パイオニアのビスカス系沖スロ4号機「シオラー30」。2002年からの約1年間、個人的にメインにしていた機種だ。もともと、「シオサイ30」の熱烈な「追っかけ」をしていた事もあり、後継機のシオラーにもハマったクチである。
当時、個人的な都合で仕事を辞めたばかりで、いわゆる「プー状態」であった。丸の内勤めのサラリーマンから「毎日が日曜日」状態へと転落した、いわば「冬の時代」だ。
それでも、経済的にみると、このシオラーの甘いスペックのお蔭で何とかなっていた。来る日も来る日も同じ店でノーマルのシオラーを打ち続け、通常時の小役狙い、ビッグ中のリプレイ外し、そして設定判別(実際は、5以上が落ちなくても続行する事が多かったが…)を駆使して、あたかも「専業」のようなスロ生活を約1年過ごした。
★2002年5月~11月 シオラー30(パイオニア・4号機)戦績(町田S店=等価)
月 総P数 B R 差枚
05月…100080P 388 152 +22275枚
06月… 94391P 358 132 +16950枚
07月… 61615P 245 93 +17650枚
08月… 44335P 176 76 +13675枚
09月…107464P 412 145 +19575枚
10月…151103P 588 241 +14700枚
11月…110335P 427 145 +21625枚
計 669323P 2594 984 +126550枚
(ビッグ確率…1/258.03、バケ確率…1/680.21)
⇒設定4の理論値(ビッグ1/256、バケ1/655)に近い
※町田S店はポイント制の「台予約」可能。また、台頭上に金銀黒のシーサーで設定示唆。上記はほぼ「予約台」での戦績。5以上が落ちなくても、展開によってはそのまま続行した。
ただ、この年の12月からマイホ(町田S店)のシオラーの状況が極端に悪くなり、安定した収支が望めなくなった。そこで、シオラーを設置する他のエリア(溝の口、二子玉川、新宿など)を開拓したり、シオラー以外の機種を追ったりしたが、結局「専業」生活は約1年で終焉を迎えた。
そういえば、新規開拓中の2003年に、多〇センター某店でシオラー30の「32GVer」(※メーカーと裏モノは関係ありません)と遭遇する機会があり、数か月お世話になった事がある。
当時、駅前には裏シオラー設置店が2軒あったが、どちらも出玉的に勢いがあった時期だ。私が通った横断歩道前の某店も、裏シオラーのシマに「〇月〇日、〇〇番台、19000枚獲得」のような爆裂万枚データが、ズラズラッと貼られていた。
ただ、裏シオラーで最も記憶に刺さっている事といえば、派手なビッグの連チャンや2000ゲーム級のドハマリなどではなく、一つの「事件」である。
ある日、いつものように某店に行くと、各台の頭上にワープロ書きの「お知らせ」が書かれていた。
「最近、携帯電話の電波等を利用して、シオラーの設定を不正に変更する行為が頻発しております。その為、定期的に台の設定を確認させて頂きますので、ご了承下さい」というもので、ゴト行為についての「注意書き」であった。
ただ、私はその貼紙を見ても、「ふーん、そんな事があるのかね」程度にしか思わなかった。その日のシマは見事にガラガラで、ゴトを働くような怪しい客がいたら、すぐにバレると思ったからだ。私としては、ともかくもビッグの初当りを引き、目くるめく連チャンタイムを味わいたい…その一心で投資を重ねた。
しかし、私が座った台は初当りが重く、幾ら千円を突っ込んでもビッグが来てくれない。たまにランプがチカチカっと点滅しても、リール間に光が宿っても、轟音や三線やさざ波の告知音が鳴っても、揃うのは単発バケのみ(太鼓音も鳴ったかもしれないが…)。
そんな事を繰り返すうちに、投資は4万を超えていた。既にビッグ間で1500Gを超え、そろそろ「天井」を意識する場面である。シオラー32Verは天井からも連チャンするが、ショボ連や単発で終わる事も多い。まあ、そうなったら、また次の初当りまで追えばいいさ…などと考えていたら、突然背後から声を掛けられた。
「お客さん、済みませんが、台の設定確認をさせて下さい」
ハッとして振り返ると、中年の店員が無表情でヌッと立っている。そうか、貼り紙にある「電波ゴト」を確認する為に回って来たんだな。しかし、こんな空いている時間に、わざわざチェックしに来なくてもいいものを…。まぁ、「嫌です」と断るのもおかしいので、素直に従い設定確認をして貰った。慣れた手つきで台を開け、台の設定をチェックする店員。すると…
「この台、設定変わってますね。今から(設定の)打ち直しをさせて下さい」
な、なんだって…!
信じられない事に、私の座っていた台は、電波ゴトの「ターゲット」にされていたのだ。私は、昼過ぎに店に来たのだから、既に朝イチで不正を働いた輩の後釜に座った…という事か。
しかし、私はこの台に4万以上も突っ込んでいる。このまま打ち続ければ、投資以上の大爆裂が待っているかもしれないのだ。裏モノの「波」を信じてやまない私としては、途中で設定変更などされたら、しかも下げられたりしたら、あまりに勿体ないと感じざるを得なかった。
そこで、私は店員にここまでの投資経緯を説明した。そして、「出来れば、このまま打たせて貰いたい」と必死に頼んだが、店員は「それはできません」と機械的に繰り返すのみ。
これじゃ、ラチがあかない…と半ば諦めかけていた時、店長らしき人物がコチラにやってきて、「お客さんがずっと投資してるのは見てたから、サービスでメダルを差し上げますよ」と、なんとも嬉しい事を言ってくれた。設定が変わるのはシャクだが、代わりに幾ばくかの「補償」をしてくれるというのだから、納得する他はない。
私が設定変更を了承すると、店長は私に見えないように台の設定を弄った後、ドル箱サラ盛りで二箱弱のコイン(約1500枚)を提供してくれた。まぁ、自分が投資した枚数分には届かないが、このコインで連チャンに入れてしまえば問題はない。
しかし、考えてみれば、店側が「設定を変えたい」と言ってきた以上、元の設定値はそれ相応に悪かったはずだ。これは後から判った事だが、この電波ゴトを使うと設定は「3」になるという。だとすれば、設定3の台を変更するのだから、1や2に下げられる可能性も大きい訳だ。よって、提供されたコインを即流しして、別の良さげな台に移動した方が良かったのかもしれない。
ただ、その時は、「こうした特別の状況に巻き込まれたのだから、店長が温情で設定を良くしてくれるかもしれない」という、根拠のない「妄想」に駆られていた気がする。貰ったコインを使って最初の台で打ち続けたが、モーニングはおろか、なかなか初当りが来ない。
結局、貰ったコインは全て飲まれてしまったが、追加1万程で待望の初ビッグが来て、それが運よく大きな連チャンに繋がり、最終的にほぼ「チャラ」線まで取り返した。ひょっとすると、本当に店長が事情を考慮して、高設定を入れてくれたのかもしれない(甘いか?)。
しかし、勝負を終えた直後、何とも言えぬ「消化不良感」に襲われた事を思い出す。身勝手なゴト師への怒り、ゴト行為に巻き込まれた己の不運、投資を重ねて育てた台を奪われた喪失感、最初に来た店員の不遜な態度への不満、店長の温情に対する感謝、ギリギリの展開からチャラに戻した安堵感…訳のわからぬグチャグチャな感情を抱いたまま、トボトボ帰路に就いた。
そんな訳で、表も裏も色々とお世話になった「シオラー30」。私のスロライフに少なからず影響を与えた、思い出の一台である。
★追記(2013.1024)
・末期の町田S店について
私がS店のシオラーに通った時期は、主に2002年5月~2003年5月の約1年間です。ちなみに、ハイシオはS店の新台導入時(2001年3月、MSCから回専問屋へリニューアルした時)から打っています。
S店は、その後2005年まで営業しましたが、いわゆる「末期」は新台入替時に遊びに寄る程度で、その頃のシオラーの挙動はあまり把握していません。ひょっとしたら、裏になっていたかもしれませんね。
ちなみに、私が通った時期のノーマルシオラーも(元々波荒なので、当時から「こりゃ裏モノだ」といっていた客もいましたが…)、突如ドハマリを喰らう事がありました。当時のデータ帳には、結構吸い込みの激しさを物語る履歴も多いですね。例えば、こんなデータが残っています。
・2002年7月29日(月)…ビッグ2連後、ストレート1590Pハマリ(追加投資35K)。その後持ち直して、プラス26500円(ビッグ26回)。
・2002年9月6日(金)…5Kで単発ビッグ後、ストレート1359Pハマってバケ単発。さらに2連⇒単発後に再び1233Pハマッてビッグ単発。結局、早い連チャンは一度もなく82000円使って撃沈(4881P、ビッグ8バケ3)
・2002年9月8日(日)…9000円で付いたビッグから順調に伸びるが、16回目のビッグの後に突如下降に入る。776Pで単発ビッグの後、再びストレート1148Pハマってバケ。そこから復活してビッグ31回でプラス29000円。
そんな訳で、一概にドハマリしたから「裏」とは断定できないのですが、ストレート6万はさすがにキツイですし(バケを挟むならば判りますが…)、その分連チャンも激しかったとすれば、裏返っていた可能性は十分あると思います。
なお、S店の記事はコチラにもあります。ご参考まで。
http://blog.goo.ne.jp/selfconfide777mc/e/5f6894f6b33ea2d73683d5e875c3fb3c
(追記終わり)
当時飲み仲間だった先輩からシーサーや台予約の話はよく聞きましたよ。
シオラーは設定5で終日補給以外ほぼフルウェイト取りこぼし無し(判別中除く)の、完璧稼働を僕が唯一達成出来た思いで深い機種です。
単純明快で楽しかったな~
打っていました・・・。 かなりの負債も抱えてしまった名機
です。(告知音が病みつきに・・・)
よくおしりが浮いたのも思い出しました。楽しい記事!
ありがとうございます。
私もシオラー30は良く打ち込んでました。
末期は体感ネタの対策で、レバーにスポンジを巻きつけているホールがありましたね。
今後の更新も楽しみにしています。