ポルトガルの空の下で

ポルトガルの町や生活を写真とともに綴ります。また、日本恋しさに、子ども恋しさに思い出もエッセイに綴っています。

毎日が日本語英語ポルトガル語:第7話「刺激がないのはいいことだ(2)

2019-05-08 10:11:12 | 毎日が日本語英語ポルトガル語
2019年5月8日


子供達がポルトガルで学校教育を受けていた頃は、「日本の教育は優れている」というのがわたしの頭にありました。しかし、その後、様々の教育問題のニュースを目にして行くにつけ、その見解は変えざるを得なくなります。

ポルトガルでは、学校は学科を学習する場であり、もちろん悪い態度などはその場で注意されるでしょうが、原則的に一般的なしつけは家庭のすることである、という前提があるように思います。子供達が授業を終えて校舎を出た途端、学校はなんの責任も負いません。

ですから、小学生(1年生から4年生と言う)の場合は親、或いは祖父母が徒歩、車で送り迎えするのが当たり前で、小学生がたった一人で歩いて登下校するのを目にすることはほとんどありません。

学校内に於いて、もっと配慮があると思われた日本の教育を受けてきたわたしが、子供達をBritishSchoolに入れた理由には、家庭では勿論しつけをするけれども、自分の目の行き届かないところで他人から受ける教育は少年期には大切だと思われたことにあります。英国の私立校は昔から厳しいdisciplineで知られています。「鉄は熱いうちに打て」ですw

わたしたちが日本の中学高校で学ぶ英単語には、日常生活用語や英国やアメリカの子供たちなら誰でも知っている単語が余り含まれていないことに気づき、英語を学ぶのが嫌いでなかったわたしは、子供達のノートやカードを作ることが大いに勉強になりました。

単に単語を覚えるだけでは、コミュニケーションはできません。わたしが毎日したもうひとつのことは、ベッドタイムの本の読み聞かせです。ポルトでも英語の本、特に子供向けの本はほとんど手に入りませんでした。しかし、ここがわたしの運のいいところだったのでしょう。ごらんください、この写真。



これらの本は息子が4歳の時に帰国していた頃、大阪梅田にある大きな書店「旭屋」の店頭で投げ売りになっていたのを、偶然にも見かけたものです。

洋書がたったの100円でした!迷うことなく30冊近くの全てを買い込みましたw 買った時には知らなくて、数年後に気づかされるたですが、買い手もなく店頭に転がっていたこれらの本は、実は児童向けの有名な本だったのです。

本の中でも子供達が喜んだのは、「Dr.Seuss」のシリーズ」でした。
「I am Sam」で始まる「Green Eggs and Ham」「Fox, Socks ,Box、Knox」で始まる「Fox in Socks」
言葉の語呂合わせがよくて、何度も同じ言葉が繰り返し出てきて、しかも絵が面白い。これを毎晩ベッドタイムストーリーとして何度も何度も読んだのでした。

海外で生まれた子供には、日本語の昔話はどうもうまく運びません。
  
むかしむかし、あるところに、おじいさんとおばあさんがいました。
おじいさんは山へ芝刈りに、おばあさんは川へ洗濯にいきました。
すると、川上からおおきな桃がどんぶりこどんぶりこと流れて来ました。

と、すかさず子供から、
「芝刈りってなぁに?どんぶりこってなぁに?鬼ってなぁに?」

鬼ってわたしの好きな泣いた赤鬼だってあるんだから、デビルじゃないしなぁ。どんぶりこって擬態語だよね・・およそ日本語ほど擬態語が多い言語はないんじゃないのん・・・えぇ~っとね・・・

おいおい、これじゃ、話が途切れてしまって続かないよ。と。こんな具合になってしまうのでした。

日本にいたら子供もわたしもあんな事ができる、こんな事ができる、と時々思いながらも、欲を言っても仕方がありません。毎日、上に述べたようなことを繰り返していたのですが、子育てが一段落ついたところで、ふと気づいたことがあります。

あんなこともこんなこともできなかった。テレビも面白くなかったし、今のようにショッピングセンターもなかったし、面白そうなカフェやレストランもなかった。子どもたちにしてみたら、テレビゲームもコンビニも、カッチョ良い文具品もなかった。

自己啓発、自己活性化のためにと、世間一般に言われる「刺激のある」生活はほぼできなかった。しかし、なんと落ち着いた規則的な毎日であったろう。

子供たちの精神が安定しており、ゆっくり時間をかけて学ぶことができたのは、きっとこの「刺激のない生活」ゆえだったのではなかったかと。

次回は、わが子の日本語学習取り組みに入って参ります^^


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