我々の周囲では、死刑を廃止すべき、と言えば、何を非常識なことを、と考える人がまだ多数だと感じている。少なくとも、原発を廃止することが非常識だ、と考える人よりかなり多いだろう。だが、死刑に関する日本国内の常識が、この半世紀の間に世界標準と異なって来ていることは意識されていない。この四半世紀の間に、国家が死刑を存置する積極的な姿勢を持つことは、特異なことになりつつある。その趨勢と断絶して、死刑を廃止しようと考えない、この日本の感覚の欠落が何に起因するのか、それはまだ分からない。 . . . 本文を読む