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徒然なるままに/ 脱原発「アンコウ」

徒然なるままに
原発・訴訟・原告

3.11から9年悲劇を乗り越えるには

2020-03-14 11:27:18 | 徒然なるままに
悲劇を乗り越えるには
3月10日の中日新聞社説は、3.11から9年を迎え、悲劇を乗り越えるためには」と題して論じた内容に感銘をうけたので紹介します。
今年2月現在、避難している人は約4万8千人。震災の影響はまだまだ続いています。被災地では「震災を忘れないで」という声をよく聞きます。
希望はあるんですか
東京電力福島第一原発事故を題材にした映画「フクシマフィフティ」が六日から上映されています。刻々と悪化する事態のなかで頑張る吉田昌郎所長や東京電力の社員の様子を描
明日は今日より悪くなる。そんな不安を抱いた日々を思い出します。映画で初めて、あの日、原発で何が起きていたかを実感する人が多いそうです。
印象的なシーンがありました。
主役の一人、伊崎俊夫当直長の回想シーンです。原発建設現場で父親が「ここでつくった電気が東京へ行くんだ。すごいだろう」と語って聞かせます。東京の役に立つことが誇りでした。
映画はほとんどが原発敷地内で進行します。指示を出す政府にも東電本店に、事故後の福島県民を気遣う様子はありません。地元紙の記者が「原発には希望があるんですか」と質問し辺に住んでいた人たちはどうしていたのでしょうか。
「無念」というアニメ映画を紹介しましょう。副題は浪江町消防団物語。浪江町は原発の北隣の町です。実話に基づいたアニメで、馬場有(たもつ)町長や町民らが声で出演しました。映画は、祈るような姿から始まります。それを見た子供がなにをしているのと「母親に尋ねます。「助けられなかった命にお詫びしているの」と母親がいうと「四年間も毎日」と子供が驚いた声で言いました。
震災の日、被害者の救助は日没で困難になりました。何かをたたく音を聞いた消防団員もいました。翌朝、捜索が開始されるはずでした。
しかし、原発の様子がおかしくなりました。夜明け前、馬場町長が「車の中から非難を呼びかけてください」と消防団に頼みます。反発する団員に「(原発が)あぶないかどうかわかりません。全く向こうの情報はありません。テレビの情報から判断しました」と告げます。その後、涙を流す町長が描かれています。
原発は東京へ電気を送るためのものでした。事故が起きると地元住民は置いてきぼりだったと、二つの映画は教えてくれます。
軍事と造作をやめろ
今回の震災は千年に一度、とよく言われます。福島県の沿岸部、浜通りにとっては都に尽くしたのに見捨てられるのは、千二百年前の平安時代にもあったのです。(これには驚きです)朝廷は蝦夷征伐を繰り返し、東北地方で勢力圏を広げました。それを支えたのが浜通りの製鉄で、当時、国内最大でした。福島県内の製鉄関連遺跡は五百を数え、浜通りには
製鉄所遺跡が二百八十もありました。
蝦夷との戦いは突然、終わります。桓武天皇が二人の参議に「徳政相論」と呼ばれる議論
を行わせ、藤原緒嗣(おつぐ)の「天下が苦しんでいるのは、軍事と造作である。この二大事業をやめさせれば、人民は息をつなげるであろう」という意見を採用したのです。軍事は蝦夷との戦いで、造作は平安京の造作です。
蝦夷との戦いは後に三八年戦争と呼ばれるほどの長期戦でした。また、これを機に遷都をやめたことで、京都は千年の都になりました。
一方、戦争を支えた浜通りは歴史から消えます。必要がなくなれば忘れられる。まるで使い捨てです。その後、貞観地震で(869年)で浜通りにも津波が襲ったのですが、記録はありません。もしあれば、今回の地震被害は違ったのではと思わずにはいられません。遺跡調査から、製鉄業は衰退したものの、継続していたことがわかりました。三十八年戦争後は独自の改良をし、農具費を生産したようです。地元のために技術が使われたのです。
再生可能エネルギー
原発事故後、福島県では原発に代わって再生可能エネルギーが盛んになりました。地産地消を狙っています。武器から農具へ変えた古代、原発に変えて再生エネという現代。ちょっと似ていませんか。被災地の多くは復興の途上です。廃炉に時間がかかり、除染土を運ぶダンプカーが目立ちます。藤原緒嗣のいう「天下が苦しんでいる」状態です。被災者、被災地のことを忘れてはいけません。
軍事と造作は、今なら膨らみ続ける防衛費や、東京五輪、大阪万博、2030年開催を目指す札幌冬季五輪と続く大型イベントでしょうか。被災地だけの問題ではありません。千年の国づくりを考え、何が必要で、何が不要不急かを選択したいもんです。

新コロナウイルス対策特別措置法に疑問

2020-03-05 14:23:43 | 徒然なるままに
非常事態宣言を出せる道をしつこっく追及しているのだという。
新コロナ対策を巡り、本来の対策とは別の道:憲法改正にいう非常事態宣言にいう道:に繋げようというのです?!今回のコロナ対策特別措置法は、2年の時限立法というけれど、その後延長・延長で引っ張って前での憲法改正に繋げようという意図があるのではというのです。
そうであるとするなら、今回成立させてはいけない!!??
次のブログは、そのことを危険視している。
https://blog.goo.ne.jp/itagaki-eiken

政権は自らの嘘に囚われすべてを偽造しなければならない

2020-03-05 10:45:05 | 徒然なるままに
3月2日の中日新聞社説の週の始めに考えることとして、政権の嘘について論じている。私見を加え紹介する。

「政権は自らの嘘に囚われているために、すべてを偽造しなければならない」
3月2日中日新聞社説は、以下の趣旨を「週の初めに考える」で論じている。
それでも権力は「無罪」なのか・・・「ときの政権の都合で法解釈を自由に変更しては、『法の支配』が根底から揺るがされる」・・・「今回の検察人事を巡る閣議決定は人事院規則、国家公務員法に違反している疑いが濃い」――学者の指摘を政権は重く受け止めるべきです。――「できないこと」を一内閣の一存で「できる」に転換はできません。それを許せば「権力は無罪」どころか「有罪」になります。
多数派は万能ではない
確かに民主主義は最終的には多数派の意見がものごとを決める仕組みです。その一方で、立憲主義とは多数派でも覆せない原理を憲法に書き込み権力を縛っています。例えば、基本的人権や国民主権を奪おうとしても、奪うことができないように・・・
つまり民主的な手続きで選ばれた権力であっても、なんでもできるわけではありません。万能ではありえません。かつ法はなにができてなにができないか、自明でなければ意味をなしません。
嘘のなかに生きる羽目に
「嘘のなかに生きる羽目になる」とは、今の日本の政治状況ではないでしょうか。
戦前の帝国憲法下の政治手法を、平気で持ち込もうと試み、戦後の平和憲法を平気で守るろうとしない。セミ独裁政治:暴走政治:決めることが大事と次々と前のめりになっている。

社説の冒頭ハベル(チェコの大統領だった)の言葉を紹介しながら次のように書いています。
「はっとします!!」
「権力は自らの嘘に囚われており、そのため、すべてを偽造しなければならない」
チェコ文学者阿部賢一東大准教授の「力なき者たちの力」で文章はこう続きます。
<過去を偽造し、未来を偽造する。統計資料を偽造する。(中略)人権を尊重していると偽る。誰も迫害していないと偽る。何も恐れていないと偽る。何も偽っていないと偽る。(中略)それゆえ、嘘の中で生きる羽目になる>
「ビロード革命」と呼ばれるチェコの社会主義体制から民主化への転換点で、一党独裁体制を続けていた当時の権力の姿です。経済は停滞し、言論抑圧の中で国民には無気力、無関心が蔓延したそうです。
「権力は先天的に無罪である」という言葉もハベルにあります。「政治と良心」(1948年執筆)に出ています。権力はなにをしても罪に問われない。――旧東欧の悲劇的な状態を指すと同時に権力の一般論でもあるのでしょう。不条理劇の劇作家でもあったハベルは鋭く権力の核心を言い当てていました。
東京高検検事長の定年延長問題
検察官の定年は検察庁法が適用されるのに、国家公務員法の勤務延長の規定を用いるのは無理筋です。
人事院が八一年に「検察官には国家公務員法の定年規定は適用されない」と答弁していたことが判明すると首相は唐突に「解釈を変更することにした」と。人事院は「八一年解釈は続いている」と答弁していたため、「言い間違え」と苦し紛れの状態になりました。
法相も解釈変更の証明に追われます。日付のない文書を国会に提出したり、挙句の果てには「口頭決済だった」とは。国民には政権が嘘を重ねているように映っています。
それでも「解釈変更だ」路線で突っ切るつもりでしょう。首相が「権力は先天的に無罪である」ように振舞っているためです。
ハベルの言葉はベルリンの壁崩壊前です。全体主義的な体制下では権力がすべてを抑えて、自らの不届きをただす存在を許しません。嘘をつこうが罪に問われません。権力は永久にその不正をとがめられることはないのです。
しかし、三権分立が確立した社会では、行政府の長といえど司法のチェックは受けます。検事長人事の問題は司法分野に関係します。検察は公訴を提起できる準司法機関だらです。権力が都合のいい人事でいずれ検事総長にしたら・・・。政治から独立した検察組織が崩れ、巨悪は立件されないでしょう。闇から闇です。
新憲法と同じ四七年に施行された検察庁法に厳格に定年を定めたのは理由があります。「検事の権限が強大になり過ぎないか」と懸念し、検察官の身分保障を弱める意図がありました。当時の臨時法制調査会の記録にあります。