師走の初旬に白石の漁港を散策したときの一首 小春日のかすかな風に波光り穏やかな午後有明の海 昭和前期の風情ただよう民家飲食店舗の解体を見ての一首 またひとつ昭和の姿消えてゆく名残惜しくも諸行は無常 佐賀城付近の旧武家地を散策したときの一首 いにしえの面影求め街歩く古地図の場所に寺は残りぬ 夕暮れの散歩の時に川面に光る夕日を眺めての一首 世を覆うやまいの憂い焼き尽くせ川面に燃えるきらめく入り日よ 八月三十一日、台風を前にしての一首 台風が来るのは覚悟の月なれど葉月つごもり残暑は酷暑