『源氏物語』37帖 横笛(よこぶえ)
柏木の一周忌と遺品の横笛
光源氏49歳 准太上天皇時代
夕霧28歳/女三の宮22歳/薫2歳
※源氏物語での「准太上天皇」(じゅんだいじょうてんのう)は、天皇に準ずる位。
[柏木の一周忌]
翌春、光源氏は柏木の一周忌を盛大に営んだ。
朱雀院は落葉の宮と女三の宮の不運を嘆いた。
[遺愛の横笛]
夕霧は落葉の宮を訪ねているうちに、いつしか心惹かれていった。
ある秋の夕暮れ、夕霧は落葉の宮を訪ね、一条御息所(落葉の宮の母)から柏木遺愛の横笛を贈られた。
巻名は夕霧の歌による。
「横笛のしらべはことにかはらぬを
むなしくなりし音こそつきせぬ」
※写真は、「龍笛」/無料(フリー)写真素材を使用
その夜、夕霧は夢で柏木の亡霊と逢う。
柏木は「横笛は夕霧ではなく実子に伝えたい」という。
翌日、夕霧は六条院に光源氏を訪ね、柏木の夢を伝える。
光源氏は「その笛は自分が預かるべきものだ」という。
夕霧は真相を聞き出そうとするが、光源氏に話をそらされてしまう。
【源氏物語37帖に出てくる主な登場人物】
光源氏(ひかるげんじ)
准太上天皇となった光源氏は栄華を極める。
朱雀院の娘、女三の宮を正妻とするが、女三の宮は柏木と通じてしまう。
最愛の妻・紫の上の没後、亡くなったことが示唆される。
柏木(かしわぎ)
頭中将の長男で、従兄弟の夕霧とは友人である。
血筋の高貴な内親王と結婚したいという強い理想を持った青年。
女三の宮の姿を垣間見して恋に落ち、密通の罪を犯す。
女三の宮は柏木の子を出産し、柏木は罪の意識により病気になり、亡くなる。
夕霧(ゆうぎり)
光源氏と葵の上の息子。イケメンだが、真面目で恋愛下手である。
雲居の雁と妾の藤典侍だけしか妻がいなかったが、柏木の没後、未亡人の落葉の宮に惹かれ、妻とする。
落葉の宮(おちばのみや)
朱雀院の女二の宮で、柏木の正室である。
柏木は、女三の宮に恋慕していたため、この正室を「落葉のようにつまらない人」と気に入らなかった。柏木が没した後は、夕霧の妻となる。
今年のNHK大河ドラマ「光る君へ」(2024年)を解りやすく視聴見るために平安時代の勉強を兼ねて『源氏物語』のブログを書いています。『源氏物語』には、物語に欠かせない要素のひとつとして多くの「植物」が登場します。これなどを切り口に『源氏物語の花』や『源氏物語の風景』をブログで表現できたらと思っています。