「木々おの~名乗り出たる木の芽かな」「垣添や猫の寝る程草青む」 ・一茶
気温が上がってきました、散歩に出るとあたりが枯れ色から薄緑の色に替わってきました。草木の芽生えが寒さで冷たくなった気持ちを温めてくれます。
・4月は年度替わり、新しい出発の月です。 一年生が両親と一緒に桜の下で写真を撮っている姿、会社では自分の将来の夢を実現するために選んだ会社へ初出勤の月。
ところが、先日「退職代行会社」が20社以上もあり、その実態を報道で視て驚きました。「石の上にも三年」終身雇用時代に生きた老人には考えられない。これが「時代が変わった」ということなんだと思いました。そして、
まだ4月の初め、すでに会社を辞めるという人のためのこの会社「本人の代わりに退職の意志を会社へ伝える」「手続きを代行する」「精神的なサポート」を目的に設立し、すでに多数の依頼があり連日多忙という。2万円~5万円も支払い退職代行を依頼する新入社員の気持ち、老人には理解しがたい。がいま人手不足「売り手市場」の環境下での再就職はさほど苦労しなくても可能だそうだ。
老人も数回会社を替えた経験がある。「退職届や退職願」を形式に従って書いた。誰でも辞めるにはそれなりの理由があるが、ホテルという仕事は言語の違いを除けば世界に通用する職場、でも、独身時代はともかく妻子の居る身にとっての退職・転職は家族に心配をかけた、今も忘れられない暗く辛い時間だった。
優れた指導者上司は今でも忘れられない、嫌な上司も居た。部下は自分で動かせるが上司は替えられない我慢しかない。後で思えば、これも良い経験「反面教師」だったから。自分がその立場になったときに役に立つ。部下の立場、上司の立場の経験は本を読んだだけでは分からない。「経験すること」が「真の意味で身に付いた知識」ではないかと私は思う。(ホテルという仕事かもしれないが)、「畳の上の水練」でなく、実体験・経験は尊いものだと思う。現場で苦労し経験し覚えた知識は強いものだ。
人生70年80年の時代、1年や2年はあっという間に過ぎる、やってみてなければ分からない。今は昔、職人の弟子は親方の仕事を見ながら覚えた。そんなことを言うのは古代人間の爺さん、と言われそうだけど。頭で仕事を覚えない、現場で身体で覚えた仕事が本物、身に付く。
今の時代、転職は容易だろうけど、人間「我慢・忍耐」で得られるものは大きい。「迷悟吾れにあり」、「自分」で判断し決め、自己責任で生きていくしかない。他人のせいにして生きて行けば、いつまでたっても「自立」することは出来ない。
人が生きるということは、楽しくって、辛くって、何があるか、何が起こるか、先の事が分からない、でも死ぬまで生きてるものだ、 この歳になって、他人のためにお役に立つ仕事ができた喜びをいま感じている。
・あじさいの芽