2024年秋アニメとして見た再放送を含む16本から、夏まで放送されていた『烏は主を選はない』の再放送を除く15本の作品のネタバレなしの感想と評価。この「2」は、そのうち2024年末で(一旦)放送が終わった8本について。
ちなみにアニメの評価については、私の場合、何より物語が面白いことが重要で、作品全体の評価の少なくとも半分はそれで決まる。逆に萌えやエロといった要素にはさほど興味はないし、作画崩壊も(目に余るほどヒドくなければ)問題にはしない。
以下、並びは50音順で、評価はA~E。
『カミエラビ GOD.app』2期
1期は、ただ1つの“神”の座を争う、よくある異能力者同士のデス・ゲームだったが、2期はその12年後から始まる。
物語の方向性が1期とはガラッと変わって、「世界シミュレーション仮説」のような世界の仮想性だとかが前面に出た中二病的な要素満載で、これをやりたいがためにアニメの絵柄もこうしたのか、とさえ思える(実際のところは不明だが)。2期を見ているのは当然、1期で脱落しなかった人たちで、この『カミエラビ』という作品に対して、多少なりとも何らかの興味、関心を持ち続けているはず。2期はそういう人たちに向けての壮大などんでん返しというか舞台崩しになっている。
これを書いてもネタバレにはならないと思うので私自身の解釈を述べると、『カミエラビ GOD.app』というのは主人公、小野護郎(ごろう)の(ウィトゲンシュタイン的な意味の)独我論的世界を描いたものだと思う。そう考えるとああいうラストも含めて全てが整合性を持って見えてくるが、これが護郎の独我論だとすると、これを見て何らかの感動を覚えた人には、その感動が一気にぶち壊しだろうな。
評価は単なる中二病アニメではないという前提でC+~B-。
『銀河英雄伝説 Die Neue These』第4クール
銀河系に一大王朝を築きあげた帝国と、そこから離反した自由惑星同盟の攻防と興亡を描く、田中芳樹による小説の再アニメ化。今クールでは、要塞同士の攻防戦や帝国、同盟いずれの陣営にも属さず、両者とのビジネスを通じて独自の地位と存在感を放つフェザーン自治領の暗躍が描かれる。
政治劇として極めてリアルで、現実世界でも実際にこういうことが起こってるんだろうな、と思わせるストーリーラインが見事。
これが一応、最終クールということだが、常勝の天才、ラインハルト・フォン・ローエングラムと、魔術師と呼ばれるヤン・ウェンリーとの直接対決までは描かれず、ここから第5クールが始まるんだろ?というところで終わり。Production I.G.にはこの先の物語までアニメ化してほしい。
評価はA-。
『多数欠』第2クール
Webコミックが原作。「権利」、「特権」(合わせて「特権利」)と呼ばれる超常の力を使って敵を倒し、生き残りを図る「デス・ゲームもの」。
第1クールでは高校生、成田実篤(さねあつ)は仲間たちと協力して、このゲームの主催者“皇帝”を倒すまでが描かれた。第2クールでは主人公が王野頼音(おうの らいおん)に代わり、かつて実篤が指揮したグループと共に、“皇帝”なき世界に新たに現れた“女帝”と対峙する。
第1クールではクライマックスまで“皇帝”側は全く描かれず、あくまで実篤たちの視点から、物語は異常な事態に遭遇した彼らが混乱しながらも「特権利」の存在に辿り着き、仲間を組織して反“皇帝”へと立ち上がる、というものだった。それに対して第2クールは頼音たちのグループと“女帝”たちのグループの動きが平行して描かれ、視聴者は両陣営が互いに相手の手の読み合う様子が分かる。とはいえ、頼音たちのグループの方が優勢のまま物語が進行するので、「一体どっちが勝つんだ?」的なハラハラ感は薄い。バトル系の作品なのに全体的にサラッとしていて、ムダにカロリーが高くない感じが私には心地よかった。それにしても、あの終わり方は私の発想にはなかった。
評価はC+。
『ダンダダン』第1クール
霊媒師の祖母を持つモモとオカルト雑誌「ポー」を愛読するオタク少年(第2話以降はオカルンと呼ばれる)。幽霊は信じるがUFOは信じないモモと、UFOは信じるが幽霊は信じないオカルンは、それぞれ相手をやり込めるためモモはUFOスポット、オカルンは心霊スポットを訪ねると、そこでモモは宇宙人、オカルンは幽霊に遭遇してしまい、そこから周囲を巻き込んだ2人の奇妙でハチャメチャなオカルトライフが始まる。
『ピンポン』、『映像研には手を出すな!』、『平家物語』などを手掛けたサイエンスSARU制作による、超ぶっ飛んだオカルト+ラブコメアニメで、とにかく期待に違わぬ出来である。幽霊も宇宙人も、その行動原理の背後にあるそれぞれの事情をきっちり描くことで、見る者にただのドタバタギャグアニメを超えた感動を与えている。
評価はB+~A-。分割2クールで第2クールは2025年7月からの予定。
『夏目友人帳 漆』
もう映画版やスペシャル版もあって第何期か分からなくなっている『夏目友人帳』だが、どうやら今回が7期らしい。熊本を舞台に、小さい頃から人には見えない妖怪が見える高校生の夏目貴志が、妖怪たちとさまざまな出会いや別れをする様子を描いた作品。タイトルは祖母のレイコが残した「友人帳」(彼女が妖怪たちと戦って得た、妖怪たちの名を記した冊子)に由来し、貴志が妖怪の求めに応じて名を返すところから、この物語は始まった。
1話完結(時には前後編の2回完結)の連作短篇集のような作りになっている『夏目友人帳』が凄いのは、外れのエピソードがない、というところだ。こういう作りの作品は得てしてエピソード毎の当たり外れが大きかったりするものだが、『夏目友人帳』は全てのエピソードに満足感があり、見終わると何とも言えない優しい気持ちになる。7期にしてこれは驚くべきことだ。
評価はA-~A。
『ブルーロック』2期「vs U-20 JAPAN」
「日本サッカーを世界のトップにまで押し上げるには世界トップレベルのストライカーが必要、そして世界トップレベルのストライカーとは最高のエゴイストである」をコンセプトに、その最高のストライカーを選抜するための機関として作られた「ブルーロック(青い監獄)」。そこで3次セレクションまでを勝ち抜いた潔世一(いさぎ よいち)たち35名だったが、日本フットボール連合は金食い虫であることを理由に、ブルーロックの廃止を迫ってきた。それに対して、ブルーロックを統括する絵心(えご)甚八は、ブルーロック選抜チームと日本代表U-20との公式試合を提案。負ければブルーロックは解散、しかし勝てばブルーロックがU-20をジャックする、と。かくして、日本フットボール連合が誇る日本代表U-20とブルーロック選抜チームとの、「負ければ終わり」の真剣勝負が始まる。
1期後半は「絵が動かない」と(一部で)不評を買ったアニメ『ブルーロック』だが、2期のメインとなるU-20との公式戦のシーンは「幾分かマシになった」と。ただ1期から私はなぜか全然気にならない。絵が動いてるかどうかより、物語そのものが魅力的かどうかの方が重要だから。そして『ブルーロック』は、私にとって見るに値する熱いアニメだ。
評価はA-~A。
『物語シリーズ』オフ・シーズン&モンスター・シーズン
西尾維新の〈物語〉シリーズは「終(おわり)物語」、「続・終物語」でやっと終わったと思ったら、あに図らんや。主人公(と語り)が阿良々木暦(あららぎ こよみ)でなくなっただけで、今度は脇を固めていた登場人物たちがメインとなってそのまま続いていて、一部では「終わる終わる詐欺」と呼ばれているけど、そのオフ・シーズン&モンスター・シーズンがついにアニメ化。
今回は「愚(おろか)物語」から、死体から作られた式神、斧乃木余接(おののきよつぎ)が暦の妹だが実はしでの鳥(=不死鳥)の怪異である月日に正体を見破られ、彼女を片付けようとする「つきひアンドゥ」、一時は神様になり(「神様に祭り上げられた」のではなく本当に神様になっていた)、その後、マンガ家に転向した(といっても、まだデビューさえできてない)の千石撫子(なでこ)の「撫(なで)物語」、忍野忍(おしの しのぶ)こと吸血鬼キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレード誕生秘話である「業(わざ)物語」と、その続編であり、大学生となった阿良々木暦が女子高生連続ミイラ化事件の謎を解く「忍(しのぶ)物語」。
ことろで「忍物語」OPで流れる「万死のテーマ」は、もろに横溝正史もののドラマのテーマ曲のパロディで、『美少年探偵団』の時もそうだったが、どうもシャフトには横溝ドラマの熱烈なファンがいるのではないだろうか。
『らんま1/2』1期
最近、『犬夜叉』、『うる星やつら』と高橋留美子作品の再アニメ化が続いていて、この『らんま1/2』。リメイクされた『犬夜叉』は見ておらず、『うる星やつら』も1期は見たが2期は0話切りしてしまった私には、高橋留美子作品に再アニメ化するほどの再評価や需要があるのか疑問。だが世間的には、トランスジェンダー界隈が絶賛してるとか。
『うる星やつら』もそうだが、シチュエーション・コメディである『らんま1/2』も毎話ほぼ同じことの繰り返しで、ストーリーなんてあってなきがごとしだからどうでもいいが、主要キャラ4人を35年越しで旧作と同じ声優が担当しているのが凄くて、私はそれだけで見ていた。
毎話、基本やっていることは同じで、恋のさや当て、恋のから騒ぎがひたすら繰り返される。このマンネリ感が高橋留美子作品の特徴で、長期連載でありながらどこからでも読み始められて違和感がない、という圧倒的な強みを作り出している。だが歳のせいか、私はキャラを変えながら同じ話を延々と繰り返すだけのこの物語を、見てるのが時間のムダだなと思うようになってしまった。
評価は可もなく不可もなしという意味でC。2期の制作が決まったということだが、私は見ない。
そして本編の評価とは別に、私が自分の趣味で選んだ今期のベストOP曲&ED曲。
実はベストOP曲は『物語シリーズ』の中の「忍物語」OPだった「万死のテーマ」なんだが、公式がアップしてないので、ここでは次点の『アオのハコ』OP、Office髭男dismの歌う「Same Blue」を挙げる。
そしてベストEDは『リゼロ』EDで、MYTH&ROIDの歌う「NOX LUX」。
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