若い時に、私は約一ケ月程スペイン・ポルトガルの一人旅をしたことがあり、そこでの空の色が、今迄見たことがない鮮やかな深い青色で非常に感動したものでした。ローマ帝国時代に現スペインは、イスパニアと呼ばれ、当時西の地の果ての国とされていたそうです。ちなみに日本は東の地の果て(極東)ですが、そんな遠い日本へ16世紀にキリスト教の宣教師が西の地の果てから来てくれたのだと、驚きと感謝を改めて思わされました。
「私には夢がある I have a dream!」の演説で有名な、公民権運動を指導した牧師のマーティン・ルーサー・キング師は「破れた夢」という説教で、「人間の経験で最もつらい問題の一つは、自分の一番大きな希望が実現するのを生きて見られる者は、ほんの少数の者にすぎないということ」、それでも「無限の希望を固く抱いて、有限の失望を受け入れる」、「自分の破れた夢と真剣に対決しなければならない。」と言っています。これは使徒パウロが、イスパニアへの伝道旅行へ行くという夢、ヴィジョンを語っていた箇所(ローマの信徒への手紙15:24.28)からの説教の一部だそうです。パウロは「地の果てに至るまで、わたしの証人となる。」(使徒言行録 1:8)と主イエス様の言葉を伝え聞き、地の果てまで伝道しようと志したのでしょう。残念ながら、聖書の記録にはパウロがイスパニアへ行ったという記録がなく、ローマで殉教したという伝承が残されています。神様はパウロに別の計画を持ち、彼の希望はその後、他の伝道者たちによって全世界へキリスト教が伝えられているという形で、今も実現中です。
私たち人間が考え、計画することは必ずしもすぐに実現するとは限りませんし、道が閉ざされることもあります。挫折し、がっかりしますが、そこで止まらず、神様がすべて統括しておられることを信じ、神様のなさりたい事とその方向性をキャッチしていくことで、希望を固く抱けるのではないでしょうか。私たちの内に住む聖霊が私たちを導き、聖霊の力が注がれ、キリストの愛を知らない人に出会い、証しする機会が与えられるという、神様の救いの御業に参与させて頂けることを期待したいと思います。いつも救いの喜びを覚え、絶えず祈り、神様に感謝しながら*、今おかれた宣教の場所でキリストの愛を伝えていきたいと願います。
「あなたがたの上に聖霊が降ると、あなたがたは力を受ける。そして、エルサレムばかりでなく、ユダヤとサマリアの全土で、また、地の果てに至るまで、わたしの証人となる。」 (使徒言行録 1:8)
*テサロニケの信徒への手紙1 5章16-18節