人並み？の羞恥心を・・

「おーい，話が有るからこっちへ来てくれ！！」

いつもの椅子に座って，コーヒーを飲んでいます。
『カアー，カアー，カア』
お隣の鬼瓦に止まって，こちらを見下ろしているカラスを呼びます。

『何の用だ！！カアー，カア―』
「大きな声では出来ない，君たちの恥ずかしい話だ　
　　　　　　　　　　　　　　いいからもう少しこっちへ来い！！」

『仕方ない，行ってやるかアー　　バサバサバサ』

いつも聞き分けのないカラスですが，今日は機嫌が良いようです。
屋根瓦から，駐車場の電柱に飛んできます。

『忙しいんだかアーら，話なら早く言わんかアー』
カラスは電柱のてっぺんで，横を向いて，耳をこちらに向けます。

「あのなぁー　聞いた話だがなぁー」
「徒党を組んで　街中でゴミ漁りをしているらしいなぁー」
「お前と“連れ”だと思われている爺さんは，恥ずかしいぞ」
「鬼瓦の上で威張っていないで，やつらの所に行って言ってやれ！！」
「恥ずかしいゴミ漁りは，もう止めよう！　人並み？の羞恥心を持とう・・とな」

『・・・・』
今度は，返事をしません。

「なに！！　嫌だと！！」
大人しく私の説教を聞いていたカラスですが・・・
嘴を電柱のてっぺんに擦りつけ，何度も首を横に振ります。
拒否の様です。


「待て，待て，まだ話が有る　もう少しそこに居てくれ」

態度で拒否したカラスは，捨て台詞を残して飛んで行ったんです。

『要らぬ世話だ！！お前のいう事なんかアー，きけるかアー』
『ゴミは，俺たちの生きる糧だ！！』
『コーヒータイムに付き合ってやったんだから　有り難く思わんかアー！！』


やれやれです。
今日の１日は，始まったばかりです。

“次は，野バトでもこないかなぁー”

おあいにくさまぁー

今日もポカポカ陽気の，一日です。
１時間もすれば日の暮れる頃，空にうろこ雲が出ています。

“あらら，鴨が群れて”
河川敷まで散歩に来ています。
群れている鴨が順番に，水面から河川敷にピョンピョン飛び上がっています。
先に上がった鴨は，草の間を突っついています。


“驚かさないようにしないとなぁ”
少し歩くスピードを落とし，携帯を構え，そろりそろりと近づきます。


「悪い人じゃない，何にもしない，ブログアップの写真を撮るだけだ」
呼び掛けますが，近づく私の気配に気が付いた鴨は岸に後戻りです。


『クエ，クエ，クエ，クエ　警戒，警戒，人相の悪い爺さんが・・・・』
後戻りしたカモは，水面のカモに教えます。
岸に近づいていた鴨が，鳴き返します。
『クエ，クエ　了解！』

「待ってくれ，もう少し近づけば，君たちがキレイに撮れるんだから」

カモをなだめながら，一歩，歩を進めます。

『クエ，ク　いつも言われているんだ！！』
『知らない人に声をかけられたら，大声上げて逃げろと』
『ポチャーン』

一羽が，水面に飛び込みます。
続いて，仲間が『ポチャ，ポチャ，ポチャーン，ポチャーン』
『おあいにくさまぁー』


“あーぁ残念”
“河川敷まではめったに来ないから，カモと馴染みが無いからなぁ”
“今度は，カラスに聞いて君たちの気に入るようなお土産を持ってくるかな”

“陽も山の間に沈みかけたから，帰ろ　かえろ”

ムラサキシキブ

“良いんかなぁ？１２月なのにこんな小春日和が続いて”
今日も午前中は青空，ポカポカ陽気です。

“勝ってもらわないと”
今日はクラブワールドカップ，「サンフレッチェ」の試合が有ります。
アフリカ代表「マゼンべ」との戦いです。
勝てば４強，世界の「メッシ」との夢の対決に一歩前進です。

試合が有るのは，大阪長居スタジアムです。
「生」応援には行けません，当然ＴＶ応援ですが・・・

“Ｊリーグで優勝した時も，インタビューで，監督が言っていたからなぁ”

『ファンの声援が，「後押し」してくれました』

“何か，サンフレッチェ＝紫の，応援グッズはないかなあー”
今日も，是非勝ってもらわなければいけません。
「行け！！バカ！！ようーし」
ＴＶの前での声援はいつもの事ですが，今日は＋「後押し」グッズを捜します。

“これだ，これだ，ばっちりムラサキ，最高の「後押し」グッズだ
　　　　　　　　　青空にかざして振れば，スタジアムまで届くはずだ”

見つけた，「後押し」グッズ，ムラサキシキブの実です。
ムラサキシキブは，裏庭の隅で葉が落ち紫の実だけになっています。
その枝を切り取り，青空にかざし振って応援です。

「ここにも，ムラサキが実ってるぞー　がんばれ！！」


「やったぁ！！勝ったぁー！」
「本当に勝ったぁー！！」
堂々の３対０，圧勝です。

相手は，アフリカ王者です　　まさか勝つとは・・・
本音で言えば，勝つのは無理・・
負けてしまうかもなぁ・・・でした。

それに，余計心配だったんです。
折角の「後押し」グッズが・・・

「ムラサキ 色負（しきぶ）＝ムラサキイロ負け」だったもんですから


ＰＳ）羽生君の衣装にも　「ムラサキ」
　　　やっぱり今日は，「ムラサキ」の日だったんです。

人間様は 大変だ

昨日の風が嘘のよう，空は青く小春日和の朝です。
庭に出て，コーヒーを飲んでいるんです。

『カアー，カアー』


いつものカラスが，お隣のアンテナに止まって何か言っています。
「え～と，何だと？」
『カアー，カァー，カッ，カアー』
『おーい，爺さん，暇にしているから遊んでやるぞぅ』
と言う事らしいんですが・・・

「今日はダメ，外でお前と遊ぶ暇はないからなー」

折角の誘いですが，今日は室内の仕事が有ります。
カラスに断りを入れて，家に入ります。

“毎年の事だからなぁ”

いつもは２人，それが正月には大人７人，子供２人計９人に増えます。
リビングを，少しでも広く使える様に模様替えします。

「あっ，イタ！！　重たい，一旦降ろして」
「ダメ！！　足が引っかかってる，やっぱりソファを動かすのが，先！！」
「やっぱり，前の方が良い，元に戻そう」
『それなら，これをあっちに，あっちにこれを，こう向けて』

一旦動かし，また元に戻してまた動かし，ドタバタはいつもの事です

“ふー，まぁこれで良いか，これで良し”
昼食も忘れて，「仕事に励み」やっと一応完了しましたが・・・

“雰囲気は少し変わったが，３年前と同じかなぁ”
スペースは限られています，家具も変わり映えしません。
毎年の模様替えも，結局は，何年か前と同じになるようです。

「おーい，終わったぞー，今からなら遊べるぞー」
山で騒いでいるカラスに呼びかけましたが・・・
思いがけず，今日は，まっとうな答えが返ってきます。

『カア，カア，カア，カ，ご苦労さん』
『盆だ　正月だ　広いの　狭いの　リビング・キッチン・ダイニング』
『人間様は　大変だ』

『わしらは　その点救われる
　　　山中　ぜぇーんぶ　居間に寝室，台所や食堂だ』

サンタさーん

『クリスマスプレゼントは，すみっコぐらしスウエット素材・・が良いです』
『私は，ドキドキプリキュア・・をお願いします』

９歳と５歳の姉妹，離れた所に住む２人の孫からメールが届きます。

“すみっコぐらし・・・？ドキドキプリキュア・・・？なんのことだか？”
“これだ，これだ”
ネット検索で，やっと分かります。
キャラクターの付いたポーチに，アニメに出てくるお道具箱？の様です。


“ネットショップなら，『お願い』を叶えるのは簡単だ”
プレゼントは，「ネットショップで」とは思ったんですが・・・

“こういう機会でないと，おもちゃ売り場に行く事もないからなぁ”

車で３０分，数年前に開店した全国チェーンのおもちゃ屋さんに出かけました。


“有った，有った”
「ドキドキプリキュア・・・」は，入り口近くのコーナーで直ぐに見つかります。
これで一つは，ＯＫです。

“無いなあ”
もう一つの「すみっコぐらし・・・」がなかなか見つかりません。
店内を，目を凝らして捜して歩きます。

“えっ，これがＴＶで見た『爆買い』？”
“この店では，オムツも売っていたんだ”

商品満載のカートを押し，日本語では無い言葉を話す，男・女とすれ違います。
カートは２段，下のかごには箱に入ったオモチャが無数？に入っています。
オモチャの上には，窮屈そうにオムツが２袋積んであります。
そして，上のかごにもオムツの袋が，１．２．３，４・・・

“へえー，都会だけかと思っていたが・・・地方でも”
“びっくりぽんや！！”
“もしかして，頼まれたんかなぁ”

『サンタさーん　プレゼントには　日本のオムツが欲しいでーす』


ＰＳ）市内３店のおもちゃ屋さんで捜しましたが・・・
　　　すみっコぐらし・・・は，見つかりません，新製品の様です。
　　　結局，ネットショップにお願いする事になったんです。

チイパッパ♪

雨の予報だからなぁ，今日の散歩は早い方が良いなあ“

午後からは小雨，夕方から本降りの予報です。
雨の降らないうちにと，早めの散歩に出かけます。

“スズメだ，スズメだ”


我が家から２０分程，河口湖に近づいた辺りです。
アスファルト道路の上に，「たむろ」しているスズメを見つけます。

「チュン，チュン，チュン，チュン，チュン，チュン，チュン，チュン」
“あら，こっちは群れで「たむろ」だ”
枯れた雑草に覆われた，イチジク畑です。
“無数”のスズメが，あっちで「チュン，チュン」こっちで「チュン，チュン」です。
カメラを向けますが，こちらの思い通りにスズメはじっとしてくれません。
結果，上手くは撮れないんです。

“ん，もう！！”
「そんなに勝手気ままな態度で，どうするんだ！！」
「君たちは，整列できないんか！！」
「出来ないんなら，先生を連れて来て・・・『むち振って』もらうぞ」

　　チイチイパッパ　チイパッパ♪
　　雀の学校の先生は　　むちを振り振り　チイパッパ♪
　　生徒の雀は輪になって　お口をそろえて　チイパッパ♪
　　まだまだいけない　チイパッパ♪　も一度一緒に　チイパッパ♪
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　※作詞　清水かつら

それでも，スズメの騒ぎは収まりません。
業を煮やして，言ってやったんです

「『めだかの学校』では，先生に言われなくても仲良く遊んでいるぞ」
　　
　　めだかの学校は　川の中♪　　そっと　のぞいて　見てごらん♪
　　そっと　のぞいて　見てごらん♪　みんなで　おゆうぎ　しているよ♪
　　めだかの　学校の　めだかたち♪　　だれが　生徒か　先生か♪　
　　だれが　生徒か　先生か♪
　　みんなで　元気に　遊んでる♪
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　※作詞　茶木　滋


ＰＳ）スズメにかまい過ぎたのかもしれません
　　　急に降りだした雨で，帰りの１５分は濡れ濡れの帰宅になったんです。
　　　メダカはもともと水の中，スズメは羽毛に包まれて・・・
　　“彼らは濡れても風邪ひく心配がないから，　　良いよなあ”

黙っとらんカア！！

『今日の晴れ間を，有効に活用してください』　気象予報士が言ってます。

“どうせ，もう少しで落ちるんだから「 事前」に採ってやるか”

庭に植えた，ニオイミズキの葉っぱの事です。
ニオイミズキは，紅葉していますが，例年の鮮やかさは有りません。
葉っぱは，少し引っ張れば枝から離れる様になっています。
庭に散った葉っぱの回収は，面倒です。
『晴れ間の有効活用』に，ニオイミズキ葉っぱ回収を思い立ちます。

“よしよし，これで，何枚か残してやったし，フレディ君も寂しくないぞ”


葉っぱを全部取るのは，フレディ君に気の毒です。
選抜された？数枚を，枝に残してやります。

『カア，カッカッカッカッ』「ピィーヒョロロ，ピィー」
“あらら，また始まったがな”

フレディ君をカメラに収めた直後です。
かなりの上空で，カラス対トンビのバトルが始まっています。

“おっ，２対１，今日こそやっつけてやれよ”２は身体の大きい方のトンビ，１はカラスです。

“今だ！！　行けっ！！後ろから飛び蹴りだ！！”
“なんでそこで，逃げるんだ！！　反転して廻し蹴りだ！！
“二人？で，挟め！！　双方向攻撃だ！！”

今日こそ，トンビが意地悪カラスを「やっつけられる」と，応援したんですが・・・

“なんで，コンビプレーが出来ないんだ！！”

１羽が攻撃されても，もう１羽は輪を描いて・・・
烏の矛先が，輪を描いている方に向かえば，もう１羽も輪を描いて・・・

『カア，カッカッカッカッ』
山裾から現れたカラスが一羽，バトルに参戦しようとしているんです。
「お前はもういい！！　行かんでいい！！」
「怒って」やるんですが，逆に言い返してくるんです。

『止められるカア！！　バトルが大好き　ばカア爺さん　黙っとらんカア！！』

“折角，フレディ君とメルヘンの世界に浸りかけたのに・・・”
“聞き分けの悪い，意地悪カラスに，また邪魔されたカア“

商品点数 ２

「準備が出来たら，出かけるぞ」
今日は，二人で内科医院に行きます。
インフルエンザ予防接種，のためです。

“もう３０年，になるなあ”
３０年になるのは，この医院で初めての診察を受けてからです。

“微熱も有るようだし・・・お腹の調子も・・・”
“どこでも良いから，早めに診てもらおう”
仕事中から体調不良でした。
偶々，帰宅途中の車中から「胃腸科内科」を見つけ，寄った医院です。

「ポンポン，サワサワ」
聴診器を当て，お腹を触って，先生は言いました。

　・お腹は，風邪から来ているんだと思います
　・お出しする薬を３日飲んで様子を見て下さい
そして続けました。

　・『うち』で出す薬で治れば，大した事は有りません

“何それ，もっと検査して，丁寧に見てよ”
とは，思ったんですがよく考えて意味が分かります。

　・ここは個人病院　手に負えなければ大きな病院を『紹介』します
　・無駄な検査はしません
　・私は　自信が有るんです
という事だったんです。

以来，３０年，不調があれば通院しているんです。

“そうかぁ，高齢者になったからかぁ”

『チクッとしますよ』の『チク』も無く，予防接種は終了です。
４８００円の二人分の領収書を見て，“複雑”なんです。
「その気は無いのに」高齢者になった私は，１０００円でいいんだそうです。

トクしたような・・・
もう２８００円払っても，「高齢者」に分類されたくないような・・・


“えっ，そんなものまで”

複雑な気持ちに，看護師が追い打ちをかけます。
「高齢者・・接種済み証明書」まで，発行してくれるんだそうです。


“せんせーい　無駄な事はしなかった　せんせーい
　　　　　　　　「高齢者」は，精神年齢で判断してー”

“それともう一つ，お願い
　　　　　　インフルエンザ領収書に「商品点数　２」と書かないで下さーい”

『盛り』は短い・・・

“おっ，あっちからも来たぞ，一旦停止しないとなぁ”

信号の無い，どちらが優先でも無い十字路に差し掛かった時です。
左側から，直進してくる軽四を見つけます。
運転しているのは，「今どき」女子の様です。
お互い直進すれば，どちらかの車がどちらかの車の横腹にぶつかります。
止まって待つ事にします。

“あれ、譲ってやったのに・・・”

そのまま「行く筈」と思った，「今どき」女子も止まります。
ウインドウ越しに，お互い顔を見合わせます。
女子の目が，「どうぞ」と言っている様に見えます。

“もう！！”
私が発進したと同時，女子の車も動きます。

“おっ，ストップ”　
『わっ，ストップ』
私の車が止まれば，女子の車も止まります。

又，顔を見合わせます。
今度こそ，女子の目は「どうぞ」のはずだったんですが・・・

“おっ，ストップ”　
『わっ，ストップ』

“もう！！　どうぞと目が言ってたじゃないか！！”　
『もう！！　どうぞと目が言ってたじゃありません』

こちらもムットしますが，女子の目もムットして見えます。


“なんだそりゃ，頭ぐらい下げろ”
仕方有りません。
手で合図して，先に女子を行かせてやることにしたんですが・・・
『プップ』
女子は，２度クラクションを鳴らして，真っ直ぐ前を向いて，頭も下げずに・・・


“おっ，紅葉真っ盛りだ”


途中立ち寄った「道の駅」で，真っ赤に染まっているモミジを見つけます。
モミジは葉を落とした広葉樹と緑の松に囲まれ，一段と艶やかです。
駐車場で，車から降りた３人の「女子」が，モミジを観て言っています。

『まぁ，綺麗』

“さっきの「今どき」女子と君たちも，
　　　　モミジも，同じだぞぅー　　何でも『盛り』は短いんだぞぅ”

「『烏心』掌握

“カープも不首尾，マエケンもアメリカへ・・・
　　　　　　　　　　　　これくらいの扱いは，地元紙では，当然だ！“

スポーツ新聞では，有りません。

地元紙１面トップ，何はさておき「サンフレッチェ優勝」です。
“あれ，ここにも，ここにも”
優勝関連記事は，スポーツ面は勿論，社会面にもでかでかと・・・

“サッカーはチームゲーム，やっぱり監督だ”

資金力の乏しい「地方クラブ＝サンフレッチェ」です。
少し“名前”が知られるようになった選手は，お金持ちクラブに引き抜かれます。
この数年，何人も「出て行った」んです。
それでも，ここ４年で３度の優勝です。

『心が通えば，選手は伸びる』
細かな声掛け，コミュニケーション術で『人心掌握』だそうです。
優勝は，「森保監督の力量」によるものに違い有りません。


“おっ，来たな　３日振りか？　４日振りか？”

下のお宅のアンテナに，止まったカラスを見つけます。
この辺りを縄張りにする「ボス？」の様です。
『カア，カア，カア』

今日の鳴き声は穏やかですが，「偉そう」に辺りを見回しています。
その「ボス？」に言ってやります。

「最近，『カア，カア，カッカ』　山の辺りがうるさいぞ！！」
「お前もボスなら，『カラス心』を掌握して，静かにさせろ！！」
「『カラス心』掌握なら，『卓越手腕・・森保監督』　が参考になるぞぅ」
「この記事を読ませてやるから，降りてこーい」

なになに・・・

『カラスは，黒いに決まっているぞ！
　　　　　　　　お前の好きな，赤や紫には染まらないぞ！』

２０年かけて・・・・

青い空，ぽかり，ぽかりと綿雲が・・・


昨日までの寒気は，少し和らぎました。
今日も，のんびりする以外に予定は有りません。
庭に出て，コーヒーを飲みながら・・・
話し相手の野バトかカラスが，アンテナに止まるのを持っているんですが・・・
だあーれも，来ません。

“あっ，お爺さんだ”

暇を持て余して，町内散策に出掛ます。
急な下りで，坂道を上ってくるお爺さんに出会います。
おじいさんは８６歳，元気です。
毎日の様に，坂道往復４ｋｍを「徒歩」で買い物に出かけます。
その日食べるものを，その日に買ってくるんだそうです。

「あっ，こんにちは　今日も買い物ですか？」
『買い物じゃけけど，今日は川向うまで』

手に持った紙袋が，いつものスーパーの物では有りません。
今日は，街まで，往復１０ｋｍの「お買い物」のようです。

『坂がえらい（しんどい）けど，上らにゃあ，家に帰れんけえな』
そう言って，又坂道を上り始めます。


その後ろ姿を見ながら思います。


“このところ運動不足だが，
　　　　　　　　まだまだ　負けないぞ！“

お爺さんの背中を見ながら，その坂道を引き返すことにしました。
運動不足を解消するために・・・ですが，

「ハア，ハア，ハア，ハア，あーシンド」

おじいさんに気付かれないように，２０ｍ離れてスタートしをしました。
ですが，予想以上？に・・・
既に１０ｋｍ以上歩いて来た，お爺さんは元気です。

「ハア，ハア，ハア，ハア，あーシンド」

“まぁ，良いか”
“これから，２０年かけて鍛えれば・・・
　　　　　　　　　　　　お爺さんには，追いつける”


ＰＳ）やったぁ，サンフレッチェ優勝だ

しかし，なんだ！！
なんで，優勝チームから，日本代表が一人も選んでもらえないんだ！！

「袋とじ」でも・・・

今日は，同級生のお見舞いに出掛けました。

“「時間を持て余している」と，言っていたから，
　　　　　　　　今日は，週刊誌と飲み物でも，持って行くか”

途中に有る，コンビニに立ち寄る事にしました。

店は，客の途絶える時間帯の様です。

制服を着た「女子」が一人，商品の棚を整理していますが，私の他に客はいません。

“飲み物はこれで，週刊誌は「袋とじ」の付いたのは，止めて・・・”
お見舞い品選定は，直ぐに終わります。


“この際，小銭を減らしておかないとなぁ”

支払いは８６０円，千円札を出せば支払いはすぐ終わります。
ですが，財布に小銭が貯まっています。
その小銭で，支払う事にしたんです。

“１００円，２００円・・・８００円，　１０円，２０円・・５０円”
“あるある，５円玉と１円玉が・・・”
“残り１０円は，５円と１円で・・・”

悠長に，財布の小銭整理をしていたんですが・・・・
商品棚を整理していた「女子」が，レジに入って大きな声で言います。

『後ろでお待ちのお客様，こちらのレジにどうぞ』

私の他に客はいなかったはずですが，いつの間にかいたんです。
後ろに，弁当とパンとコーヒーを手に持った「強面男子」が，並んでいます。

“えっ，あっ，後ろ　いつの間に”

『「爺さん」，いい加減にしろ！！　後ろの客の事も考えろ！！』

「強面男子」の目が，そう言っている様に思えるんです。

こういう，ｓｉｔｕａｔｉｏｎになると，何故か，気持ちは一気に動揺します。
折角，数えかけた小銭を引っ込め，言います。

「１０００円出します，お釣り下さい」

ＰＳ）　友達は言いました。「袋とじでも，良かったのに」
　　　　元気そうなので，安心しました。

「冬の間」しか・・・

雨は，朝には止みました。
陽も差しますが，時折強く吹く北風が・・・
“寒い，寒い，この寒さで一気に色づいた”

庭に出て，紅葉した南天を眺めながらコーヒーを飲んでいるんです。


“ん？”

その寒空から，「チッチ」とも「ピッチピッチ」とも聞こえる，声がします。
“すずめ？”
一瞬そう思いましたが，違います。
はるばる日本海を超えて越冬に来た，ジョウビタキです。
２羽のジョウビタキが，２ｍ程の間を空けて電線に止まっています。


「チッ，チッ，チッ，チッチ」
鳴き声は聞こえますが，鳴いているのは１羽です。

「チッ」，ピョン，「チッ」，ピョン。
１羽が，ひと声鳴いてはピョンと１０㎝程横に跳ね，近づきます。

『宜しくぅ～，お友達から始めようよ』　
そういう事かもしれません。

“そうそう，いきなりでは相手に嫌われるからな”
“じっくり　じっくりだ”
“もう少しで，「お友達の距離だぞ」　焦るなよ”

“あれ？　縮まらないが”

２羽の距離が，１ｍほどに近づいたあたりからです。
ピョンして近づいたと思うと，もう１羽がピョンして・・離れて・・
２羽の間が，縮まらなくなり・・・
焦った１羽は，一気に３０ｃｍ「チッ」，ピョン。
言い寄られた１羽は，「パタ，パタ，パタアー」

「ほーら　みろ，焦るからだ」
「野バト君だって，恋人捜しを１年近くしているんだぞぅー」

『爺さん，そんな悠長な事は言っておられんのだ
　　　　　　　　　　　　俺は，ここには「冬の間」しかいないんだ』

どっちも 来ないなぁ

カラスに「バカ」にされ，野バトにも「笑われ」ました。
二ヵ月前から始めた庭木剪定が，やっと終わります。

“やっぱり，もうちょっと大胆に切った方が良かったか，
　　　　　　　　　　にわか職人だから，「思い切り」がなぁ，”


職人の仕事を評論し，自己採点しているんですが・・・
満点にも，「自己満足」にも程遠いようです。
結局は，「夜目，遠目，新芽が出れば，みな同じ」

「今日の昼ごはんは，コンビニ弁当にするか」

剪定終了ですが，摘まれた枝と葉っぱが，庭に散らばっています。
「下働き」は，後片付けに忙しそうです。
午後には雨になる予報です。
今の内に片付けを終わらせるには，お昼を作る時間が無いと言います。
お昼ご飯は，コンビニのお世話になる事にしたんです。


“あれ？一人分しかない”
“そう言えば，“温めましょうか？とは言ってくれたが”
“『箸は何本にしましょう』とも聞いてくれなかったなぁ”

幕の内弁当にラーメンにパン，２人分のつもりで買った弁当ですが・・・
家に帰って開けた袋に，箸が一つしか入っていません。

“分かった，格好だ，それで「バイト女子」が，勘違いをしたんだ”

帰ってからも，下働きの手伝いが残っています。
作業着のまま，コンビニに行ったんです。　
日焼けした顔に作業服，そして地下足袋です。
乗って行ったのも，軽トラです。

「腹の減った職人さんは，一人でこれくらいは十分に・・・」
バイト「女子」は，そう勘違いをしたに違いありません。

“よしよし，恰好だけなら，コンビニ「女子」も認めた「職人」だ”


『独りよがりの自己満足だぞぅ
　　　　　今どきバイト「女子」が　
　　　　　　　　爺さんに　注目してくれるはずはないぞぅ』

野バトやカラスなら，そう言うはずなんですが・・・

“今日は，どっちも　来ないなぁ”

能天気に・・・

赤い手袋に黒い地下足袋，黄色のウインドブレーカーで腰には安全ベルト
今日も剪定，松に登ります。


“こっち向いて　と言われてもなぁ”
自称職人が，「いつまで頑張れるか」，残しておくようです。
連れ合いが，「今年の記念写真」を撮っています。

「おーい，写真だぞー，みんないっしょに写らんかあー」

『カア，ガッ，カア，カッ，カア・・・』
山で，やたらと鳴いている，いつものカラスを呼んでやります。
『カアー，カアー　　カツ，カツ　　カッカッカ　　カァ，カァ』
内輪で，揉め事があるようです。
返事に，数羽の声が交じっています。
これでは，十分に聞き取れませんが・・・

『今は忙しい！！爺さんの相手は出来ん！！』
という事らしいです。


この松には，「○○○松」と名前が付いています。
○○○は，私の名前です。
私が生まれた年に，山から飛んで来た種が庭で芽吹いたからだそうです。

　山で芽吹いていれば，相当な大木に・・・
　それが，庭で芽吹いたばっかりに・・・
　伸びては摘まれ，伸びては摘まれ・・・
　名前が付いたばっかりに，私と同じような松生？を・・・

てっぺん部分の終了で，今日の「職人」仕事は終わりです。
松も古稀近くになれば，相当な大きさに成れたはずです。
コーヒーを飲みながら，松の「気持ち」を慮っていました。


“おっ，いつの間に”

『カア，カア，カア，カア』
いつものカラスが，いつもの電柱に止まって何か言っています。
なに，なに

『山で芽吹いていたら，３０年前の「松くい虫異常発生」で・・
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　とっくに，枯れてるぞ
　　　　　お前が伸び伸び，能天気に過ごした代わりに，摘まれているんだぞー』