『源氏物語』27帖 篝火(かがりび)
光源氏、玉鬘と添い寝する
光源氏36歳秋 太政大臣時代
玉鬘22歳/夕霧15歳/柏木20歳
[篝火に照らし出される玉鬘の美]
7月初秋の頃、光源氏は玉鬘のもとにいて和琴を枕に添い寝した。
人目を気にして立とうとすると、篝火の勢いが落ちていたので一際明るく灯させた。その光に映えた玉鬘の姿はなやましいばかりに美しかった。
巻名は光源氏と玉鬘が交わした贈答歌にちなむ。
「篝火(かがりび)にたちそふ恋の煙こそ世には絶えせぬほのほなりけれ」
「行く方なき空に消ちてよ篝火のたよりにたぐふ煙とならば」
※写真は、「かがり火」/無料(フリー)写真素材を使用
折から、花散里の住む東の対から、夕霧、柏木らの合奏する笛と琴の音が聞こえてきたので、彼らを招いて演奏させた。
柏木は実の姉とも知らず、玉鬘に思いを寄せていた。
一方、柏木を弟と知る玉鬘は父譲りの柏木の和琴の音色に耳を傾けていた。
【源氏物語27帖に出てくる主な登場人物】
光源氏(ひかるげんじ)
第一部、第二部の物語の主人公。亡き母にそっくりと言われている藤壺の中宮に恋をしてしまう。
その後も亡き母・桐壺更衣の面影を求め、様々な恋愛遍歴をたどる。
紫の上も、女三の宮も藤壺の姪である。光源氏は藤壺中宮の血縁者に強く心を惹かれる人生だった。
玉鬘(たまかずら)
頭中将と夕霧の娘。光源氏の養女となる。
源氏が放った蛍の光により、蛍兵部卿宮が玉鬘の姿を見るシーンがある。
光源氏も玉鬘を恋慕するが、最終的には強引な形で髭黒大将の妻となる。
夕霧(ゆうぎり)
光源氏と葵の上の息子。
イケメンだが、真面目で恋愛下手である。雲居の雁と妾の藤典侍だけしか
妻がいなかったが、柏木の没後、未亡人の落葉の宮に惹かれ、妻とする。
内大臣(もとの頭中将(とうのちゅうじょう))
左大臣家の息子であり、光源氏のいとこ。葵の上の兄である。光源氏にとっては親友であり、恋のライバルでもある。
夕顔との間に娘(玉鬘)をもうける。
柏木(かしわぎ)
頭中将の長男で、従兄弟の夕霧とは友人である。
血筋の高貴な内親王と結婚したいという強い理想を持った青年。
女三の宮の姿を垣間見して恋に落ち、密通の罪を犯す。
女三の宮は柏木の子を出産し、柏木は罪の意識により病気になり、亡くなる。
今年のNHK大河ドラマ「光る君へ」(2024年)を解りやすく視聴見るために平安時代の勉強を兼ねて『源氏物語』のブログを書いています。『源氏物語』には、物語に欠かせない要素のひとつとして多くの「植物」が登場します。これなどを切り口に『源氏物語の花』や『源氏物語の風景』をブログで表現できたらと思っています。