深く潜れ(Dive Deep)! キネシオロジー&クラニオセイクラル・ワーク(クラニオ)の蒼穹堂治療室

「ココロとカラダ」再生研究所、蒼穹堂治療室が送る、マニアックなまでに深く濃い、極私的治療論とお役立ち(?)情報の数々。

鍼灸治療を受けて患者が怒ってしまった、という話

2005-12-10 12:40:16 | 一治療家の視点
これは私が鍼灸学校に行っていた時に聴いた話。重い腰痛持ちの人がいて、その人にどこかいい治療はないかと相談を受けた人が、ある鍼灸の治療院を紹介した、という。そこで、その人はさっそく、その紹介された鍼灸院を受診した。そこの先生も××さんからの紹介だから、ということで一生懸命治療し、1回の治療で腰痛はかなり改善したらしい。ところが、××さんが「どうだった?」と聞いたら、その人は「もう二度と鍼灸なんか受けない」と怒ってしまっていた、というのである。

その人の言い分は、こんな風なことだったらしい。
--俺は腰が痛いから治療を受けに行ったんだ。ところがあの鍼灸師は、足だとか腕だとかに鍼を打っている。こんなふざけた話があるか。もう二度と行かない。

人体には全身に(公式的に認められているものだけでも)365穴のツボがあるが、そのうち特に治療効果が高いといわれているツボが、腕の肘から先、脚の膝から下に多く点在している。症状の出ている部位に直接鍼や灸を行うのではなく、そういった遠隔部にあるツボを中心に使う治療体系があり、その先生はそういう形の治療を行ったのだろう。

それにしても、その治療で効果がなかった、というならわかるけど、(全く痛みがなくなったわけではない、としても)腰痛が改善するという効果はあったのだ。しかし、患者は納得しなかった、と言うか怒ってしまったのである。で、その話は特にオチがあるわけではなく、「いや~、治療するって難しいね」ということで終わったのであった。ジャンジャン。

私なども、症状の出ている局所をあれこれいじりまわすより、こういった遠隔部位からの治療の方が、絶対安全だし、スマートで好きなんだけどねぇ。例えば、その部位に炎症があったりした場合、下手に揉んだ入り動かしたりすると、痛みが広がって収拾がつかなくなることもある(実際、頚部痛でマッサージを受けたら夜も眠れないほど痛みがひどくなった、という人が、ウチには今年2人来た)。

確かに自分で治療していても、遠隔ばかりで症状の出ている局所をまったくやらない時など、この人はもの足りないと感じているのかもしれないな、と思ったりもする。格好だけでもやっておくか、とも思うのだが、他に優先的に治療すべきポイントなどがあると、時間がもったいなくてついつい後回しになって、結局やらなかった、などとなってしまうことが多々ある。どうせやっても形だけだから、治療効果そのものは(多分)変わらないのだが、自分としていい出来だと思える治療をやっても、その患者がそれっきりになってしうと、治療効果を落としてでも局所をやるべきだったか、と迷うこともある。

先の話に出てきた、腰痛持ちの人も、治療効果ウンヌンよりも、まずは痛くて辛い腰に、とにかく鍼をブスブス打ってほしかっただけなのだ。皆が皆、良くなることを求めて治療に来るわけではない。「あなたのために、こんなに頑張って治療してます」というパフォーマンスが見たい人も、実は少なくないのかもしれない。が、どうも私にはそういう治療ができない。まあ、最近は開き直ってきて、「俺の治療は、こういうスタイルなんだから、それが気に入らなければ、もう来なくて結構」と思ってやっているが。

だから、「あぁ、今日は目一杯治療をうけたなぁ」という身体的な充実感を味わいながら帰りたいなら、ウチの治療院はオススメしない。僭越ながら、院長から一言。

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