ＦＡＸが届いていたのだが、ベーって出てきた紙が電話機の後ろで粉々に散らばっている。
フタを開けて中を見てみたら、ロールの紙が茶色く朽ち果てている。
触るとペリペリ、ゆで卵の殻みたいに剥がれる。
車検通ったらしいです。
１０回め。
バイザーが落ちてたり、ルームミラーがセロテープと割り箸で留めてあったり、
シートベルトが戻らなかったり、後ろの座席の背もたれがブレーキかけると前に倒れ、
発進すると元に戻ったり、リアのワイパーが雪の重みで垂れちゃって鉄板を拭いていたり、
タイヤが２００２年に替えたっきりだったり、ラジオがＮＨＫ第１以外聞こえなかったり、
運転席の床が落ち葉だらけだったり、とかいう数々の特徴は車検とは関係ないらしい。
朝、出がけに部屋が汗臭いので香水を部屋に撒こうとしたのだが、
口が自分を向いていて香水一押しネクタイに浴びてしまった。
いやぁ１日きびしかった。
このおっさんなにとちくるって女物の香水のにおいを
振りまいてやがるんだろうと思われただろうな会社で。
クロエのリボンのついた瓶の香水です。
「伸びるスーツ？」
「モビルスーツ」
「ジャージみたいの？」
「ガンダム」
マスクしたら、くしゃみが立て続けに７回出た。
１か月くらい冷蔵庫の上に置きっぱなしにしてたマスクに
積もっていたホコリを一気に吸い込んでしまったらしい。
「梅咲いてた？」
「ギリですね」
「咲いてたの？」
「ギリ咲いてました」
「どの程度咲いてたの？」
「ギリでした」
だめだ。
これ以上質問してもわからん。
土曜の朝だ。
今日は休みだ。
コーヒーをドリップした。
ミルクを入れよう。
さてかき混ぜよう。
何持ってんだ？ これ、スプーンじゃない。
何入れたんだ？ クリープじゃない。
入れたのお茶っ葉じゃん。
パソコンに積もるホコリを３日に一度くらいとるのだが、
えび茶色のホコリが混じるようになった。
自前のＰＭ２．５か。
「こないだ『てんちゅう』の同窓会あってな」
「天誅？」
「天王寺中学を『てんちゅう』言います」
「中学かぁ」
「も１個、天下茶屋中学も『てんちゅう』言うねん」
「てんがじゃや？」
「天下のお茶屋ですねん」
「ほぅ」
「でもな、あんたらはてんちゅう言わんと『ガチャちゅう』にしとき言うねん」
「ガチャじゃ、なんかダメそうじゃん」
「ダメでええねん」
会社の帰り新宿で寄り道し、山手線に乗った。
座れたので、本を読み始める。
眠くなったので寝る。
座った時点で意識が埼京線に乗ったということになってしまったらしい。
目が覚めたら、秋葉原だった。
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