今年の夏は暑かったせいか、庭で珍しく銀トカゲをよく見る。
いままで、こんなに見たことはなかった。
夏のつよい光の中で、青味がかった美しい銀色のからだを閃かせている。
たぶん1、2年前に卵がたくさん生みつけられ、それがかえったのだと思う。
見るのはたいてい4、5センチほどの子どもだ。
子どもの頃、友だちと遊ぶのは、たいてい多摩川か池上本門寺の森だった。
その頃、男の子たちが憧れていた生きものは、鬼ヤンマ、銀ヤンマ、
赤い大きなハサミをもつザリガニの真っ赤チン、銀トカゲなどだ。
銀トカゲ以外は捕ったことがあるが、このトカゲだけは捕ったことも、
誰かが捕ったという話も、一度も聞いたことがなかった。
正式な名称、ニホントカゲ。
なぜ捕まらないかというと、とても警戒心が強く、近づくことさえ出来ないからだ。
そして銀トカゲが逃げ込むところは、どうにもならない石垣の隙間や、大きな岩の
あいだときまっていた。
遠くの石の上で日向ぼっこしている銀トカゲを見つけると、私たちは
隠れながらそっと近づいていく。 しかし網が届くはるか手前で、
銀トカゲは頭を持ち上げ、じっと警戒態勢をとる。 そしてさっと岩や
石垣のあいだに入り込んでしまう。 何度、大きな岩のあいだに棒切れを
突っ込んで、動かそうと試みたことか。 捕まらないからよけいに、
男の子たちの憧れの的だった。
銀トカゲを初めて捕まえ、手の中でその姿を見たのは、
今住んでいる千葉の片田舎で、四十歳を過ぎてからだった。
からだの形は、生命の器
形之医学・しんそう療方 東京小石川
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