強すぎる光に負けない烏の黒、路地裏の猫、草陰のヤモリ、なにもかもが湿気めいた彩の濃さ。
あんなに風が夏を謳っていたのに、吹きすさぶ乾いた木枯らしに変わらないのは電柱の烏の黒い艶。
そこだけがモノクロの世界に光を返し、真っ黒な羽に覆われた姿意外、際立つ命の気配はどこかへ押しやられていた。
地上の雪が何もかもを隠す。
どこまでも続く雲の波が空の青を隠す。
だけどそれは世界が示すある種の見つけ方なんだ。
たとえば僕は君といる時、君の光を見ていたくて僕の光を少し弱める。
つまりは僕が雪になって雲になって、輝く翼で君が美しく羽ばたく姿をこの世界に知らせたいんだ。
その時々で世界は本当に輝くものを僕たちに知らせようとしている。
そうやって見渡せば、隠されているその光景すら力強く鼓動し始める。
俯き、跪き、打ちひしがれていても、空と大地の鼓動がきっと君に伝播して、いつかその光を見ることが出来ると、僕は信じているよ。
今は襟を立て、身を寄せ、その時を待とう。
切り捨てられた葉牡丹の茎が小さな芽を出すように、それはとても確かなことだから。
烏が雪に濡れ羽をひろげる深閑に、ほら、行く方の風、東から。
あんなに風が夏を謳っていたのに、吹きすさぶ乾いた木枯らしに変わらないのは電柱の烏の黒い艶。
そこだけがモノクロの世界に光を返し、真っ黒な羽に覆われた姿意外、際立つ命の気配はどこかへ押しやられていた。
地上の雪が何もかもを隠す。
どこまでも続く雲の波が空の青を隠す。
だけどそれは世界が示すある種の見つけ方なんだ。
たとえば僕は君といる時、君の光を見ていたくて僕の光を少し弱める。
つまりは僕が雪になって雲になって、輝く翼で君が美しく羽ばたく姿をこの世界に知らせたいんだ。
その時々で世界は本当に輝くものを僕たちに知らせようとしている。
そうやって見渡せば、隠されているその光景すら力強く鼓動し始める。
俯き、跪き、打ちひしがれていても、空と大地の鼓動がきっと君に伝播して、いつかその光を見ることが出来ると、僕は信じているよ。
今は襟を立て、身を寄せ、その時を待とう。
切り捨てられた葉牡丹の茎が小さな芽を出すように、それはとても確かなことだから。
烏が雪に濡れ羽をひろげる深閑に、ほら、行く方の風、東から。