のほほん書斎(日高茂和)

幸せの味

その人の好きな料理はとうもろこしのスープなのだという。
母親がよく作ってくださったのだそうだ。おそらくいつも大喜びで食べるので、お母様も作る機会が多かったのだろうと思った。
話を聞くだけで、幸せな食卓の景色が想像できた。
私や、姉たちの思い出の味のひとつは、母が弁当のおかずにつくってくれた、たまねぎとソーセージを卵でふんわりとじたものだ。
父母の法要ぐらいしか集まる機会はなくなってしまったが、いつもその話題で盛り上がる。
私にはもうひとつの思い出の味がある。たまねぎのみじん切りが入った卵焼きだ。これも母が弁当のおかずによくつくってくれた。
今思えば、少しでも野菜を多く食べさせたいという母の思いがこもっていたのだろう。
親しい友人夫婦の家でゴチソウになることがあるが、その時は遠慮なく奥様にたまねぎのみじん切りの入った卵焼きをリクエストしてつくってもらい、甘えん坊に逆戻りしている。
人それぞれの「幸せの味」の話を聞くのは、きっと優しく暖かい心をつくってくれる。そんな気がする。
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