深く潜れ(Dive Deep)! キネシオロジー&クラニオセイクラル・ワーク(クラニオ)の蒼穹堂治療室

「ココロとカラダ」再生研究所、蒼穹堂治療室が送る、マニアックなまでに深く濃い、極私的治療論とお役立ち(?)情報の数々。

バイオダイナミックなクラニオと施術者の意識のあり方 2

2011-08-30 01:08:44 | 症例から考える

を書いてから1年4カ月近くが過ぎてしまい、書いた当の本人さえ何を書いたのかすっかり忘れてしまっている。当初は続き物として書くつもりだったのだが、他の話を書くために後回しにしていたら、どんどん続きが書きづらくなって今に至る。

このままウヤムヤにしてしまおうかとも考えていたが、最近、興味深いケースに出合ったので、それを2として書くことにした。で、BGMには雰囲気を盛り上げるため『Xファイル』のテーマを。

さて1で教科書的に説明したことだが、バイオダイナミックなクラニオは体の持つ周期的な律動=タイド(tide)のうち、主にミッド・タイド(mid-tide)にアクセスして行われる。そしてミッド・タイドにアクセスするためには、施術者は患者の生体場(biospher)に意識を向けることになる。

その辺りのことについて、マイケル・ケーン(Michael Kern)の『Wisdom in the Body(ウィズダム・イン・ザ・ボディ)』には次のように書かれている。

The practitioner can develop ability to make intentional shift in his perception in order to the different aspects of the primary respiration system. This process of expanding or narrowing the field of perception can facilitate the ability to tune in to each of the three tide.With relatively narrow perceptual field, the faster rhythmic rate of the cranial rhythmic impulse is more likely to be sensed. The slower tide of the Breath of Life are generally only palpate when the practitioner is operating with a wider field of perception. This involves an expasion of awareness, instead of focusing just on particular part. When his perceptional field is widening to include the whole sense or whole "biospher" of the patient, the practitioner may be able to sense the slower mid-tide. From this perspecion, it is easier to sense the underlying that organize the tissue.

 施術者は、第1次呼吸システムの異なる側面を感じるために、その知覚を意識的にシフトさせる力を育成することができる。この知覚場を拡大あるいは縮小する処理は、3つの潮流それぞれにチューニングする力を促すことができる。比較的狭い知覚場では、速いリズミックな頻度のクラニアル・リズミック・インパルスをより感じやすい。命の息吹のもっとゆっくりした潮流は、施術者が広い知覚場をもって治療しているときにだけ触診することができる。それは、特定の部分に焦点を当てる代わりに、認識の拡張を伴う。その知覚場が患者の全体感覚あるいは「生体場」全体を含むように広げられると、施術者には、よりゆっくりしたミッド・タイドが感じられる。この視野からは、組織を構成する根底にある力を感じることが容易になる。

しかし残念ながら、ミッド・タイドにアクセスするための生体場とは、具体的にどれくらいの範囲に取ればいいのかについては、ほとんど何も書かれてはいない。わずかにフランクリン・シルズ(Franclyn Sills)の『Craniosacral Biodynamis VOL.2(クラニオセイクラル・バイオダイナミクスVOL.2)』で

Maintaining a wide perceptional field, gently bring your attention to the biospher and primal midline(Fig.5.1).

広い知覚場を維持しながら、やさしく意識を生体場や第1中心線に持って行く(図5.1)。(←この訳文は私の試訳)

という説明文に添付された図5.1の中で、患者の全身を含むような球面状のものが描かれていることから、恐らくこのようなものを想定しているのだろうと考えられる。

純粋なクラニオの施術者がどうしているのかは知らないが、私が臨床でクラニオを行う場合、生体場としてどのくらいの範囲を取るかはキネシオロジーの筋反射テストを用いて調べている。それでわかるのは、一口に生体場といってもその大きさは、肉体にほぼ沿うくらいから、部屋に入りきらないくらいまで、さまざまだということ。そして当然、その生体場全体を覆うように意識を向けた時と、その一部だけを含むように意識を向けた時とでは、感じるものが変わってくる。

というわけで、これまでさまざまな生体場を見てきたが、この間診た患者の生体場はちょっとお目にかかったことのないものだった。

──その人の生体場は肉体から完全に離れた位置にあったのだ。

例えば左側にだけ大きく広がった生体場というのは、これまでもあった。しかし、いずれの場合も生体場はその中に肉体を含み、その周囲を大きく覆うようなものとしてある。しかし、その人の場合、筋反射テストで肉体のまわりをいくら探しても生体場が見つからないことから、「あれ~おかしいぞ」とあちこち探していたところ、肉体から完全に左にずれた位置に生体場を見つけた

これにはさすがに驚いたが、ともかく生体場が見つかれば後はやることは同じなので、何食わぬ顔をしてクラニオをしていた。そして途中、エッセンシャルオイルを使ったところ、左にあった生体場がスーッと音もなく(って、音がしたら逆にコワイが)右に移動して肉体と重なったのがわかった。

アレは何だったのか、いまだにわからないが、そういった不可解なことはウチの治療室では別に珍しくないので、それほど気にはしていない。ただ「クラニオをやるに当たっては、そういうこともあるんだよ」ということは、頭の隅に置いておいてもいいだろうとは思う。


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