協働の中での差別事例と、どう向き合っていくのか?
僕が現在参加しているNPO法人風雷社中が拠点の場所提供している事業に「おもちゃライブラリーじゃりかふぇ」というのがある。今年度の大田区の地域力応援基金スタートアップ助成で、障害のある子どもとない子どもが一緒に勉強する塾の事業を申請した。
その審査会でひどいことを言われた、と相談を受けた。
障害のある子どもは一緒にしてはだめだ、障害のない子どもに迷惑がかかって勉強できない、と審査員が主張したというのだ。
その審査員は、「なぜ特別支援学級があるのかわかりますか?障害のある子どもがいたら勉強ができないからですよ!わかっていないのではないですか」「私は人権問題に関わっているのだからあなたよりわかっています」と主張をして譲らなかったとのこと。
この報告を我々が受ける中に居合わせた、障害平等研修をすすめるDETフォーラムのメンバーも、これは看過できない事例だね!許せない!と話した。
その発言をメモに起こしてもらい、事実確認のために審査会を主催している区民協働担当に出向いた。当初は審査は非公開なので、審査の中の発言を問題にしては困ると言っていたのだが、明確な差別事例にあたること、非公開の場所でおこなわれているからこそさらに深刻な問題であること、私たち風雷社中はこれをなかったことにはできないことを伝えた。
後日、区民協働担当から、メモで改めて確認したところ、その当時は気づかなかったが差別事例に当たること、本来制止すべき発言だったこと、再発防止につとめることを告げられた。
しかし、もっとも重要な問題は、こうした発言が非公開の審査の中でなされること、審査員や区民協働推進委員全体の中で共有されたり振り返られたりする仕組みがないことにあると考えている。
スタートアップの審査が完全に終了した時点で、再度担当に出向き、この発言をした当事者と、知的障害児者支援に日常的に関わっている風雷社中の事務局長(大田区自立支援協議会委員・こども部会所属)の話し合いを提案してみたが、それは困難である旨を伝えられた。
こうした差別事例の再発を防ぐにはどうしたらよいのか。
今回我々の知るところとなったのはあまりに偶然のことだ。本来なら闇の中だ。もし、この発言が他の団体の同様の企画に対してであったら、その団体はそれ(障害のあるこどもは迷惑をかけないように障害のないこどもと別にしなければならない)を現実としてそのまま受け止めてしまったかもしれない。そして、そこに関わっていた、知的障害や発達障害のこどもを持つ当事者の親も、その「指導」を受け止めるしかないのだ。
こうした経緯を受け、我々が参加しているNPO活動団体交流会でも、この事例を報告し、課題として共有する必要性を確認した。
そして、今日の「おおた区民活動団体連絡会、大田NPO活動団体連絡会主催 大田区役所区民協働担当との懇談会」の場で、1分程度の発言の機会ではあったが、事例として明らかにした。参加者がどの程度、この課題の重要さを認識したのか、それはわからない。障害者のことは全体の話ではなく個別のこと、といった旨の発言をする人もいた。
正直、区民協働担当とは仲間という気持ちでやってきたし、これからもそのスタンスには変わりない。だから、この件について話しに行く時は、いろいろなことを余計に詮索したり気遣ったりして、正直気も重いし気まずい。しかし、差別事例に向き合い、そこから前に向かっていくことは僕らにとっては必須の責務で、そこを避けて表面的な付き合いしかできないとすれば、あまりに悲しい。だから、今後もきちんとやっていくつもりだ。
障害は個人や家族の問題ではなく、社会の側の問題だ。日本が国連障害者権利条約を批准したことで、それは国家の方向性として確認されている。その課題を我々の地域の日常へと落とし込むことへの具体的な歩みを止めてはならないと、改めて思う。
何ともひどい話ですね。
今僕は教育問題(イジメ)にどう取り組むか考えています。
とても参考になります。
またお邪魔します。