薩摩おごじょ

薩摩狂句勉強中です。

7月のフォト狂句

2010-07-30 22:04:08 | 日記
今月も駄目だった














★今月の課題吟から

1.「小銭(ぜ)ん握(にぎ)っ」の「ん」は読み仮名です。「銭」を共通語で振り仮名をつけると「ぜに」となります。「ぜに」の「に」が、鹿児島方言では「ん」に変るわけですから、送り仮名にするのは間違いです。かなりのベテランでもよく間違う事があります。同様の例。「耳(みん)」「海(うん)」「鏡(かがん)」 など名詞の場合は「ん」は送らないと考えれば良いでしょう。ただし、動詞の場合は「生(産)む」は「生(産)ん」、靴などを「履く」は「履(ふ)ん」となります。間違いやすいようですので注意しましょう。
 また、「小銭」を「ぜん」と読ませるのにもやや無理があります。「小銭」と書けば「こぜん」と読ませるべきでしょう。
 この句の場合、「銭(ぜ)ぬ握(にぎ)っ」とすれば「銭を握って」と言う意味になります。六月灯の夜、子供が小遣を貰って胸躍らせながら夜道を走っていくわけですから、小銭であることは全体から分かるのではないでしょうか。句としては、情景が眼に浮かび子供の胸の動悸までが聞こえてきそうなとても良いと思います。ただ、課題から外れているのが惜しいのですが。自由吟なら最優秀作品候補です。

2.「割い合わん」は「割(わ)い合(お)(あ)わん」と振り仮名をつけたほうがわかりやすいでしょう。「鹿児島方言には振り仮名をつける」と考えれば良いと思います

3.「太(ふ)て」と「大(ふ)て」の区別をしましょう。鹿児島方言では、どちらも「ふて」と発音され混同しやすい語です。
辞典によれば、「太い」は①「周りの長さや横幅が大きい」例として「太い柱」「太い線」、②肥えている。肉が豊かである。③物に恐れ動じない。安定している。「肝が太い」④声が低めで音量が豊かである。「太い声」。

「大きい」は①(物の形にいう)容積・身長などが多くの場所を占めている。かさ張っている。「大きい荷物を背負う」②量が多い。程度がはなはだしい。ひどい。「身代が大きい」「声が大きい」③範囲が広い。規模がすぐれている。「大きい計画」④包容力がある。度量がある。「人物が大きい」⑤大げさである。「大きいことを言う」(広辞苑より抜粋)
 「太(ふ)て魚(いお)」は「太った魚」で、「大(ふ)て魚(いお)」は「大きい魚」という意味になりますね。このように、漢字の使い方で意味が違ってきますので、注意が必要です。

★ 今月の自由吟から

1.「滅多(めって)」は「滅多に」 の意味ですから「滅多(めっ)て」となります。

2.「太陽」のことを「ひどん」という言い方があるのですね。「日殿」の転訛で旧揖宿郡の山町、頴娃町、開聞町、それと長島、甑島の言葉だそうです。私は知りませんでした。「おてんと(ど)さあ(お天道様)」「おひさあ(お日様)」と言っていました。勉強になりました。

3.「妙(みょ)な空い」は「妙(す)だ・・・」という言い方がありますね。
 「くちっ」は「食らい付く」ですから「食付(くち)っ」でいいと思います。

4.「梅干し 先(さき)乾上(ひゃが)ったち・・・」で「先(さ)き」(「先に」の意味ですから「き」は送り仮名にします。「乾上がった」は、一般的には「ひあがった」といいます。ただし、このままでは中八の破調句になりますので、もう一工夫必要です。「乾上(ひゃが)っ」という言い方があれば構いませんが。
                  黒柱先生評