イエス様の弟子たち中の数人は漁師です。ですから彼らは仕事柄、彼らの漁場のガリラヤ湖の状況を良く知っている人たちです。海面下約182mのところに位置するガリラヤ湖は、突然の激しい嵐が吹き下ろすことで知られていました。日が沈み空気が冷えると、西から風が吹き込み波をかき乱します。この日は、イエス様が5000人の群衆に、5つのパンと2匹の魚を奇跡で増やし、満腹するほど給食をなされた日でした。イエス様が夕方、弟子たちを強いて船に乗せて向こう岸へ行かせました。「強いて」とあるのは、もしかしたら弟子たちは舟を漕ぎだしたくなかった空模様、もしくはイエス様と離れたくなかった理由があったから躊躇し、イエス様が強いたのかもしれません。人々はそのパンの奇跡に興奮し、イエス様を王に祭り上げようとした程で*、イエス様はそのような群衆から弟子たちを離したかったかもしれません。弟子たちはイエス様の指示に従って舟を出しました。一方、イエス様ご自身は、一人祈るために山に登られていました。
舟を出してからまもなく、弟子たちが向かっている方向から風が吹きおろし、数時間漕ぎ続けても舟は進まない状態でした。弟子たちの湖での様子を、山の上から月明りのもとで見られ、イエス様は湖の上を歩いて弟子たちのもとへ向かいました。暗闇の中で、弟子たちは水の上を近づいてくる人物は幽霊だと思って恐怖におののきます。イエス様は「安心しなさい。わたしだ。恐れることはない」と言われました(50節)。イエスの弟子たちはイエス様だと分かると舟に招き入れました。すると、すぐに奇跡的に目的地の岸へ到着しました。
イエス様に従う道は時々先が見えず、不安で、恐ろしく思えるかもしれませんが、弟子たちのように私たちが苦難の中にイエス様を招き入れれば、イエス様は私たちが必要な場所にたどり着けるように導き、助けて下さる方です。日常生活の中で、突発的なこと、予期しない困ったことが起こります。そんな時、なんとか乗り越えられてきたのは自分の力でしょうか?私たちが気が付かないだけで、実は神様の奇跡的な救済の出来事は毎日私たちの周りに起きているかもしれません。聖霊の導きによりその奇跡をとらえ、神様に感謝し、主が全てコントロールしておられると委ねられる時、私たちの信仰が強められ、更なる困難や試練に耐えられるように強くされていくことでしょう。私たちは、嵐的状態においても、慌てず、恐れずにイエス様に信頼して解決方法・助けを求めて祈り、心の平安を持ち続けたいと願います。
「弟子たちは、イエスが湖上を歩いておられるのを見て、幽霊だと思い、大声で叫んだ。 皆はイエスを見ておびえたのである。しかし、イエスはすぐ彼らと話し始めて、「安心しなさい。わたしだ。恐れることはない」と言われた。 イエスが舟に乗り込まれると、風は静まり、弟子たちは心の中で非常に驚いた。」 マルコによる福音書6章49-51節
*並行記事 ヨハネによる福音書6章15節