ノーマルデジパチ)も登場。
リゾート、現役時の実戦ホール…高田馬場・早稲田通り沿い「東陽会館」(現・「TOYO104」)、井の頭線・渋谷駅ガード脇「大番」(閉店、跡地では「エスパス日拓・渋谷駅前新館」が営業)など。
(当時の渋谷「大番」…ウチダ、大番、タイガー、日拓、柳小路、ファインといった競合店と共に営業)
赤・橙・緑の3色ドットデジタルは、「7で当ると6回ワンセット」のフルーツパラダイス2譲りともいえるが、本機のデジタル表示はさらに凝っていた。
反射板(反射鏡)による投影方式を採用した事で、暗闇に図柄が浮かび上がる感じが巧く出ていた(平和「ブラボーストロングα-1」のデジタルを彷彿とさせる)。デジタル背景の椰子の木や海辺、そして赤いワーゲンのデザインも美麗であった。
また、デジタルの前方には白い「柵」があり、あたかもリゾートホテルのバルコニーから景色を眺めているような雰囲気が漂っていた。
常夏の象徴である「太陽」。他にも、「ヨット」「鯨」「ヤシの木」など、夏にちなんだ図柄を採用。太陽は「ワイワイファーム」シリーズから引き継いだ図柄だろう(但し、デザインや配色は変更)。
デジタル停止順は左⇒中⇒右で、リーチはノーマルとロングの2種類が存在。ノーマルは、リーチ後2,3コマで停止したり、2周近く進んだりと停止コマ数に幅があったが、アクション自体は素っ気ない感じがした。また、一度大当り図柄を超えてしまうと、ノーマルのままでは絶対に当らない。
一方のロングは、当時の京楽の「定番」ともいえるアクションである。ロング発展時は、BGMが派手に変化すると共に、デジタル周辺部がパッと明るくなる。ロング発展のタイミングは2通りで、リーチ後右デジタルが約2周して突入する場合と、リーチが掛かって即・突入する2パターンがあった。
ロング発展時、右デジタルは大当り又はプラス1コマでのみ停止。一旦大当りを通り過ぎてから、戻って当る逆転パターンもある。出現頻度が低い分、ロングの信頼度は約50%とアツい。
★リゾートのカラクリ…「確変中にすぐ大当りする」、「確変終了時に連チャンし易い」
(1)本機の大当り判定カウンターは「0~239」の計240コマで、大当り判定値は「145」。よって、本機の大当り確率は1/240。これは、通常時、確変時ともに不変。また、乱数の移行スピードは、1コマ=0.0024秒で、カウンター周期は0.0024×240=0.576秒。
(2)本機の小当り判定カウンターは「0~99」の計100コマで、通常時の小当り判定値は「0~9」の10通り。よって、通常時の小当り確率は10/100=1/10。一方、確変時の小当り判定値は「0~98」の99通りに増える。よって、確変時の小当り確率は99/100(通常時の9.9倍アップ)。
(3)本来のスペックによれば、確変中に確率アップするのは「小当り」のみで、大当り確率そのものはアップしない筈であった。だが、実際には、乱数カウンターと電チューが「ほぼ」同調しており、確変時に電チューが拾った玉は高確率で大当りした。これは、大一の「ムーンライト2」や「エスケープ2」などと同様の仕掛けといえる。
(4)具体的には、電チュー開閉の周期(「約1.1秒開放⇒約3.5秒閉鎖」の4.6104秒)が、大当りカウンターの周期×8周分(0.576秒×8=4.608秒)と、「ほぼ」同調していた。
(5)本機の電チューには、エスケープ2と同様、入賞した玉を一旦貯留する「停留装置」があり、これが電チューと乱数カウンターを同期させる「肝」だった。
(5)但し、本機がエスケープ2などと大きく異なる点は、電チュー開閉とカウンターの周期が、「完全」には同調していなかった事だ。上述の通り、電チューの周期は4.6104秒、一方のカウンター周期は4.608秒である。つまり、電チューが1回開閉する度に、4.6104-4.608=0.0024秒の「ズレ」が生じるのだ。
(6)この「0.0024秒」は、乱数の移行スピード(1コマ=0,0024秒)と全く同じである。小当り時には電チューが計5回の開閉を繰り返すから、乱数は開閉動作1回毎に「プラス1コマ」づつ遠ざかっていく。5回の開閉終了時には、乱数5コマ分のズレが生じる訳だ。
(7)確変時、もっとも大当り乱数を拾い易いのは、1回目の電チュー開放時に拾われた玉である。以後、2回目、3回目…と進むごとに、大当り乱数とのズレが広がり、ハズレ乱数を拾い易くなる。その為、確変中は1~3回目の電チュー開放時を狙い、4回目以降は止め打ちで電チュー入賞を避ける方法が有効とされた。この方法を使えば、確変中に点灯した保留玉での連チャン率が、大幅にアップする。2回ワンセット機の連チャンは4回、6回…と出玉が倍増する為、止め打ち効果は非常に高い。
(8)ただし、1回目の電チュー開放時に拾われた玉が、「必ず」大当りする訳ではない。本機は、電チューのカラクリに加えて、確変中に取得される乱数自体にも、大きな「偏り」が生じた。その為、1、2回目の電チュー開放時に拾われた玉が、他のタイミングよりも大当り「し易く」なっていたに過ぎない。それでも、確変時の止め打ち打法は、オヤジ打ちを大きく凌ぐ効果があった。
(9)また、台によっては電チューのクセなどが異なり、1回目より2回目の電チュー開放時に拾われた玉の方が、連チャンし易いケースもあった。
(10)なお、通常時に電チューが拾った玉については、100%大当りしない設計になっていた。確変中のスペックが甘い分、通常時にしわ寄せが来ていた…という事だろうか。
(余談)
以前youtubeで見つけた、香ばしい動画について
http://www.youtube.com/watch?v=RROiL9uxnnQ
動画の中で確認できる機種は、左から「スーパーボーイV」(三洋)、「パンドラE」(奥村)、「リゾート」、「アメリカンドリームII」※(三洋)。現在、リゾートの実機映像をアップした動画はほとんどなく、これは非常に貴重な映像といえる。
※この動画では、初代「アメリカンドリーム」か、後継機「アメリカンドリームII」かの判別が難しい。なぜなら、両者の違いは「液晶サイズ」のみだからである。初代は3.5インチ、「II」は一回り大きな4インチだが、盤面のデザインは全く一緒である。ただ、個人的には、盤面全体と液晶部分の対比から見て、後継機「II」ではないかと推測する。