『源氏物語』39帖 夕霧(ゆうぎり)
夕霧、落葉の宮と結婚
光源氏50歳秋-冬 准太上天皇時代
紫の上42歳/夕霧29歳/雲井雁31歳/女三の宮23歳
※源氏物語での「准太上天皇」(じゅんだいじょうてんのう)は、天皇に準ずる位。
巻名は、夕霧が落葉宮に詠んだ和歌にちなむ。
「山里のあはれをそふる夕霧に
立ち出でん空もなき心地して」
※写真は、「夕霧」/無料(フリー)写真素材を使用
[夕霧、小野に落葉の宮を訪ねる]
一条御息所(落葉の宮の母)は物の怪に取りつかれ、落葉の宮ととのに小野山荘に移った。
8月中旬、夕霧は小野の山荘を訪れ、落葉の宮に恋心を訴えた。
加持の律師から夕霧が落葉の宮のところに泊まったと聞いた一条御息所は当惑した。
[夕霧、落葉の宮を引き取る]
一条御息所は夕霧に手紙を送るが、夕霧と落葉の宮の仲を聞き嫉妬にかられた雲井雁が手紙を隠してしまう。
そのため夕霧は手紙の返事が遅れ、一条御息所は悲嘆して病状を急変させて亡くなる。
夕霧は意に添わぬままの落葉の宮を一条の宮(落葉の宮邸)に移したが、激怒した雲井雁は子どもを連れて父の致仕大臣邸(もとの頭中将)に帰ってしまった。
【源氏物語39帖に出てくる主な登場人物】
光源氏(ひかるげんじ)
准太上天皇となった光源氏は栄華を極める。
朱雀院の娘、女三の宮を正妻とするが、女三の宮は柏木と通じてしまう。
最愛の妻・紫の上の没後、亡くなったことが示唆される。
夕霧(ゆうぎり)
光源氏と葵の上の息子。イケメンだが、真面目で恋愛下手である。
雲居の雁と妾の藤典侍だけしか妻がいなかったが、柏木の没後、未亡人の落葉の宮に惹かれ、妻とする。
落葉の宮(おちばのみや)
朱雀院の女二の宮で、柏木の正室である。
柏木は、女三の宮に恋慕していたため、この正室を「落葉のようにつまらない人」と気に入らなかった。柏木が没した後は、夕霧の妻となる。
雲居の雁(くもいのかり)
頭中将の娘であり、夕霧の正室。
夕霧とは幼馴染で、二人とも大宮に育てられた。子だくさんであった。
夕霧が落葉の宮に心を寄せるようになった際には嫉妬するシーンが描かれている。
致仕大臣(もとの頭中将)
左大臣家の息子であり、光源氏のいとこ。葵の上の兄である。光源氏にとっては親友であり、恋のライバルでもある。
夕顔との間に娘(玉鬘)をもうける。
一条御息所(いちじょうのみやすんどころ)
朱雀院との間に女二宮をもうけたものの、その後は朱雀院に愛されることもなく、娘の幸せだけを願って過ごすようになる。娘が柏木と結婚するも、柏木は女三宮の代わりとしてしかたなく結婚しただけであったので娘を愛することなく死去してしまい、さらにはその後娘の所に通うようになった夕霧までもが娘を弄んだと誤解する。かねてからの病とその心痛から夕霧に恨みの歌を遺して死亡してしまう。
今年のNHK大河ドラマ「光る君へ」(2024年)を解りやすく視聴見るために平安時代の勉強を兼ねて『源氏物語』のブログを書いています。『源氏物語』には、物語に欠かせない要素のひとつとして多くの「植物」が登場します。これなどを切り口に『源氏物語の花』や『源氏物語の風景』をブログで表現できたらと思っています。
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