前回の投稿で、『籠毬競技 (弄球遊戯叢書 ; 第1編) 』高橋忠次郎 著 榊原文盛堂 明37年〈1904〉をご紹介した。90年前の書と記したが、計算違いをしてしまった。120年前のことになる。同書には、競技規則として、15項があげられている。とても興味深い。今回はその5までをご紹介し、若干の解説を付すことにする。
『籠毬競技 (弄球遊戯叢書 ; 第1編) 』
第4章 競技規則
一、最初開戦の時は審判官(教師)が技場の中央即ち直立して球を空中に高く投ぐべし
【今のようなセンタージャンプが行われていたようだ。中川】
二、球を送るには手又は頭其他孰(いず)れの部分にて送るとも差支(さしつかえ)なしと雖(いえど)も 足にて送る事は嚴禁たり 若(も)し之(これ)を犯したる時は敵に自由投げを爲(なさ)らるるなり 自由投とは其(その)首将が球を持ちて前なる横線上に立ちて 巳(おの)が組の方の籠(かご)に入るることの自由の特権を言ふ
【パスは、足によるキック以外は、身体のどの部分を使ってもよかったようだ。「頭」とあるので、ヘディングもOKだったのか? 反則すれば、自由投=フリースローが即与えられたようだ。中川】
三、敵の受球を妨害すべきは勿論なりと雖(いえど)も故(ことさら)らに転倒せしむるが如(ごと)き麁暴(そぼう)の行為と敵の持ちたる毬(まり)を奪取するが如き事あるべからず 若しこを犯したる時は自由投げをせらるるなり
【パスキャッチを妨害したり、倒したり、殴ったり? 粗暴な行為は禁止! 反則すればフリースロー】
四、演技者各自は其指定せられたる技場内にて自由に活動すべし 決して横線より一歩たりとも踏み出すべからず 但し足を除きたる身体の部分が出てたる時は(手又は頭等)敢(あえ)て差支(さしつかえ)なきものとす 若し之を犯したるものは前の第二項の制裁を受くべし
【サイドラインを踏み越えてはいけないが、踏み越えなければ、他の身体の一部がラインを越えてもかまわない。今と同じ。中川】
五、球を受取りたる時は速(すみやか)に其場(そのば)より投ずべし 決して馳(は)せ進みて投ずるが如き卑劣手段を行ふべからず 若之(もしこれ)をし犯す者は第二項の制裁を受くべし
【ボールキャッチ後は、1歩たりと動いてはいけなかったようだ。「馳せ進」めばトラベリング。これは「卑怯手段」となる。】