スクリャービン「焔に向かって」

さざ波の様な動機が転調を繰り返し、循環し元の調に戻る。一方曲全体にトレモロが多用され、初めはアルペジオで穏やかに波打ち、中間から光の噴出に変貌する。そこからは憑りつかれた様に呼応し、最後に巨大な倍音列がそそり立つ。 . . . 本文を読む

ラフマニノフ「練習曲・音の絵 Op.39-6」

これはラフマニノフの半音階幻想曲だ。半音階の渦や焔が焦燥、押し殺した喜び、そして狂熱と化す。過激な和音進行、跳躍、唸り、爆発、スパーク…浮遊し、再現直前捻じれた崩壊！ . . . 本文を読む

サン＝サーンス「アレグロ・アパッショナート」 Op.70 嬰ハ短調

これは「スケルツォ」でしょう。でも絶望や歓喜までは至らず、あくまで爽やかな上流階級の戯れ、祈り。傑作だとは言え、僕には楽譜通りに弾きたくない箇所がいくつもあり、この曲を添削してしまった。 . . . 本文を読む

ラヴェル「古風なメヌエット」「道化師の朝の歌」「悲しい鳥」

ギターを掻き鳴らすような不協和音、中間部の陰鬱な脈動を破って連打音の飛沫の中、眩いコラール…「道化師の朝の歌」。静寂、煌めき、木霊、鳥の声、気配、湿度、霧…「悲しい鳥たち」。 . . . 本文を読む

ショパン「即興曲第3番」「夜想曲 Op.27-1」

感情が花吹雪のように浮遊する「即興曲第3番」／「夜想曲 Op.27-1 cis moll」仄かに射す一条の光。この線は後に力強いDes durへのアウフタクトとなる。Des durは幻のように崩壊し、曲尾は浄化の鐘。 . . . 本文を読む

バッハ「イギリス組曲」から

バロック音楽以前の鍵盤曲には強弱表現が無いと言っても良い。にも拘らず明らかに、圧倒的に盛り上がる場面がある。涼しい顔でぐいぐいと… . . . 本文を読む

シューマン「ウィーンの謝肉祭の道化」

単純明快な主題は謎めいた半音階になり、闇に溶ける（第1曲）。珠玉の第4曲【試聴リンク】。ジグザグ音形で精力的に突き進む中、女神の子守唄が現れ、最後にジーグのような3連符の奔流（終曲）。 . . . 本文を読む

リスト「スペイン狂詩曲」

迅雷風烈の序から低い単旋律主題による13の変奏が始まり、奔放な技巧の頂点で天使の遊戯のようなミュゼットに突入。後半、内省的なレシタティーヴォが転調しつつ波が広がり、終盤、果てしない鉄槌の連打が歓喜と勝利の凱歌へ導く。 . . . 本文を読む

ショパン「ピアノソナタ第2番・第3番 / スケルツォ」

新雪の上をアクロバティックに滑り、やがて不安な夜を迎えるような第3番。地響きと共に開始する英雄的な第2番は、甘く切ない夜となる…。 . . . 本文を読む

シマノフスキ「エチュード Op.4, Op.33」から

万華鏡のように煌めき、自在に変貌する驚くべき和声。パッヘルベルのカノンのような明解なバス。一押し！…Op.4-2。ブラームス風のOp.33-5。【試聴リンク】 . . . 本文を読む