普通、治療家やセラピストがこういったことを意識することはほとんどないが、世の中にあるセラピューティック・メソッド(いわゆる治療メソッド)は身体あるいはボディマインド(心身)を空間的に捉えることができても時間的に捉えることはできない。
もう少し分かりやすく述べれば、セラピューティック・メソッドで捉えることができるのは「今この瞬間」のボディマインドのどこに、どんな問題があるか、ということだけである。あらゆるセラピューティック・メソッドは暗黙の前提として、そういう制約を持っている(もちろん、「今この瞬間」ここがこういう状態だから3日前もそうだったんだろう、とか、昨日から痛み出したと言ってるから、こうなったのは昨日からかもしれない、のように過去の状態を想像することはできるが、想像はあくまで想像である)。
けれども我々は皆「今この瞬間」に突然出現したわけではなくて、ある時間の蓄積の中を生きて存在している。そこで求められるのが、ボディマインドを時間的に捉えることができる方法だ。その1つに時遡行(ときそこう)がある。
時遡行は、任意に設定した過去のある時点におけるボディマインドの状態を擬似的に再現させる技法である。時遡行は退行催眠とは違い、相手を催眠状態に誘導する必要がない(何だったら、相手が寝ていても全く問題ない)ので非常に使い勝手がよく、私は臨床でしばしば使っている。
時遡行についてはこのブログで何度も書いてきたが、具体的にどうすれば使えるのかについては曖昧なままにしていた。今回ちょっと思うところあって、それを明らかにすることにした。セミナーでそれについて説明した部分のダイジェスト動画を添付するので、それをご覧頂きたい。
時遡行は上手く使うと非常に幅広い応用が可能だ。私自身の使用例は、過去記事「『なんちゃって固有時制御』の話」、「同2」などで述べている。
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