今日売りに行った本は冊数の割に重かった。
14kgの袋が2個と7kgのが1個。
買い取り価格は48冊3740円。
ダンゴ虫が床をゆったり歩んでいる。
そんなとこ歩いてたら踏まれちゃうだで。
息をハァーッと吹きかけたらクルンクルンに丸まって動かなくなった。
相当臭かったらしい。
その隙に外の植え込みに移動してもらう。
ダンゴ虫の恩返しを希望しますが、無理か。
「いやぁ、体調悪くて」
「はぁ」
「何で体調悪いのか考えたんだけど」
「はぁ」
「土日家族が出かけてて、ひとりだったんでずっと人としゃべらなかったからなんだよ」
「そんなんあたしゃいつものことですよ」
「留守電が1件あったきりで電話もかけないし」
「そんなん、あたしゃ電話の通話料なんか毎月0です」
「うん、そこに気づいて、あんたは強いねと家で思ってたんよ」
「それを言いに来てくれたんですか」
「そ」
雨の中わざわざお訪ねいただきありがとうございます。
久しぶりに部屋のなんちゃってフローリングをめくって床下書棚を開けたら、紙袋が出てきた。
平成4年~平成7年の給料袋だった。いや、昭和60年ちゅうのもいくつか見える。
給料袋は去年整理し終わったと思ったのだが、まだあったのか。
毎月の袋を開け、レシートを捨て、住所姓名電話番号口座番号の印刷されている紙を
1枚1枚シュレッダー鋏で細かく裁断する。
それにしてもレシートの量にびっくりする。
どの袋もレシートでみっちりパッツンパッツンだ。
袋の裏面にはどれもこれも“▲7万いくら”とか“▲12万いくら”とか赤字額が書いてある。
何で毎月こんなに金かかってたんだろ。
今なら当時の給料でも余裕でおつりがくるのに。
「チキンマサラカレーをテイクオフで」
テイクオフじゃなかったっけ、お持ち帰りは。
離陸してどこへ行く。
ていうか、持ち帰らず、食って来ればよかったんだよ。
「蒸しますね今日は」
「えぇ、雨降ってけつかるから」
「・・・・・・」
つい口をついて出てしまった。
なんて言葉づかいなんだ。
そりゃあ取引先の方も絶句するよ。
天気とか野球とかテレビとか関心無いどうでもいいと思っている本心が
つい言葉に出てしまう。
埼京線を降りようとしたら、俺を指さしてこどもの元気な声が聞こえる。
「あーっ、あのおじさん、おなかにリュックしょってるー」
ピースしたら、
「あーっ、ピースした、変なおじさんーっ」
変は見りゃわかるじゃん。