Shpfiveのgooブログ

主にネットでの過去投稿をまとめたものです

「言論の自由」を自称する悪質投稿者eの支離滅裂 - Yahoo知恵袋で見かけたトンデモ議論

2020-09-15 19:34:57 | Yahoo!知恵袋批判
いやはや、バカにつける薬はないとは言いますけど‥

先頃、私が知恵袋で投稿した質問について、本ブログで何度も取り上げさせていただいた悪質投稿者eが「言論の自由」などと名のって、回答にすらなっていない罵詈雑言投稿をしてきました。
(それって知恵袋規約からしたら違反行為のはずじゃないの?)

https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q13231129273


この質問は公平ではありませんね。
引用した「コメント」には次のように書かれています。

「もし戦後早い時期に日本政府が軍部・行政・民間の慰安婦募集・移送・管理に関わり違法性のあるものを裁判にかけ罪に問っていたら
その後の日韓関係はどんな展開になっていたでしょう」

ところが本質問では

「もし戦後早い時期に日本政府が軍部・行政・民間の慰安婦募集・移送・管理に関わり違法性のあるものを裁判にかけ罪に問っていたら
→戦後の日韓関係は好転していたのでしょうか?


「その後の日韓関係はどんな展開になっていたでしょう」
となっているのに
「戦後の日韓関係は好転していたのでしょうか?」
にすり替わっています。
「展開」と「好転」ではまったく意味合いが違ってきます。
これではコメント投稿者の文意が歪められています。

本質問はあきらかに誘導質問です。
他者のコメントをとりあげるのなら、原文をそのまま正確に引用するのが基本中の基本です。
もし意図的に歪めたのなら質問者の見識を疑われますね。


(註)
世界大百科事典
【誘導尋問】
尋問者が期待する答えを証人に示唆、暗示するような質問。
誘導質問ともいう。


なお、私はこれについて、あえて違反連絡はしていません。

ただし、理由は知恵袋の運営をそこまで信頼していないからだとも言っておきます。

この「言論の自由」を自称する投稿者の発言が「質問に対する回答」になっているかどうかなど、まっとうな認識を持つ方なら是非判断出来るとも思っていますし。

さて、私の質問文はこうなっています。

現在、韓国では我が日本国を被告とした裁判が行われています。

これについて、ある方がブログで取り上げたところ、このようなコメントがつきました。
http://blog.livedoor.jp/antmam/lite/archives/24346302/comments/699739/

>相変わらず燻り続けてますよね。

この問題は両国とも感情的になりやすい問題であり
両国の議員にしても当然世論を気にするのでしょう。

韓国は謝罪と賠償を感情的に求めますし
日本は毅然とした態度を求めます。
もちろん両国民とも感情的にですから
法的歴史的事実なんて関係なしです。

議員は少しでも譲歩するように口を滑らすと
次の選挙で議席を失いますし
そんなことですから未来永劫解決しないでしょうね。
この辺りは国境問題と同じです。

侃々諤々やるのは良いが
心身的な被害を受けた元慰安婦の人たちは
救われず蚊帳の外です。
それが一番の問題だと思いますね。
75年もたってもう時間がない
悲しいですね。

時折思いますが
日本は戦後、戦争犯罪人を自らの手で裁いていません。
本当の意味で戦争に対する総括が済んでいないのだと思います。
私は慰安婦問題詳しくもないですが
もし戦後早い時期に日本政府が軍部・行政・民間の
慰安婦募集・移送・管理に関わり
違法性のあるものを裁判にかけ罪に問っていたら
その後の日韓関係はどんな展開になっていたでしょう。


ユダヤ人虐殺のナチ親衛隊アイヒマン裁判を傍聴し
著書にまとめたハンナ・アーレントは
平凡で小心な小役人であるアイヒマンが
何故これほどの巨悪を成し遂げたか・・
結論として
「悪とは、システムを無批判に受け入れることである」と評しています。
アイヒマンは疑いもなく机の上の仕事を
粛々と仕事をこなしただけなんですね。

当時の日本でも流れに従い疑いもなく
に戦地へ朝鮮人慰安婦を送り出したのでしょう。

日本人の美徳は謝るだけでなく
蓋をして忘れるのも美徳かも知れませんね。

→質問です。

こちらのコメントをつけた方の見解のように

>もし戦後早い時期に日本政府が軍部・行政・民間の
慰安婦募集・移送・管理に関わり
違法性のあるものを裁判にかけ罪に問っていたら

→戦後の日韓関係は好転していたのでしょうか?

当然、韓国の竹島併合のような国際法を無視した行為も燻ることなく早期解決できたことになりますし

韓国が「日帝の植民地支配」をいつまでも批判し続けるということもなかったということになるのでしょうけど

さて

皆様はどのようにお考えですか?


(話を分かりやすくするために文の一部に強調を入れました)

本当に言うのもバカバカしいくらいなんですけど

まず悪質投稿者eこと自称「言論の自由」は

引用した「コメント」には次のように書かれています。

「もし戦後早い時期に日本政府が軍部・行政・民間の慰安婦募集・移送・管理に関わり違法性のあるものを裁判にかけ罪に問っていたら
その後の日韓関係はどんな展開になっていたでしょう」

ところが本質問では

「もし戦後早い時期に日本政府が軍部・行政・民間の慰安婦募集・移送・管理に関わり違法性のあるものを裁判にかけ罪に問っていたら
→戦後の日韓関係は好転していたのでしょうか?


「その後の日韓関係はどんな展開になっていたでしょう」
となっているのに
「戦後の日韓関係は好転していたのでしょうか?」
にすり替わっています。


などと、さも私がJ氏の発言を改竄したかのような「誘導」を行っていますけど

私は質問文中でJ氏の発言を一度正確に引用し、かつ引用元のURLも添付しています。

そして、私が質問していることがわかるように、わざわざ→のマークもつけています。

だから、この質問文を普通に読めば、私がJ氏の発言を改竄したかどうかなどというのは、余程のバカでなければわかるはずだし、実際に他の回答者の方々の回答、返信を見る限り、そのような「おかしな誤解」をした方はいらっしゃいませんでした。

さすがに、いくら悪質投稿者eこと自称「言論の自由」の頭が多少おかしかったとしても、そのくらいのことはわかるはずですので、これは意図的に私がJ氏の発言を改竄したかのように「見せかける」ための横槍でしょう。

それにしては幼稚すぎますけど(笑)。

なお、この自称「言論の自由」の回答にナイスがついていますけど、一つはJ氏がつけたかもしれませんが、あとは自分で自分の投稿にナイスを自作自演でつけた可能性も高いと思っています。

そうでなければ、こんな「便所の落書き」のような投稿にナイスをつける頭の悪い人が他にもいるということですので(笑)、それはそれで情けない話ではあると思いますが。

さて、悪質投稿者eこと自称「言論の自由」はこのような返信をしています。

2020/9/6 7:34
この回答を読んだ質問者さんは、おそらく逆上して、罵詈雑言の返信を返してくることが予想されます。
私はこれまでに質問者から、何十回も「悪質投稿者」と罵倒されていますよね。

まじめな返信なら、いくらでもお相手させていただきますが、これまでの質問者さんとやりとりした経験では、理性的な会話は無理でした。

罵詈雑言の返信を見せられるのは多くの閲覧者にとって気分のいいことではないので、返信をブロックさせてもらいますのであしからず。

なので、私も速攻でこんなのはブラックリストに登録させていただきました(笑)。

そんなくだらないことに時間を費やすほどには当方も暇ではありませんので。

評価は閲覧する第三者の方にお任せすればいい

これが私の考えです。


J氏の珍説、戦争責任総括論(「一事不再理」とはなにか) - Yahoo!知恵袋で見かけたトンデモ議論

2020-09-11 08:06:21 | Yahoo!知恵袋批判
あらためて言うまでもないことですけど「一事不再理」というのは法の一般原則の一つでもあり、他ならぬ「日本国憲法」第39条においても明文で禁止されていることであると認識しています。

第39条
何人も、実行の時に適法であつた行為又は既に無罪とされた行為については、刑事上の責任を問はれない。又、同一の犯罪について、重ねて刑事上の責任を問はれない


それを前提とした上でのことですけど、先頃Yahoo!知恵袋でこのような「質問」が投稿されました。
https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q11231049571


「戦争の総括と慰安婦問題」について


<時折思いますが日本は戦後、戦争犯罪人を自らの手で裁いていません。
本当の意味で戦争に対する総括が済んでいないのだと思います。
もし戦後早い時期に日本政府が軍部・行政・民間の慰安婦募集・移送・管理に
関わり違法性のあるものを裁判にかけ罪に問うていたら
その後の日韓関係はどんな展開になっていたでしょすうか >

↑ この投稿をしたところ、S氏から次のような反論が投稿されました。


{これはつまり平和条約締結後の主権回復にともない、
我が国の方で極東国際軍事裁判の判決結果を無視した独自の裁判を行い、
例えば昭和天皇の「有罪判決」でも下せばよかったということなのでしょうか?
まず「日本国憲法」にだって違反しますよ。
日本国憲法第39条 「何人も、実行の時に適法であつた行為又は既に無罪とされた行為については、刑事上の責任を問はれない。又、同一の犯罪について、重ねて刑事上の責任を問はれない」 つまりjesse氏の主張は「日本国憲法」など無視して、
法的根拠のない「裁判」で恣意的に戦争犯罪人と認定したものを裁けと言っているのに等しい。 とりあえず「一事不再理」の大原則にも反します。
「一事不再理」は国際慣習法としても認められていると認識しています(笑) ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ }


さて質問です。
Jesseこと私の主張の是非は別にして

①「一事不再理」の大原則に反しますか?

②「日本国憲法違反」うんぬんは正しいですか?


なお、このJ氏は以前から私自身の発言から都合のいい部分だけを切り取ってイメージ操作する傾向があるので、この人の引用元を明らかにしておきます。
http://blog.livedoor.jp/antmam/lite/archives/24425100/comments/699739/

平和条約締結後の主権回復にともない、我が国の方で極東国際軍事裁判の判決結果を無視した独自の裁判を行い、例えば昭和天皇の「有罪判決」でも下せばよかったということなのでしょうか?

それがどれだけバカバカしいことなのか、説明する必要があるとも思っていませんけど

とりあえず「一事不再理」の大原則にも反します。

「一事不再理」は国際慣習法としても認められていると認識していますが

とりあえず、まず「日本国憲法」にだって違反しますよ(笑)。

「日本国憲法」第39条

何人も、実行の時に適法であつた行為又は既に無罪とされた行為については、刑事上の責任を問はれない。又、同一の犯罪について、重ねて刑事上の責任を問はれない。

つまりJ氏の主張は「日本国憲法」など無視して、法的根拠のない「裁判」で恣意的に戦争犯罪人と認定したものを裁けと言っているのに等しい。


で、この「質問」のベストアンサー回答者の方との返信のやり取りを見て気づいたのですけど

どうやら、J氏はこの件について「刑法第5条」を「自説」の根拠の一つとして考えていたようです。

J氏の返信より

2020/9/10 14:30
おっ  こっちまで遠征 乙

① 一事不裁理

はい その通りなんですが
昔のロス疑惑の三浦和義氏は
日本で無罪判決のあとサイパンでアメリカ当局に拘束されました。
日本では殺人罪が無罪でアメリカでは監禁罪だったと記憶しています。

②違憲や否や?
違憲です


はい39条ですね。
仰る通りなんですが
憲法39条を解釈して作られたと思う刑法5条では
条文 外国において確定裁判を受けた者であっても、同一の行為について更に処罰することを妨げない。とあります。

東京裁判は国際裁判です。

また慰安婦問題は東京裁判でも審議されていますので

このあたり議論が発生すると思います、


また 東京裁判以前または
並行して日本人の手で弾劾裁判が行われたら
如何でしょうか?

それなら何か問題ありますか?


はい、勿論、問題大有りです(笑)。

そもそもJ氏は敗戦直後の我が国で連合国による裁判が始まる前に、我が国の方で自主的に軍法会議で裁こうという動きがあったことさえご存じないようですけど

『東京裁判を正しく読む』牛村圭、日暮吉延(文藝春秋)P24など

まあ、それはおきます。

さて、ここで指摘したいのは

憲法39条を解釈して作られたと思う刑法5条では
条文 外国において確定裁判を受けた者であっても、同一の行為について更に処罰することを妨げない。とあります。


この部分ですね。

確認したら、これはJ氏の「盟友」であるところの悪質投稿者eとの返信のやり取りでも出てきました。

2020/9/5 19:30
戦争責任を語ると
必ず出てくるのが「一時不再理」ですね。
もちろん刑事ドラマなどで殺人の容疑で無罪を勝ち取ると
同じ容疑で裁判出来ないのは分かりますが
三浦和義はサイパンで拘束されました
同じく一事不再理で審議されてのですが
当時話題になりましたよね。


2020/9/5 19:32
また刑法5条をどう考えるのかな?


いや 別にもう一度東京裁判をやり直せと言っているのでは
無いのですがね。
一事不再理が天下御免の印籠かと言えるのか
新たなる疑問は沸きますね。


率直に言いますけど「無知な素人の付け焼き刃」という以外の表現を思いつきませんでした。
(あっ「バカにつける薬はない」というのもあるか‥)

三浦和義氏の「いわゆるロス疑惑」について説明するのは面倒なので、概要についてはウィキを読んでいただければと思います。
(本論ではないので読み飛ばしてくれてもかまいません)
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AD%E3%82%B9%E7%96%91%E6%83%91


(一部抜粋)

米国での審理 編集
2008年2月22日に米国自治領である北マリアナ諸島サイパン島において三浦は、現地に出向いていたロサンゼルス市警察の警官に殺人容疑で逮捕された。これは、「ロス疑惑」の捜査が米国では未だ進行中(米国では時効制度は存在するが、殺人に関しては時効は存在しない。また、もともと米国から国外へ逃亡しているのと同様の状況であり、時効があったとしても停止している可能性があった)であり、それに基づいての身柄確保と思われた。

米国捜査当局は、ロサンゼルスへの移送を目指していたが、三浦側は日本の最高裁での無罪判決の確定を根拠として、「一事不再理」の原則を盾に米国捜査当局の身柄拘束を不当なものと見なし、ロサンゼルスへの身柄移送の中止と身柄の解放を訴えて、法廷で争った。9月26日に裁判所は殺人罪の逮捕状は日本で判決が確定した一事不再理にあたり無効とした上で、殺人の共謀罪については日本で裁かれていないとして有効とした。


三浦和義氏は米国裁判所の判断により「殺人罪の逮捕状は日本で判決が確定した一事不再理にあたり無効」とした上で、「殺人の共謀罪」については日本で裁かれていないとして有効とされたわけです。

なら、極東国際軍事裁判で裁かれていない案件(例えば「慰安婦問題」の国家関与など)を、極東国際軍事裁判とは別に、日本国内の「戦争責任追及法廷」で裁くことならできるんじゃないの?

こういう反論が来そうですけど、結論からいうと無理です。

その理由はいくつもあるんですけど、ここではあくまでもJ氏のいう「刑法第5条」

憲法39条を解釈して作られたと思う刑法5条では
条文 外国において確定裁判を受けた者であっても、同一の行為について更に処罰することを妨げない。とあります。


についてだけふれます。

まず刑法第5条を実際に見てみましょう。

(外国判決の効力)
第五条  外国において確定裁判を受けた者であっても、同一の行為について更に処罰することを妨げない。ただし、犯人が既に外国において言い渡された刑の全部又は一部の執行を受けたときは、刑の執行を減軽し、又は免除する。


これは「原則属地主義・一部属人主義、一部保護主義」に基づくものです。

なおアメリカは「属地主義」を採用しています。

簡単にいうと「主権国家の国内法」で判決の確定した人物は、別の主権国家においては必ずしも無罪とは限らないということ。

ただし、極東国際軍事裁判のような国際法を根拠とし、判決結果が関係諸国にも影響を及ぼすような場合には適用されないということです。

では

極東国際軍事裁判というのはどこで行われたのでしょうか?

そう日本国です。

日本国は極東国際軍事裁判の判決結果を認めていますが

そうサンフランシスコ平和条約第11条により認めています。

第11条

日本国は、極東国際軍事裁判所並びに日本国内及び国外の他の連合国戦争犯罪法廷の裁判を受諾し、且つ、日本国で拘禁されている日本国民にこれらの法廷が課した刑を執行するものとする。これらの拘禁されている物を赦免し、減刑し、及び仮出獄させる権限は、各事件について刑を課した一又は二以上の政府の決定及び日本国の勧告に基く場合の外、行使することができない。極東国際軍事裁判所が刑を宣告した者については、この権限は、裁判所に代表者を出した政府の過半数の決定及び日本国の勧告に基く場合の外、行使することができない。

ご覧の通り、刑の執行についてまで規定があります。

そして、少なくともアメリカなどサンフランシスコ平和条約の批准国、及び受益国などの関係諸国にも判決結果は影響を与えています。

その前提において

極東国際軍事裁判、及びBC級戦犯裁判などにおいて裁かれた戦争犯罪者に対する「新たな追及」が出来るとでも思っているんでしょうか?

「刑法第5条」

外国において確定裁判を受けた者であっても、同一の行為について更に処罰することを妨げない。ただし、犯人が既に外国において言い渡された刑の全部又は一部の執行を受けたときは、刑の執行を減軽し、又は免除する。

の適用の余地があると思っているんでしょうか?

ロス疑惑の場合には、一応は日本国内の「国内法による」判決結果は、別の主権国家であるアメリカを必ずしも拘束しない
(主権国家の国内法は、他の主権国家の国内法には適用されない)

に基づくものです。

極東国際軍事裁判の場合には国際裁判であり、その判決結果は平和条約により裁判の判決結果を受諾するものです。

その判決結果を無視して、日本国内で勝手な裁判を行い、極東国際軍事裁判で起訴されなかった関係者をあらためて起訴するなどということが出来るとでも思っているんでしょうか?

いや、個人がそう思うのは本人の勝手ですけど

そんなバカバカしい話を元に特定個人の批判などしてほしくないものです。

そんな与太話を鵜呑みにする人がいたらどうするんですか?


ソ連はサンフランシスコ平和条約の受益国か?

2020-09-08 22:34:35 | 近現代史関連
結論だけいうとソ連、そして現ロシアはサンフランシスコ平和条約の受益国ではありませんけど

南樺太、千島列島及び北方領土を「事実上の自国領土」とすることによって(国際法上は違法な)利益を事実上得ています。

なので、サンフランシスコ平和条約に拘束される側である我が国がそれを追認した瞬間にロシアは

同平和条約第25条

この条約の適用上、連合国とは、日本国と戦争していた国又は以前に第23条に列記する国の領域の一部をなしていたものをいう。但し、各場合に当該国がこの条約に署名し且つこれを批准したことを条件とする。第21条の規定を留保して、この条約は、ここに定義された連合国の一国でないいずれの国に対しても、いかなる権利、権原又は利益も与えるものではない。また、日本国のいかなる権利、権原又は利益も、この条約のいかなる規定によつても前記のとおり定義された連合国の一国でない国のために減損され、又は害されるものとみなしてはならない。

に反して、同条約の第2条(c)

日本国は、千島列島並びに日本国が千九百五年九月五日のポーツマス条約の結果として主権を獲得した樺太の一部及びこれに近接する諸島に対するすべての権利、権原及び請求権を放棄する。

から利益を受けることになってしまいます。

で、それは認められないよ、というのが、いわゆる「ダレスの恫喝」(ダレスの勧告)と呼ばれるもの。

とにかく千島のソ連帰属を認めるということは認められない。いわんや択捉・国後まで含めて認めることなどは認められない。もしも日本がそういう態度をとる場合には、サンフランシスコ講和条約の第二十六条を注意してもらいたい。サンフランシスコ条約不参加の国とのあいだには、サンフランシスコ条約と同一の内容で日本が講和するのが原則であって、もしも条約で規定している以上に、その国に日本が譲歩するというならば、すでに条約を結んでいる国は日本に追加の代償を請求することができる

高野雄一『国際法からみた北方領土』(岩波ブックレット)P42より

言うまでもなく、ダレスのこの論法が成り立つためにはソ連がサンフランシスコ平和条約から利益を得ていないという前提が必要です。


だから、ソ連、そしてロシアは法理論上はサンフランシスコ平和条約に基づく日本国の南樺太、千島列島の放棄から利益を得ていないことになります。

が、実際にロシアは南樺太、千島列島、そして「北方領土」を「実効支配」しており、それを既成事実化しています。

さて、ロシア自身は南樺太、千島列島、そして「北方領土」はロシア領土として正式に編入されたとの見解であり、そのように主張していますが、根拠の一つとしてサンフランシスコ平和条約における日本国の「放棄」を挙げています。

ヤルタ協定とその合意事項は、一九五一年のサンフランシスコ講和条約で確認され、クリール列島に対する日本の帰属権の放棄が確定した。ソ連は同条約に調印しなかったから、ソ連がクリール列島を領有することはできない、とする日本の主張は根拠薄弱だ。講和条約で日本が列島の帰属を放棄したことは絶対的なものであり、その法的効果が及ぶ範囲は条約調印国にとどまらない。さらに日本側は、択捉、国後など四島がクリール列島に入らない、という論拠まで持ち出した。
 しかし、連合国は、日本の北側国境は北海道の海岸線によって画定される、という認識をもっていたし、日本政府もかつて、四島はクリール列島の一部と認めていた。


つまりロシアの論法としては、自身はサンフランシスコ平和条約とは関係ないが、その結果としての日本国の放棄から自国が利益を受けるのはヤルタ秘密協定などの経緯からいっても当然であると考えているということになります。

サンフランシスコ平和条約の第25条により、明確に

この条約は、ここに定義された連合国の一国でないいずれの国に対しても、いかなる権利、権原又は利益も与えるものではない


と定義されているにもかかわらずです。

そして、それを日本国が「追認」することで、名実ともに晴れて自国領土として認められるのでなければ

日本国との平和条約は締結しないと言っているわけです。

いったん、ここまで。


北朝鮮もまた、サンフランシスコ平和条約の受益国である

2020-09-08 16:10:06 | 近現代史関連
サンフランシスコ平和条約第21条にはこうあります。

この条約の第二十五条の規定にかかわらず、中国は、第十条及び第十四条(a)2の利益を受ける権利を有し、朝鮮は、この条約の第二条、第四条、第九条及び第十二条の利益を受ける権利を有する。


では、具体的に「朝鮮」が利益を受ける権利を有するという第2条を、まず見ていきます。

第2条

(a) 日本国は、朝鮮の独立を承認して、済州島、巨文島及び欝陵島を含む朝鮮に対するすべての権利、権原及び請求権を放棄する。

(以下省略)

北朝鮮こと朝鮮民主主義人民共和国は、サンフランシスコ平和条約とは関係ない第三国にあたりますけど

我が国はサンフランシスコ平和条約によって「朝鮮半島」、つまり済州島、巨文島及び欝陵島を含む朝鮮に対するすべての権利、権原及び請求権を放棄しています。

既に主権が存在しないのであれば、それを平和条約に基づいて「放棄」することはできません。

さて、ポツダム宣言についてですけど、これは国際法の主流的解釈によるのであれば「今後履行される約束の予約」と解されます。

ポツダム宣言にはこうあります。

八 「カイロ」宣言ノ條項ハ履行セラルベク又日本國ノ主權ハ本州、北海道、九州及四國竝ニ吾等ノ決定スル諸小島ニ局限セラルベシ

→この「吾等ノ決定スル諸小島」の決定権が「誰」にあるのかは、あえてふれません。

ただし、第一次世界大戦以前までにおいて、日本国が「国際法上、合法的に獲得した領土」に関しては、当該領土である、例えば「朝鮮」などを日本国が法的な意味で「放棄」する必要があります。

日本が朝鮮における権原を放棄していないということは、仮に北朝鮮を承認する他国が存在しても、それはかつての満州国をドイツやイタリアなどが承認していたのと同じく

国際法上は日本の領有権が存在したままの朝鮮半島北部に朝鮮民主主義人民共和国と名乗る主権団体が、いくつかの他国の承認を得ているのに過ぎない状態でしかありません。

そしてポツダム宣言により我が国が受諾した内容の具体的な履行は、サンフランシスコ平和条約、またはそれと同等の平和条約によってなされることになります。

ポツダム宣言は、あくまでも日本は今後このような方向で対応しなさいというものであって、例えば「領有権の放棄」などの具体的な実行ではないんです。

朝鮮半島の例で言えば、連合国による占領統治は、そのままでは日本国の領有権喪失を意味しません。

占領だけでは領有権は移転することはないんです。

日本国政府が朝鮮民主主義人民共和国という国家を承認するかどうかは別として、少なくとも日本国としてはサンフランシスコ平和条約において、はじめて朝鮮の独立と朝鮮に有していた権原の放棄を国際社会に向けて認めました。

その前ではないんです。

これにより朝鮮民主主義人民共和国は、晴れて国際機関にも参加できるようになり、実際に国連にも加盟しました。

その点だけを見ても

北朝鮮はサンフランシスコ平和条約による「日本国の朝鮮放棄」から利益を受けていないとは言えないでしょう。

以上はとりあえずです。



ソ連はポツダム宣言、降伏文書、そして極東国際軍事裁判の受益国である

2020-09-08 16:10:06 | 近現代史関連
忘れている人も多いようですけど、第二次世界大戦の初期において、ソ連はそもそも枢軸国側でした。

1939年9月1日にナチス・ドイツ軍、及びその影響下にあったスロバキア軍がグライヴィッツ事件などを口実としてポーランドに侵攻を開始したのが一般的には第二次世界大戦のはじまりとされています。

二日後の9月3日に、ポーランドと相互防衛条約を結んでいたイギリス、フランスは、ドイツ軍のポーランドからの即時無条件撤退を要求した最後通牒にドイツが回答しなかったことによりドイツに宣戦布告することとなります。

が、その直後ともいえる1939年9月17日、ソ連軍もまた、ポーランド東部に侵攻を開始しています。

これは既に締結されていた独ソ不可侵条約の秘密議定書
に基づくものであり、ソ連はドイツとポーランドを分割併合し、さらにはバルト三国、フィンランドなどへの侵略もそこには盛り込まれていました。

その後、ソ連は実際にバルト三国を強制的に併合し、1939年11月にはフィンランドに対する侵略戦争(冬戦争)も行っています。

この結果、ソ連はひとたびは加盟した国際連盟からもフィンランドの提訴により追放されています。

こうした大戦初期のソ連による戦争は、明らかに周辺国に対する侵略戦争そのものであり、またドイツとの不可侵条約を通じた「事実上の同盟」によりこれらがなされたのは疑う余地のまったくない事実です。

にもかかわらず

その後のソ連は不可侵条約を一方的に破棄したドイツとの戦争を機に連合国側となり、アメリカからもレンドリースなどによる援助を受けています。

前置きが長くなりましたが

以上の点だけ見ても、大戦初期のソ連は枢軸国側、少なくとも国際秩序を無視した侵略国家だったことは疑う余地のまったくない事実です。

さて、ここから話をドイツ降伏後の日本についてのものとします。

まず前提として、こちらにもあるように、大戦末期のソ連による対日戦争は、日ソ中立条約を違法に破棄したものです。

にもかかわらず、ソ連は連合国の有力な一員としてポツダム宣言の署名国となり、日本側が署名した降伏文書においても戦勝国となり、そして極東国際軍事裁判にもイワン・M・ザリヤノフ少将を判事に送り込むなど、影響力を行使し、それどころか日ソ中立条約を先に破棄したのは日本側であるなどのソ連にとって一方的に有利な判決を押しつけることに成功しました。

大戦初期において、明白な侵略国家だったソ連はドイツ、日本両国の敗北と、ニュルンベルク裁判、極東国際軍事裁判において自国に有利な判決を押しつけたことにより、大きな利益を得ることが出来ました。

どう考えてもソ連は、ポツダム宣言、降伏文書、そして極東国際軍事裁判の受益国であると評するしかないでしょう。