なにが足りないんだろう。
助けてあげればいいのかな、見知らぬ誰かを。助けてって叫べばいいのかな、見知らぬ誰かに。
ベッドの中で見る夢も道端に蹲って見る夢も、僕にとっては同じことなんだ。
だってその夢は必ず覚めてしまうから。
目覚めた僕の前には、誰もいないから。
夜明け前、泣いている人を見たんだ。
「淋しいの、悲しいの、それが辛いの」
その人は誰かの影に寄り縋って泣いていた。寄り縋る人がいることの意味も知らずに、まるで綿菓子が溶けていくのを憂いているみたいだ。そう思った僕は、やっぱり何か足りないのかな。
ねえ、僕は泣いている君を見ていたんだ。
でも君は僕がそこに居たことを、この先もずっと知らずにいるんだよ。
あのとき、この世界にいたのは君の方なのに、泣くのはちょっとずるいんじゃないかな。
僕にはなにが足りないんだろう。
助けてあげればいいのかな、見知らぬ誰かを。助けてって叫べばいいのかな、見知らぬ誰かに。
ベッドの中で見る夢も道端に蹲って見る夢も、僕にとっては同じことなんだ。
だってその夢は必ず覚めてしまうから。
目覚めた僕の前には、誰もいないから。
夜明け前、泣いている人を見たんだ。
「淋しいの、悲しいの、それが辛いの」
その人は誰かの影に寄り縋って泣いていた。寄り縋る人がいることの意味も知らずに、まるで綿菓子が溶けていくのを憂いているみたいだ。そう思った僕は、やっぱり何か足りないのかな。
ねえ、僕は泣いている君を見ていたんだ。
でも君は僕がそこに居たことを、この先もずっと知らずにいるんだよ。
あのとき、この世界にいたのは君の方なのに、泣くのはちょっとずるいんじゃないかな。
僕にはなにが足りないんだろう。
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