深く潜れ(Dive Deep)! キネシオロジー&クラニオセイクラル・ワーク(クラニオ)の蒼穹堂治療室

「ココロとカラダ」再生研究所、蒼穹堂治療室が送る、マニアックなまでに深く濃い、極私的治療論とお役立ち(?)情報の数々。

このカラフルな世界

2010-09-15 11:39:35 | 趣味人的レビュー
映画『Colorful』を観た。本当は『悪人』を観ようと思っていたのだが、時間が合わず『Colorful』に変えた。森絵都の原作も読んだことはなくて、以前観た予告編の感じだけで選んだ映画だったけど、『Colorful』はいい。いい映画だと思う。

この世で罪を犯して死んだ人間の魂が、消滅する順番待ちをしているような場所にいた「自分」に声をかけてきたプラプラと名乗る変な少年。「あなたはもう一度、下界に戻ってやり直すチャンスが与えられました。そこで修行し直すのです」。
意味がわからないまま「自分」は半ばプラプラに強制されるように下界に降りて、薬物自殺を図って死んだ中学3年生の小林真の体に入り、「小林真」として生きながら自分の前世の罪を思い出す修行を始めることになる。修行期間は半年。その間に目的を達成できなければ、「自分」は真の肉体から離れて真は今度こそ本当に死に、「自分」の魂も永久に消滅する。
家族は両親と大学受験を控えた兄の4人。「真」にはごく普通の家族に思えたが、プラプラから真が自殺を図った経緯を聞かされた「真」は母親を激しく拒絶するようになる。「真」としての生活も現世での修行も、全てに投げやりな「真」にプラプラは苦言を呈するが、「真」は聞く耳を持たない。そんな「真」が、あることをキッカケに変わり始める…。

映画を観ていて、自分のことを思い出してしまった。小言と「勉強しろ」としか言わない両親がイヤでたまらなかった、あの頃──もう35年近くも前の話だ。「真」の姿が、あの頃の自分の姿と重なって見えた。同時に、それを半分懐かしく半分苦々しく見ている今の自分がいる。昔の自分を、それから35年後の自分が少し離れたところから見ているような、何とも不思議な気分。だから「真」の成長を自分のことのように感じられた──恥ずかしながら。

この作品は映像としてもかなり特殊な作りをしている。登場人物たちは確かにアニメなのだが、背景が異様にリアルで、『Colorful』公式HPを見るまでは本物の写真を使っているんだと思っていた。そんな写真と見まごうようなリアルな背景があればこそ、普通のアニメとも、また実写とも違う、『Colorful』独特の現実と非現実の境にいるような空気感が生まれたのかもしれない。

人の持つ悪意が炸裂する『告白』のような映画も大好きだけど、人の成長に寄り添って、それを素直に喜べる『Colorful』のような映画も大好き。そう、人の持つ色は1色じゃない。世界はもっとカラフルなものなんだ。だから『Colorful』はいい。

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