(益子教会 毎週木曜10時半「聖書に親しむ会」で、旧約聖書を創世記から順に学んでいます。その概要を掲載しています)
〇11月14日(木) 創世記5章 系図:一人一人の名前が神に記憶されている
この章は、アダムの系図として記されています。その系図の定式「~は○〇歳になったとき、だれだれをもうけた。 ~は、だれだれが生まれた後◎◎年生きて、息子や娘をもうけた。~はXXX年生き、そして死んだ。」により、セツの家系がどのようにノアに繋がったかの記録が記されています。聖書には、系図がいくつか記されていますが、一人一人の名前が神に記憶されていることを表しています。4章でもカインの系図が記されていますが、5章は4章とは別の資料(祭司資料)だといわれます。これらの人たちは寿命が900歳前後です。聖書以外の古代の記録、例えばシュメール人の記録では大洪水があったこと、また洪水以前の王として8人もしくは10人が揚げられていて、それぞれが平均して数万年統治していたそうです。古代ではが各人種とも先祖が長寿だったという伝説をもつようです。数え方の違いとの説もあり。いくら長生きしたとしても、必ず「死んだ」と記され、死が必ず人生にあることを強調しているかのようです。
ところが、一人だけ、「死んだ」と記されていない人がこの系図の中にいます。エノクという人です。エノクは「神がエノクを取られたのでいなくなったと」記されています。旧約聖書及び初期ユダヤ教では人間の不死という思想があまりなく、「神が人を取り去る、いなくなる」は死の湾曲語法だそうです(詩39:14 イザヤ53:8参照)。一つだけ、預言者エリヤは火の戦車にのせられ昇天したという記録が列王記2 2章11節にあります。エノクには他の人には記されていない特徴「神とともに歩んだ」とあり、へブライ人への手紙11章5節に「信仰によってエノクは死をみないように天に移された。神がお移しになったので、彼は見えなくなった。」と死を味わうことなくエノクは天に移されたとされます。
ノアも「神と共に歩んだ」人として6章9節に記されています。ノアは「慰め、休息」という意味で、彼の父が「主の呪いを受けた大地で働く我々の苦労を、この子は慰めてくれるであろう」と名付けました。それ程、土地を耕しても収穫を得るのに労苦が大きかったので、土地の呪いが解け、人間がを耕すことの労苦から解放されることを願ってノアと名付けたのでしょう。続く章に示されるように、この名に託された切なる願いが、ノアによる新しい時代の始まりの予告となるのでしょう。