『源氏物語』29帖 行幸(みゆき)
玉鬘の成人式と、実父との対面
光源氏36歳冬-37歳春 太政大臣時代
玉鬘22~23歳/右大臣41~42歳/冷泉帝18~19歳/髭黒31~32歳
[大原野の行幸]
12月、玉鬘は大原野(京都市西京区大原野)に鷹狩の行幸を見物し、実父の内大臣(もと頭中将)をはじめて見た。光源氏そっくりの美しさを持つ冷泉帝に心ひかれ、宮仕えをする気持ちに傾いた。
行列の中に髭黒大将もいたが、黒く髭の濃いその人を見て、玉鬘は親しめないものを感じた。
巻名は玉鬘と光源氏の歌による。
「うちぎらし朝ぐもりせしみゆきにはさやかに空の光やは見し」
「あかねさす光は空にくもらぬをなどてみゆきに目をきらしけむ」
※写真は、「賀茂街道を行く葵祭の行列」/無料(フリー)写真素材を使用
冷泉帝の鷹狩りの行幸(みゆき/ぎょうこう:帝が外出すること)
※写真は、「オオタカ」/無料(フリー)写真素材を使用
[玉鬘の裳着]
翌年、光源氏は玉鬘の裳着(成人式)をするにあたり、内大臣に玉鬘の素性(夕顔と内大臣の娘であること)を明かした。光源氏と内大臣はライバル同士ではあるが、亡き葵の上(光源氏の妻・内大臣の妹)の義兄弟の関係でもある。
内大臣は成人した玉鬘を見て涙を流した。
※写真は、「平安貴族のイメージ 姫君の後ろ姿」/無料(フリー)写真素材を使用
このところ、わだかまりのあった光源氏と頭中将でしたが、昔のように打ち解けることができたのでした。
【源氏物語29帖に出てくる主な登場人物】
光源氏(ひかるげんじ)
第一部、第二部の物語の主人公。亡き母にそっくりと言われている藤壺の中宮に恋をしてしまう。
その後も亡き母・桐壺更衣の面影を求め、様々な恋愛遍歴をたどる。
紫の上も、女三の宮も藤壺の姪である。光源氏は藤壺中宮の血縁者に強く心を惹かれる人生だった。
玉鬘(たまかずら)
頭中将と夕霧の娘。光源氏の養女となる。
源氏が放った蛍の光により、蛍兵部卿宮が玉鬘の姿を見るシーンがある。
光源氏も玉鬘を恋慕するが、最終的には強引な形で髭黒大将の妻となる。
内大臣(もと頭中将)
左大臣家の息子であり、光源氏のいとこ。葵の上の兄である。光源氏にとっては親友であり、恋のライバルでもある。
夕顔との間に娘(玉鬘)をもうける。
今年のNHK大河ドラマ「光る君へ」(2024年)を解りやすく視聴見るために平安時代の勉強を兼ねて『源氏物語』のブログを書いています。『源氏物語』には、物語に欠かせない要素のひとつとして多くの「植物」が登場します。これなどを切り口に『源氏物語の花』や『源氏物語の風景』をブログで表現できたらと思っています。