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ロコレさんの記事より~ヨン様記事

2016-05-21 15:58:03 | hyororin分室

ペ・ヨンジュン 過去への旅路〔第12回〕

第12回 大ブームを起こした『冬のソナタ』

2001年12月8日、

『冬のソナタ』の出演者が集まり、シナリオを読む練習が行なわれた。

このとき、ユン・ソクホ監督はペ・ヨンジュンに久しぶりに会ったのだが、

「彼は俳優として風格が出てきた」と率直に感じたという。

高校生役に挑戦

風格……。

このとき、ペ・ヨンジュンは29歳だった。

デビューしてから7年が経っていた。

寡作ではあったが、常に全身全霊を傾けて出演作に取り組み、

作品ごとに多様な演技スタイルを身につけていた。

しかも、その年の夏にはアメリカで3カ月あまりを過ごし、

見聞を広めることで人間的にも幅広い素養を身につけていた。

そうしたすべての要素が、

ユン・ソクホ監督が言うところの「俳優としての風格」に結びついていたのである。

ペ・ヨンジュンにとって、まさに『冬のソナタ』は20代の最後を飾るにふさわしい作品だった。

ただ、心配な点があった。

それは、学生服を着て高校生役を演じるということだった。

韓国ドラマの常識からいえば、

そういうときは子役を使うものなのだが、ユン・ソクホ監督はそうしなかった。

「高校時代と10年後の姿が違うと、あまりにギャップが大きくなってしまう」というのが理由だった。

子役を使わない利点

……どう演じれば、普通の高校生のように見えるのだろうか。

ペ・ヨンジュンなりに、いろいろと工夫を試みた。

その中で、特に心掛けたのが、目の演技だった。

言いようのない孤独、出自に対する猜疑心、

異性への恥じらい、大人への反抗、初めての恋の喜び、純粋すぎる感性……。

そうした10代の情感をペ・ヨンジュンは目の動きで表した。

もちろん、29歳が17歳を演じるのだから、

映像の上で違和感が残るのは仕方がないことだが、

それでもペ・ヨンジュンが演じた高校生には、

「本当にこういう子がいるんだろうなあ」と思わせる真実味があった。

だからこそ、『冬のソナタ』は初恋を追憶するドラマとして大成功したのである。

ユン・ソクホ監督の意図は、本当に正しかった。

仮に、高校時代のチュンサンに子役を使ったとしたら、

視聴者はこのドラマにあれほど感情移入できただろうか。

多少の無理は承知のうえで、ペ・ヨンジュンが高校時代と10年後の両方を演じたからこそ、

初恋への追憶はあれほど真に迫っていたのである。

それは、高校時代と10年後を同じく演じたチェ・ジウも同様だった。

二人はまさに最高の共演相手を得たといえるだろう。

自分をさらに生かす道

『冬のソナタ』の撮影は、

2001年12月12日に南怡島(ナミソム)で始まり、

2002年3月18日の外島(ウェド)で終わった。

3カ月以上にわたった撮影で、

ペ・ヨンジュンはずっと疲労の極致にいた。

南怡島での撮影時から風邪で高熱を発し、

以後は睡眠不足と極度の寒さにさいなまれ、心身ともに休まるときがなかった。

しかし、終わってみれば、本当に大きな果実が成っていた。

放送に合わせてその場しのぎの撮影が連日続いたのに、

完成してみれば『冬のソナタ』は放送史上に残る傑作になっていた。

しかも、国内だけではなく、アジア各国で熱狂的に受け入れられ、

主人公を演じたペ・ヨンジュンは韓流のトップスターとして絶大な人気を得るようになった。

ペ・ヨンジュンもしみじみ思ったことだろう……

朝起きてみたら人生が劇的に変わっていた、と。

まったく予想外のことが起きるのが人生だとしても、

ペ・ヨンジュンの周囲で起こった変化は想像の限界をはるかに越えていた。

「もはや、このからだは自分だけのものではない」

『冬のソナタ』以後のブームの中で、

ペ・ヨンジュンは常に「ファンに支えられる自分」を強く意識するようになった。

そんな自分の人生を振り返るたびに、

ペ・ヨンジュンは「あのとき」のことを思った。

それは、アメリカから戻って、その後の進路について葛藤した日々のことだ。

あのとき、

違う選択をしていたら、自分にはどんな人生が待っていたのか。

恩人に報いたいと『冬のソナタ』への出演を決めたのだが、

結局はそれが自分をさらに生かす道となった。

損得ではなく、人間としての情を大切にする……そんな人柄があればこそ、

ペ・ヨンジュンの前に新しい世界は開けたのである。

(次回に続く)

文=康 熙奉(カン ヒボン)


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