深く潜れ(Dive Deep)! キネシオロジー&クラニオセイクラル・ワーク(クラニオ)の蒼穹堂治療室

「ココロとカラダ」再生研究所、蒼穹堂治療室が送る、マニアックなまでに深く濃い、極私的治療論とお役立ち(?)情報の数々。

猛暑なので(笑)「怖い話」を

2007-08-14 16:38:44 | 一治療家の視点

去年の冷夏とは打って変わって、今年は暑い! 私は真夏でもエアコンをかけて寝ることはない。どんなに暑くてもそれで普通に眠れるが、今年は暑くて5時頃目が覚めてしまう。こんなに暑いと、何か涼しくなる方策を考えないといけない。そこで「怖い話」でも読んで涼むことにした。

ところで、私は「怖い話」が大好きだ。小学校高学年から中学、高校とさまざまなミステリを読んできた(ただ、親は私がそういう本を読むことを極端にいやがり、私もそれがわかっていたので、親に隠れて読んでいたが、時々見つかって、何度も本を破り捨てられたことがある。私の子供時代のイヤな思い出の一つだ)。そんなわけで、私は「怖い話」の目利きを自認している。「怖い話」というと幽霊やら宇宙人やら呪いの何とかが出てきたりすることが多いが、その手の話は、そんな仕掛けでしか人を怖がらせることができないという意味で、「怖い話」としてはレベルが低い。もちろん、幽霊や宇宙人や呪いのビデオが出てきてもいいのだが、それが物語の中心に据えられているようでは底が見えている。普通の人が普通のことをしているだけの話の中にこそ、本当の「怖い話」はあるのだ。

で、今回選んだのは、エリック・シュローサーの『おいしいハンバーガーのこわい話』(草思社刊)。これは小説ではない。シューローサーは以前にも『ファストフードが世界を食いつくす』(草思社刊)という本を書き、マクドナルドを中心とするファストフード業界を告発してきたが、それを子供にも読めるようにやさしく書き直し、更に新しい情報を加えたのが、この『おいしいハンバーガーのこわい話』である。この本を選んだのは、治療家としてファストフード業界のことも少し勉強しておきたい、といった理由もあった。

結論を言えば、この本は私にとっては「面白い本」ではあったが「怖い本」ではなかった。それは、私がここ何年もハンバーガー・ショップをほとんど利用していないせいかもしれない。もちろん、それはたまたまそうなったのではなく、意図的にそうしているのだが。だが、普段からマクドナルドやケンタッキー・フライドチキンなどのショップをよく利用する人にとっては、単なる「怖い話」ではすまないかもしれない。

不二家、ミートホープ、そして中国からの輸入食品…食に関する事件が起こるたびに、ニュースではキャスターがしたり顔で「また食の安全を脅かすような出来事が起こりました。…今後このようなことが起こらないように、管理の徹底が求められています…」みたいなコメントを語っているが、「食の安全」は一部の不心得者が法律違反を犯すことで脅かされているわけではない。法律をしっかりと守り、優良企業、名経営者と称えられるところも、同じように「食の安全」を脅かしているという事実から、皆目をそらしている。しかし、それが紛れもない事実であることは、近くのスーパーにでも行って、売られている食品一つひとつを見てみればわかることだ。日本を含めた先進国の多くが今、飽食の時代と言われているが、一見、あふれているように見える食品の、一体どれが本当の意味で安全に食べられるものだろうか?

食肉に加工される雄の肉牛はスティア(去勢牛、つまり精巣を取り除いた牛)と呼ばれる。(中略)スティア一頭が出す(排泄物の)量は、一日33キロ以上。人間とちがって、牛の排泄物は下水処理場には送られない。貯留槽に捨てられる。この巨大な糞と尿のプールを、業界では“ラグーン(貯水池)”と呼ぶ。(中略)当然ながら、鼻の曲がりそうなほど臭いがひどく、ときどき中身が漏れて、処理されていない汚物が近くの川に流れこむ。1991年、ノースカロライナ州で、食肉処理場から漏れたものが原因と思われる病気により、10億匹の魚が死んだ。

ファストフード業界向けに育てられる鶏は、大きな胸を持ち、短期間でおとなになるように品種改良されている。(中略)なかには、胸が大きくなりすぎて、(たとえ歩けるだけの空間があたえられていても)まともに歩けない鶏がいる。その脚は、重い体重を支えるせいでひどく曲がって、水分がたまってむくんだ状態。そして、生きているあいだずっと、痛みに苦しめられる。

たとえ、仮に調理の段階で合成添加物を一切使用していないとしても(もちろん、そんなファストフードはまず存在しないが)、こんな牛や鶏を食べて幸せで元気に生活できると思う方が間違っている、と思うのは私だけだろうか。ファストフードの摂りすぎで体重が130キロを超えてしまい、胃のバイパス手術を受けた16歳のサムのエピソードは、読む者に不気味な余韻を残す。

サムはときおり、ファッジサンデーやコカコーラが恋しくてたまらなくなる。もう二度とこれらを食べることはできない。サンデーの糖分は激しい頭痛をもたらすし、清涼飲料の泡はひどい胃の痛みをもたらす。ハンバーガーだけは、いまも食べられる。ただし、時間はけっこうかかる。ビッグマックを食べたいと思ったら、それを六つに切り分けて、3時間おきにひと切れずつ食べなくてはならない。たいていの人が数分でぺろりと食べおえるバーガーも、サムが食べようとすると約15時間かかるのだ。

一体、そこまでして食べたい/食べなければならないハンバーガーとは何だろう? それともこれは、何かの呪いなのだろうか?


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