「イタビ」とは「イヌビワ」のことで、イヌビワの仲間で茎がつる状になるので蔓(かずら)の名が付いたそうだ。
クワ科イチジク属で、ビワの名は付いているがビワとはまったく別の種類なのです。
常緑のツル植物でゴムノキの仲間のひとつで、5mほどの大きさ止まりで、あまり巨木にはなりません。
ところが、今回紹介する「イタビカズラ」は、5m以上の巨木なのです。

樹高5m以上、太さ50cm以上の巨木は珍しいのです。
ここは、桜井市戒重・春日神社です。敏達天皇の訳語田幸玉宮址と伝えられている神社の境内です。

春日神社です。
イチイガシの古木に寄り添うように、太さ50cmはあろうか。3mほどのところで枝が分かれ葉を茂らせている。樹高は5m以上と思われるが、イチイガシの葉っぱと重なって確認できない。
雌雄別株で、枝から気根を出して、崖や岩場、樹木などに絡みついて育っています。樹皮は黒褐色です。

「イタビカズラ」は、イチイガシの古木に寄り添うように伸びています。
蔓が垂れ下がっていたので、葉っぱの一枚を失敬して破ってみた。切り口からは乳液が出てきた。クワ科の仲間の証明だ。

葉っぱを破ると・・・乳液が・・・やはりクワ科イチジク属なのだ。
ツル状のため樹木をよじ登る形態が多く、地表を這うことは少ない。崖などの露岩上に生育していることが多いとか。この木の周りにも、イタビカズラと思われる若い苗が茎を伸ばし始めていた。

ツル状の茎が垂れ下がってきていた。
葉の裏も特徴があるようですね