紫苑の部屋      

観劇・絵画と音楽・源氏物語      
について語ります        

墨染の玉三郎―十二月大歌舞伎 昼の部

2015-12-18 21:00:00 | 観劇
関扉の小町姫と墨染はふつう一人で演じる(歌右衛門のが最も有名)のですが、
七之助との棲み分けによって、
玉三郎の墨染が幻想的かつ優艶で、際立っていました。
恋人に会いに来た小町と切り離され、人を超えたもの、
そして薄墨桜の化身をも昇華させた存在、と思えました。

関扉は何回か観ていて、今回舞踊としての見どころを新たに知りました。
その一つは、地方(じかた)が竹本・関兵衛、常磐津・小町、と語り分けているのが面白い。
セリフも語りのほうに任せたりして、そのかねあい、双方の間、息の合わせ方、
ベテランの地方あっての歌舞伎舞踊、と改めて思います。

松緑の関兵衛、松也&七之助の若手を相手にすると、中堅の貫禄を感じさせます。
この3人の手踊り、見どころの一つです。
関兵衛の所作に
  〽生野暮臼鈍(きやぼうすどん)情なし苦なしをみるようで
に「当て振り」をして、生は立木、野は矢を射る…という振りをする、ようですが、
歌詞がよく聞き取れず、見逃しました。

今回知った、星繰り、という小道具、星占いをさすのですね。
酒に酔った関兵衛が、大盃を飲み干そうとして、突如桜に執心する、
そのとき、天井から何やら降りてきている、のがそれです
雲を現す板に銀の玉が数個付いている、それが星、
桜を伐りたおし護摩木にして焚けば、大願成就、との占いに結び付く。

いつもは関扉、途中退屈してしまうのですが、
これが大局の舞踊であること、今回改めて感じ入り、
圧巻の玉三郎墨染に、仕合せ感いっぱいで帰途に着いたのでした。

【2015/12/18 観劇 歌舞伎座】★配役⇒2015観劇日誌


最新の画像もっと見る

コメントを投稿