『源氏物語』31帖 真木柱(まきばしら)
望まぬ結婚を余儀なくされる玉鬘
光源氏37歳冬-38歳冬 太政大臣時代
玉鬘23~24歳/夕霧16歳/髭黒32~33歳/式部卿宮52~53歳
真木柱12~13歳/紫の上29~30歳/冷泉帝20~21歳
[玉鬘、髭黒と結ばれる]
髭黒の大将が、玉鬘の侍女の手引きで強引に玉鬘と契る。
玉鬘は悔恨の涙にくれた。
光源氏は不満、また残念に思ったが仕方がなかった。
[髭黒の北の方、里へ帰る]
髭黒の北の方(妻)は、時々狂気じみた発作を起こす。
雪の夜、玉鬘のもとへ行こうとする髭黒に、香炉の灰を浴びせかけた。
髭黒は玉鬘を訪ねたまま自邸に帰らなくなった。
北の方の父である式部卿宮は髭黒に腹を立てて、北の方と孫の姫君(真木柱)を自邸に引き取った。
その時、真木柱は、父と別れる悲しみを歌に詠んで、柱の割れ目に差し入れておいた。
巻名は髭黒の娘が詠んだ和歌に因む。
「今はとて宿かれぬとも馴れ来つる
真木の柱はわれを忘るな」
※写真は、「東大寺南大門の真木柱(まきばしら) 」/無料(フリー)写真素材を使用
真木柱(まきばしら)は、檜(ひのき)や杉で作った太い柱のことを
[髭黒、玉鬘を自邸へ迎える]
翌年正月、玉鬘は入内したが、玉鬘の部屋に帝が訪れたことを知り、髭黒は心配のあまり早々に自邸に引きとった。
11月、玉鬘は髭黒との間に男の子を産んだ。
『思はずに 井出のなか道へだつとも
いはでぞ恋ふる 山吹の花』
※写真は、「黄金色の山吹の花」/無料(フリー)写真素材を使用
美しい玉鬘を諦めきれない光源氏は、山吹の花にその思いをこめて謡(うたい)ます。
【源氏物語31帖に出てくる主な登場人物】
光源氏(ひかるげんじ)
第一部、第二部の物語の主人公。亡き母にそっくりと言われている藤壺の中宮に恋をしてしまう。
その後も亡き母・桐壺更衣の面影を求め、様々な恋愛遍歴をたどる。
紫の上も、女三の宮も藤壺の姪である。光源氏は藤壺中宮の血縁者に強く心を惹かれる人生だった。
玉鬘(たまかずら)
頭中将と夕霧の娘。光源氏の養女となる。
源氏が放った蛍の光により、蛍兵部卿宮が玉鬘の姿を見るシーンがある。
光源氏も玉鬘を恋慕するが、最終的には強引な形で髭黒大将の妻となる。
髭黒の大将(ひげくろのたいしょう)
色黒の髭面であることから、髭黒の大将と呼ばれる。
玉鬘に恋焦がれ強引に結婚してしまう。今上帝の伯父にあたる。
最初の妻(北の方)は精神病を患っていた。
髭黒が玉鬘と結婚したことにより北の方は傷つき実家に帰ってしまう。
真木柱(まきばしら)
髭黒の大将と北の方の娘。
蛍兵部卿宮の後妻となり、娘をもうけるが夫婦仲は良くなかった。
第三部では、蛍兵部卿宮の没後、紅梅大納言と結婚。
(紅梅は柏木の弟)
夫婦仲は良く、一男をもうける。
今年のNHK大河ドラマ「光る君へ」(2024年)を解りやすく視聴見るために平安時代の勉強を兼ねて『源氏物語』のブログを書いています。『源氏物語』には、物語に欠かせない要素のひとつとして多くの「植物」が登場します。これなどを切り口に『源氏物語の花』や『源氏物語の風景』をブログで表現できたらと思っています。