深く潜れ(Dive Deep)! キネシオロジー&クラニオセイクラル・ワーク(クラニオ)の蒼穹堂治療室

「ココロとカラダ」再生研究所、蒼穹堂治療室が送る、マニアックなまでに深く濃い、極私的治療論とお役立ち(?)情報の数々。

筋反射テスト考 その5

2011-05-12 20:14:48 | 症例から考える

以前は、よそで「どんな治療してるんですか」と聞かれて「キネシオロジーとか…」などと答えるときは、説明なしにはわかってもらえなかった(場合によっては、説明しても。説明の仕方が悪いンだろうな…)。それが最近はキネシオロジーというものが比較的認知されてきて、説明しなくても「ああアレ!」と、わかってもらえるようになってきたのは、とにかく喜ばしい。

それにつれて、ブログを見ていても「キネシオロジーは二人一組にならないとできないので…」とか「自分で自分を調べることはできないので…」といった、とぼけた記事を見ることもなくなってきた。そう、キネシオロジーではセルフ・テストという形で、いくらでも自分で自分の状態を調べて治療することができるのだ。

セルフ・テストにはさまざまなやり方があって、ネットなどでも紹介されている。例えば…
・腕を90度に屈曲させ、自身が感じるその腕の重さの変化を用いるやり方
・立位になって心の中でさまざまな問いかけを行ったとき、体がやや前方に揺れるか後方に揺れるかを用いるやり方
・一方の手を軽く握り、その手を背屈する力をもう一方の手で見るやり方
・一方の手の母指と示指(人差し指)でO(オー)の字を作り、それをもう一方の手で開けるかどうかを見るやり方 ← これがO-リング・テストね
…などなど。

ちなみにウチで使っているのは指伸筋を使う方法で、例えば示指を背屈させる力を中指でモニターすることでセルフ・テストを行う。このやり方だと、もう一方の手が完全にフリーになるので非常に使い勝手がいいのだ。

キネシオロジーではインジケータ筋として使う筋肉は自由に選べるので、それでテストできさえすれば、どの筋肉を使ってもOK。

これでセルフ・テストはマスターできたね。というわけで、今回はサヨウナラ




──じゃなくて、ここからが本題。さっきまでのは、ただの前振りだから。


さて、ここからは『Hologram』に乗せて行こう。これは『鋼の錬金術師 Full Metal Alchemist』の第二期OP『ホログラム』をファンが勝手に英訳して歌っているものだけど、レベルは高い。

上でも書いたように、ウチでは筋反射テストのインジケータ筋に指伸筋を使っている。これが便利なのは片手が完全にフリーになることもあるが、他にも手の指は左右合わせて10本あるので、ある指が疲れてきたらインジケータ筋を別の指に換えて、そのままテストできることにある(別の先生は足趾まで使って筋反射テストができるようだが、私はそこまでには至っていない)。

実際、治療でも左右の手指を次々に入れ替えなから筋反射テストを行っている。私の場合、あまりに頻繁にインジケータ筋を入れ替えるので、ボーッとしていると時々、三つくらいの筋肉で同時にテストしていたりして、ちょっと慌てることも。

さて、そんなことをしていて気づいたこと──そうやってテストしていると時々、使っている指を換えるとYes/Noが逆転することがあるのだ。

そういう場合、まず疑うのは何かのスイッチングがあるのではないかということ。そこでスイッチングの有無を細かく調べて、それを処理する。それでさっきのインジケータ筋を換えることでのYes/Noの逆転が消えていればそれでいい。ところが、スッチングをすべて除去しても、やっぱりYes/Noが逆転したままのことがある。

そこで出てくるのが、インジケータ筋として選んだ筋肉自体の異常だ。前振りのところで書いたように、キネシオロジーでは筋反射テストのためのインジケータ筋として使う筋肉を自由に選ぶことができるのだが、それには条件がある。その筋肉がクリア・サーキット(clear circuit)な状態であること、である。

クリア・サーキットな状態とは、以下のような状態でないことを言う。
1.促通低下(Under Facilitation ; UF)
2.促通過剰(Over Facilitation ; OF)
3.抑制過剰(Over Inhibition ; OI)
4.抑制低下(Under Inhibition ; UI)
ちなみに、同じ筋肉が同時にUFかつOFであったり、OIかつOFであることはないが、促通と抑制の異常を同時に持っていることはある。つまり促通の異常と抑制の異常は背反ではないので注意。

もちろんスッチングがある場合も同じだが、クリア・サーキットな状態でないからといって、常にYes/Noが逆転するわけでない。これは面白いことだが、ある特定の質問に対してYes/Noが逆転するようだ。そして、その特定の質問は筋肉ごとに異なる。

私のように年がら年中、何かを決めるのに筋反射テストを使っていたるすると、インジケータ筋が疲れてくるのだろう。クリア・サーキットな状態でなくなってしまうことが、思った以上に起こることがわかった。

そしてそれ自体は見つかりさえすればいくらでも自分で治療できるのだが、セルフ・テストでいつも一つの筋肉をずっとインジケータ筋として使い続けていると、比較する対象がないのでつい見過ごしてしまう可能性がある。

治療の場合は、いくらやっても結果が出ない、ということでインジケータ筋の異常に気づくことができるかもしれない。が、筋反射テストの結果を主体にして、その人の深層心理を探るとか、これからの生き方を決めるといった、キネシオロジーによるカウンセリング+ヒーリングではどうなるのだろう。実はインジケータ筋がクリア・サーキットな状態になくてYes/Noが逆になっているのに、それに気づかないまま──

ヒーラー:あなたは心の中に○○という思いを抱えていますね。
クライエント:え? いえ、心当たりはないですが…。
ヒーラー:そこがあなたの問題の核心なんです ほら、キネシオロジーで調べると、こういう結果が出てるじゃないですか。ね、あなたはこれまで自分の中にある○○という感情から目をそらしてきてしまったんですよ。それが、あなたの人生の大きなブロックになっていることがわかりませんか?
クライエント:言われてみれば、そんな気がしてきました。確かに、これまで自分の中にある○○ということとキチンと向き合ってきませんでした。そうか、それが私の障害になっていたんですね。やっとわかりました。何だか目の前が開けたような感じです。

──みたいなマヌケなやり取りをしてしまわないか…とか。ま、クライエントが納得して幸せな気持ちで帰るなら、それはそれでいいのかもしれないが。

そういうわけで、いつもながら長い記事になってしまったが、キネシオロジーではスイッチングだけじゃなく、インジケータ筋がクリア・サーキットな状態にあるかどうかも確認しましょう、というのが今回の話。


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2 コメント

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笑っちゃうけど笑えないような (ひろひろひろ)
2011-05-14 00:26:27
「その4」から実に1年ぶりの「その5」ですね。
具体的な身体の症状を扱うことがほとんどの私にとって最大のインジケーターは、「本人の主訴」であり「本人が感じられる身体の状態」であったりします。
なので、仰るように(あれぇ?全然変化がないんですけど?)と、自分が間違ってることに気づけたりしてますね。
これが主訴が心の中の問題だけだったり。
体感覚や身体の症状を尋ねても「何も問題ありません!」とかいうことだったりすると、、、正直、やりたくないなぁと思います。
最後のまぬけなヒーラーとクライアントのくだりを笑って読めないことになりそうなので。
私がそんなヒーラーだったりしないように要注意!しときます。
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本文の問答は (sokyudo)
2011-05-14 09:26:14
>ひろひろひろさん

本文のヒーラーとクライエントの問答は、もちろん全くの私の創作ですが、何となくありそうなリアリティのある話として書きました。
こんなことを書いたのは、私の自分自身に対する戒めでもあるのです。
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