紫苑の部屋      

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街のあかり

2007-09-05 22:55:01 | 映画
やはりチャップリンの「街の灯」、を連想します。
見終わって街の灯のような、しっとりと温かい気持ちになる、というのとは違います。
でも明らかにアキ・カウリスマキ監督の意図したパロディです。
この監督にはマッチ売りの少女、ならぬ→マッチ工場の少女、というのもあるらしく、そのノリです。
受け売りですが、原題は街はずれの灯り、の意らしい。

この監督の作品好きな人がよかった、と言っていましたが、
悪くはないけど、なんだか、主人公が魅力ある人物に設定してないし…、
好き嫌いあるわね、俳優さんはとっても魅力あるんですけど。
フィンランドの俳優さんは、国立演劇アカデミーのような舞台俳優出身が多いようです。
マフィアの愛人の女優(写真)さんが薄化粧から、
目尻にアイライン一筆入れるだけで変身するシーン、にはホントに驚きです。

ラストシーンに希望、というけど、救われることのない、いちおう暗ーい終わり方、
死にかけないと敗者は自分を自覚できない、
「犬」のように生きる敗者には敗者の道しかない、
這い上がろうとする夢は所詮夢にすぎない。
(字幕では負け組ってなっていたけど、ちょっと軽い、もっと深刻な状態よね)

貶めるマフィアも、
這い上がったと錯覚して元の惨めな自分に戻りたくないために加担する愛人も、
勝者ではないんです、同じ人生の敗者どうしなんですね。
マフィアの確信をもっていうセリフ、
自分の見込んだとおり、ヤツは決して彼女をサツには売らない、
分るのですよ、臭いで、同類だから…。
まっとうに生きて現実をしっかり踏みしめているのはソーセージを売る彼女だけ。

出演したワンちゃんの存在で、唯一、暗ーい場面がなぜか、ほっとする(手を重ねるシーンよりも)
これもパロディか、
この犬、賢い!演技うまい!と思ったら、フィンランドでは名優らしい!

フィンランドの今の一側面と思っていいのでしょうか?
敗者3部作だそうで、浮き雲ー失業、過去のない男ーホームレス、今回は孤独、ということらしい。
フィンランドといえば、かもめ食堂の舞台、がインプットされていて、
時間の流れがゆったり、人びとは素朴で善人、なんて思っていたので、
これもまた驚きです。この世界、どこも同じ世相ね、

面白かったのは、わたし個人の毎月見てきた映画の流れか、とビックリしたことが…、
最初流れたいかにも古そうな、ノスタルジックなタンゴの曲、あのボルベールだった!!
えっと思って、最後のキャストエンティングのとき確かめました!
netでいろいろ調べたら、こちらのほうがオリジナルバージョンだそうです。


Carlos Gardelの歌うボルベールの映像

それにしても、映画ボルベールで歌うペネロペ・クルスの魅力は抜群、と思ったら、吹替えだった?


Volver song by Raimunda

ほかにも懐かしいシャンソンが流れていました。
(2007/8/30 渋谷ユーロスペース)


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