スターアニスの 『大和路 里の光彩』

アーカイブ中心の風景写真、趣味の書・刻字など・・いろいろと楽しんでおります。

保田與重郎翁の歌

2023-10-08 05:00:00 | 筆文字に親しむ

▲春ははや月なき空も花やぎて窓べにかをるくれなゐの梅


▲ひとはいさこころといふも昔にて都は野べの灯(あかり)つきたり


▲うつそみは火(ほ)の火となりぬ呟火(呟は火へん。かぎろひ)の火の火と燃えて魂氷るなり


▲みわ山の中つ尾の上の夜目遠目しろきはけだし桜花かな


▲押坂(おしさか)の古川岸のねこやなぎぬれてやさしき春の雪かな


▲わが庵の跡見(とみ)の茂岡(しげおか)雲こめてしぐるる見ればふかき山かも


▲保田與重郎歌集 『木丹木母集』より


保田與重郎氏の思想信条に憧れる一人として、氏の歌集から何作かを選んで書いてみた。

文章は難解で晦渋(かいじゅう)。神秘的な文体。該博(がいばく)な古典の知識と独特の史観。そこから導きだされる
純日本的な思想と美観。

難しいが・・・好きなのです。


※ 保田 與重郎(やすだ よじゅうろう、1910年(明治43年)4月15日 - 1981年(昭和56年)10月4日)は、日本の文芸評論家。
  明治維新以降の神道の国教化(国家神道)に疑問を呈し、上古の神道とは異なるのではと評した。
  キリスト教のような布教する宗教ではなく、あくまで自然に根ざした人間の本源的な宗教であり、信仰の強制=皇民化に反対していた。
  大東亜共栄圏の侵略の方便に神道が使われることに、祭政一致の観点から嫌悪を示していた。
  作品は、「大和桜井の風土の中で身につけた豊かな日本古典の教養と迅速な連想による日本美論である」と言われる。
     フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』より


文房四宝 (硯)

2023-10-07 05:01:00 | 筆文字に親しむ

▲日頃使っている硯。


▲左側真ん中は、34cm×22cmの大きさ。この中に、端渓、歙州、澄泥、和硯の著名なものがあるのかな??
 この他に、10点ほどあるが・・・・。


▲これは義弟から譲り受けたもの。「緑端渓蘭亭硯」か・・?? しっかり硯名を聞いておくべきだった。


▲25cm×19cm×9cm、7㎏ある。何しろ、重い!!!


▲裏には、蘭亭序の銘文が彫られている。


これらの大半は、義弟から譲り受けたもの。
他にもほぼ同じような形の硯が10点ほどあるのですが・・・その中に、端渓、歙州、澄泥はあるのかな?? 。

唐硯(中国硯)
端渓硯(たんけいけん)
中国硯(唐硯)にも、「端渓三大名杭」とされる老杭、抗子巌、麻子抗から採れるものを『端渓硯(たんけいけん)』とされ、それ以外から産出したものを『端石硯』というそうです。
この端渓硯の特徴は、石紋(眼、青花、金線など)、色(羊羹色・灰蒼色・黒紫等)にあります。
端渓硯の石紋を見るには、面に水をはることで良く見えますが、何処で産出されたものか鑑定するのはかなり難しいとされています。また、墨を磨る表面のザラザラした鋒鋩(ほうぼう)が、むらなく緻密に並んでいるため発墨に優れています。石質が滑らかで、柔らかい為、鑑賞用にも性能上も、とても優れています。

歙州硯(きゅうじゅうけん)
この硯の特徴は、石色は鼠色(灰色)でうっすら艶があります。また石の密度が高く、比重も重い為叩くと金属的な高い音が出ます。端渓硯は優しく女王と呼ばれるのに対して、歙州硯は男性的で王様の風格が有ると評されています。

洮河緑石硯(とうがりょくせきけん)
端渓・歙州と共に三絶とされています。性能としては端渓硯より良いとも言われ、市場に流通している物は極わずかであるため、「幻の硯」と言われています。市場で見るのは稀で「洮河緑石硯」ではなく「緑端渓蘭亭硯」とか。この硯の特徴は色で、緑石は淡青色・深緑色(緑系)で多くは蘭亭の図が刻まれているとか。

澄泥硯(ちょうでいけん)
この硯は「濾した泥を固めて焼成した」物つまり、焼き物と伝えられてきたものと自然石から作られたというものも存在していて、人工物と自然物の両方が存在しているという珍しい硯です。自然石の特徴は、緑・黄・紅・白・紫・青・朱の7色程の色があります。「焼き物」の硯でも焼く温度で色が変わり自然石と同じように鋒鋩(ほうぼう)は優れているそうです。端渓硯、歙州硯、洮河緑石硯、澄泥硯これらは「4大銘硯」と呼ばれています。

【和硯(国産硯)】
雨畑硯
(あめはた・あまはたすずり)※雨畑真石硯とも
山梨県南巨摩郡早川町雨畑付近で採掘された「雨畑石」から作られている硯です。石紋としては水流・雨滴紋があります。和硯の中では、鋒鋩が良く、美しい色調の光沢(青み・紫色・黒色をおびた三種類)を持っている事から、「和の端渓」とも称されているようです。

赤間硯(あかますずり)
山口県宇部市の北部から採掘された「赤間石」で作られている硯です。色は赤紫又は赤茶色で端渓硯に似ていて、その判別は難しいとされています。赤間石は彫刻がしやすいため彫刻硯や蓋付き硯等、美術品もあります。雨畑硯と並んで高く評価されてきましたが、職人自身の採石、継承者不足で、流通量は少なくなっています。

雄勝硯(おがつすずり)
宮城県石巻市雄勝町付近で採掘された「雄勝石」から作られている硯です。黒色又は青黒色が特徴。この雄勝硯は最も生産量が多く、和硯の約90%を占めているとか。石質はやや軟質なものから硬質なものが有ります。

那智黒硯(なちぐろすずり)
三重県熊野市神川町で産出された「那智黒石」から作られている硯です。深い黒色(漆黒)が特徴で、碁石にも使われるほどの独特な色合いと光沢を持ち合わせています。また、石によっては含有される物質から、端渓のような石紋様(金線、石眼等)も稀に現れる様です。

この他にも国産硯には、宮崎県の紅渓硯、長野県の竜渓硯など沢山あります。硯といえば唐硯(中国硯)の「端渓硯」という方が多いかと思いますが、日本の墨には日本の硯が合うとも言われおり、要は組み合わせが重要と言われています。


「惜如金」の墨

2023-10-06 15:16:26 | 筆文字に親しむ
先日紹介の「墨」のところで、漏れていた一品がありました。

今回紹介する品は、奈良市の美術工芸店で見つけたもので、自宅の保存棚の奥にしまい込んでありました。

何しろ、37cm×13cm×3cmの大きさで・・・ひびが入っていたため、店主が「安くしてあげるから・・・」との言葉に
ついつい買ってしまったものです。

値打ちが分からず・・・ヤフオクで調べると新品・未使用(34×11×2.4cm)で、10万円で出品されていたが・・・
果たして・・・???


▲表面  「惜如金」とは・・・「惜しむこと金のごとし」とある。


▲裏面


▲大清同治年   同治年代とは、清の穆宗の治世中に使われた元号で、1862年(文久2年) - 1874年(明治7年)までのこと。
約150年前の墨ということになるが・・・。


▲養性殿珍蔵  清時代の古墨で「養性殿珍蔵」、「龍徳」、「玉府永蔵」と彫ってあるものには高い値段が・・・。




祝賀の詞 <河野天籟>

2023-10-06 05:00:00 | 筆文字に親しむ
祝賀の詞<河野天籟>

四海波平らかにして 瑞煙漲り
五風十雨 桑田を潤す
福は東海の如く 杳かに限り無く
壽は南山に似て 長えに騫けず
鶴は宿る老松 千載の色
龜は濳む江漢 萬尋の淵
芙蓉の雪 大瀛の水
神州に磅礴して 九天に輝く



四海波平らかにして 瑞煙漲り 五風十雨 桑田を潤す


福は東海の如く 杳かに限り無く 壽は南山に似て 長えに騫けず


鶴は宿る老松 千載の色 龜は濳む江漢 萬尋の淵


芙蓉の雪 大瀛の水 神州に磅礴して 九天に輝く


これらの書は、イマイチでした。
再度、挑戦しようと思います。
今度は、半切ではなく・・・全紙に・・・。