1988年(昭和63年)に西陣から登場したハネモノ「大工さんP-3」
盤面上部で「てやんでぇい!」と啖呵を切るヒゲ面のオヤジキャラは、個人的に、「ひょうき〇族」で
ビートた〇し演ずる、「鬼〇権造」を彷彿とさせた。
大当り中は「大工」に因んで、ベートーヴェンの「第九」(交響曲第九番・合唱付)を思わせる、
小気味よいBGMが流れた。
(「大工=第九」の発想は、かつて、某・即席天ぷらそばのCMにも使われた。
山城新伍と川谷拓三(いずれも故人)の背後で、大工の大合唱団が第九を歌うヤツ…)
★旧要件機
★賞球:オール13
★ハネ開閉時間:オトシ0.3秒、ヘソ0.6秒×2
★大当り中の貯留機能アリ(最大6個貯留)
★ハズレ玉3カウントで、貯留解除
★大当り中のハネ開閉回数…最高18回
★最高8ラウンド継続
★現役時の実戦店:新宿・東南口「平和」(閉店)
当時の「平和」…右隣に、ピンク映画の「新宿国際劇場」がある、香ばしい立地だった。
私が本機に初めて接したのは、1990年夏。既に「旧台」扱いだったが、健気に頑張っていた。
まだ、初心者に毛の生えた頃で、出たり入ったりの「遊び台」ばかり打ったが、小箱1つ800個も
出れば満足だった。まだ、「欲」にかられていない、純粋な時期である。
改装後の平和(隣の新宿国際も健在)
4号機時代、2000年前後に改装されたと記憶。
さらなる改装により、平和の「持ち味」だったレトロなネオンは、完全撤去。
※2013年、新宿「平和」はクローズ。その1年前(2012年)、新宿国際劇場も閉館している。
なお、隣のJR代々木駅東口にも、系列店の「平和会館」があって(コチラも既に閉店)、ドラマ
「グッドラック」(1996年、主演:松本明子)のメインロケ地としても知られた。
(ドラマでは、「飛鳥球殿」の名で登場)
★大当りまでの流れ
ハネ開閉時、ヤクモノ真上から入賞した玉は、上段ステージを経由して落下する。
下段ステージ奥から手前に転がった玉が、手前中央Vゾーンに入れば、大当りとなる。
但し、下段奥左右とV両サイドにはアウト穴があって、V入賞を阻む障壁となった。
また、上段は中央に「突起」、左右に「ミゾ」があり、上段の玉は左右にバラけ易い。
下段左右に落ちた玉はハズレ易く、この突起やミゾも、V入賞率を下げる要因の1つだった。
★ヤクモノの特徴
・一風変わった「ハネ」
普通、ハネモノといえば、ヤクモノ両サイドのハネが、ヘソ・オトシの始動チャッカー入賞で、
パカッと左右に開くのが主流である。左右にガバッと開いたハネが、盤面の玉を拾い取る構造だ。
だが本機は、アーム型の両ハネの先端が、通常時、ヤクモノの「天井」と化して、真上からの
玉の入賞を完全ガード。普通のハネモノと違って、ヤクモノ両脇の入賞ルートは存在しない。
このハネが、チャッカー入賞で「くの字(逆くの字)」に折り曲がって拡がると、ハネ先端の天井も
左右にスライドして、ヤクモノ上部はガラ空きとなる。この時、ヤクモノ入賞のチャンスとなる訳だ。
つまり、「開いたハネが玉を拾い取る」のではなく、「邪魔なハネがいなくなり、玉が入り込む」タイプ。
いわば、ハネモノの常識を覆した、この独特なハネの動きこそ、本機の大きな特徴であった。
但し、変則的なハネの作りとゲージ構成は、同時に「寄り悪」の傾向も生み出した。したがって、
本機は他機種以上に、寄りのチェックが重要ポイントとなった。
ハネ開閉時間は、オトシ「0.3秒」、ヘソ「0.6秒×2」。当然、ヘソ入賞時の方が、玉を拾い易い。
元ゲージもヘソに流れ易い形だったが、それ故に、ヘソがガッツリ絞られるケースも目立った。
ただ、オトシでもV入賞のチャンスは十分あったから、オトシが甘い台なら勝負になる。
・ヤクモノの「大工さん」
(以前「殿堂・蕨店」で撮影した、ヤクモノの接写画像)
センターヤクモノでは、コミカルな表情をした二人の「大工」が、左右で向かい合う。
二人とも、「ねじり鉢巻、ハッピ、股引、足袋」の定番スタイルで、手には「トンカチ」を持っている。
向って左側、赤いハッピの大工さんは、「ドロボウヒゲ」が特徴。顔つきはいたって真面目だが、
つぶらな瞳で愛嬌タップリ。
一方、右の青ハッピの大工はニキビ面で、左よりも年が若い印象だ。コチラは、ニコニコと笑顔。
なお、ヤクモノ奥に「職人技」、下段ステージに「西陣組」と書いてあるのも、遊び心を感じた。
★大当り中の流れ
大当りすると、上段ステージにストッパーが出て来て、上段左右に玉を貯留するようになる。
貯留は左右3個づつ。最大「6個」の貯留が可能。それ以上は、下段にこぼれ落ちる。
もちろん、貯留6個以下でも、上段に貯留されず、下段に落ちる場合もアリ。
ハズレ3カウントで、上段ストッパーは解除。上段左右の貯留玉も、ドバっと一気に落下。
そして、落下したうちの1個が、手前Vゾーンに入れば、大当りは継続する。
なお、貯留解除でVを外した場合、その後、左右の大工さんが、静止状態からトンカチを
上下させるようになる。
さらに、トンカチの動きに合わせるように、Vゾーンもガタガタと上下に動く。
(これらの動きは、ラウンド間も発生)
上下するトンカチは、下段に来た玉を中央Vへ寄せ易くする一方で、下段左右の玉をブロック。
故に、早々にハズレ3カウント⇒貯留解除となってVを外しても、トンカチの動きでV継続をアシストする
ケースはあった。無論、6個貯留時の3カウント解除では9カウントとなる為、解除時にVを外したら
継続は厳しくなる。
やはり、なるべく貯留を多くしておき、貯留解除前か貯留解除時にV継続となるのが理想。よって、
ここでも「寄り」の良し悪しがポイントとなる。クセにもよるが、継続率は割と良好な部類に入った。
(トンカチを振り下ろした瞬間。)
★西陣チャッカーの「魅力」
個人的に、本機の始動チャッカーの形状には、ある種の「愛着」がある。
(オトシ…1回開きチャッカー) (ヘソ…2回開きチャッカー)
当時の西陣ハネモノには、様々な形の始動チャッカーが存在。その中でも、特に私が好きなのは、
本機に採用された、派手な装飾も無く、「ACT1/ACT2」とのみ書かれた、橙色の控えめなチャッカー。
形は小さいが、半透明のプラスチックの奥で、ピカピカ光る電飾がよく映えた。このチャッカーに
玉がスッと吸い込まれると、何とも気持ち良く思えたのだ。
本機の他、「スーパーブラザーズ」「パチンコ大賞」「マッハシュート」などが、同タイプのチャッカー。
何れも私の「大好物」だった。特徴あるヤクモノに加えて、チャッカーの魅力にも惹かれた格好だ。