スピードに自信がなくても、一度は上級を味わってみたいという人も多いでしょうし、自信があって参加したけど現実は厳しく集団に離されてしまうということもあるでしょう。参加してみないと上級のコースレイアウトとスピードを味わうことはできません。
筆者自身の体験をふまえた初参加の心得です。
まず、上級のスピードがわからないときは集団の最後尾についていくのが無難です。それはまず車庫からの車両出しの時から列の先頭に出ないように気をつけましょう。イントラさんの「後で順番を入れ替えますから大丈夫ですよ」などの甘言には釣られずに、少し離れた場所で待って車列が固まってから加わります。それでも囲まれてしまったら、それ以上無理せず、コースに移動して、荷物などの手仕舞いをした後のスタート時点で、周りの人に合図して先に行ってもらうのが無難です。
完熟走行の時に例えばオフセットパイロンスラロームで離されたら、1往復パスして追い付きます。ただし、これは後続がいない時にのみ許されることです。直線スラロームをしている時に離されたら構わず直線で追いかけて追い付きます。この場合は後続があっても構いません。スラロームを浅くして追い付いて行くということも考えられます。他にも初参加の人がいたら、あまり考えずにともかく走り始め、どちらが速いかわかったところで迷わず順番を入れ替えます。
さて、前ふりはこの辺まで。
遅い人が入った場合の全体の状況を考えると、どうすればよいかがわかります。
上の図は、コースにどれだけ人が入れるかという全体の状況を表しています。普段そういう見方をする人は少ないでしょうが、こんなことが起こっています。
参加者全体がコースをどれだけ効率的に走れるかという観点からは、コース上に何人のライダーが同時に走れるかがポイントになります。図では、前稿で紹介したタイムスケールで上級の常連さん20人が4秒間隔でスタートし、最初にスタートした人がフィニッシュしようとしている瞬間の参加者全員のポジションをあらわしています。このコースが50秒で走るコースであれば最初のライダーがフィニッシュラインに到達するまでに12人の参加者がスタートできます。この時、スタート地点で待っている人は8人ということになります。最初のライダー①は次にスタートするまでに、8人のスタートを待ちます。⑳の人がスタートしても、そこから4秒後にスタートするとスピード差が7秒ありますのでフィニッシュまでに追い付いてしまいます。そのため①の人は、スピード差7秒と基本的なマージン4秒を加えた11秒待ってからスタートします。(これはその他のロスタイムを一切無視した想定です)
上級の場合は、周回ごとのコンディションによるバラツキや、多少のスピードの見積差を考えても4秒の間隔があれば、追いつくことも追いつかれることもありません。それで追いつくほどのスピードの差がある時は、すぐに順番を入れ替えてしまいます。調子が乗ってくれば、3秒間隔で走っても問題はありません。上級は皆が接近して走っているように見えますが、スピードがコントロールされているので安全なのです。
図に書いてあるように、このケースでは30分間の走行で21周の周回が可能になります。ここで、もしも20番目のライダーがプラス10秒の遅れで走っている時にはどうなるでしょうか?
計算すると、19周、周回できることがわかります。この⑳は、先頭①のライダーに対して17秒遅れ、すなわち134%のスピードとなっているのですが、周回数で評価すると10%抑制するに留まります。これは①の人が周回を終えて戻ってきても、まだスタートしていない人が待っているので、その人たちのスタートを待つ分、バッファができるからです。
この状況で考えると、仮に10秒遅い人が参加していたとしても、「3割遅い」と考えるよりは、全体の運営効率に与える影響は小さいと言えます。ですから、遅いことを余り気にかける必要はないわけです。21周が19周に減るということをもって、「他の参加者に対して迷惑をかける」という意見もあるでしょうが、私の個人的な見解では「誰でも初めてはある」という観点からはOK、つまり許容範囲だと思います。
しかし、条件によって、もっと違ったことが起こってきます。上の例で、何周回っても、①の人のスタート待ち時間が一定であるという前提は、⑳の人が戻ってきたときに、待ち行列ができているということです。⑳の人は⑲の人のスタートを待って、その4秒後にスタートするので、⑳と⑲の間隔が広がっていくことはありません。
ところが、コースの距離が長く周回で100秒以上かかるようなコースを想定すると事情は変わってきます。
図の上段、市街地+新コースのコースレイアウトですと、全長800mくらいで、おそらく周回は90秒程度ではないかと思われます。ここでは議論を簡単にするために120秒と仮定します。
120秒のコースに20人の参加者が4秒間隔で発進したとすると、最後のライダーのスタートは76秒後になります。最初のライダーが帰ってきたときにはスタート地点で待っている人はいません。基本的にすぐに再スタートできるわけです。極めて効率よく周回をこなしていくことになります。
このケースで、最後尾に20秒遅いライダーがついたとします。そうすると何周か回っているうちに、図のような状況が発生します。最後尾⑳のライダーは前走⑲のライダーに対して周回ごとに10秒ずつ離されているとすると、数周回るうちに⑲と⑳の間は数十秒離れることになります。
一方で、⑳の後に来る最初のライダー①は⑳に接近するので、周回中に追い付くことを避けるためにスタートを遅らせます。結果として図のような状況が起こり、⑳は⑲に対して数十秒遅れ、①は⑳に対して20秒+4秒以上待ってからスタートするようになります。
結果として図に示されたように⑳は前後にそれぞれ20秒から30秒の間隔を取ることになり、合計約50秒の「空間を占有」することになります。このために当初は無かった待ち行列が発生します。(①が⑳に追いつくとスタートのタイミングが制約されるので、⑲と⑳の差は、それ以上広がらなくなります。)
全体最適の観点からは、⑳と①の間のスペースは「やむをえないスペース」だと考えられますが、⑲と⑳の間のスペースは「もったいないスペース」になります。工夫次第でつぶせるスペースだからです。
私が上級に挑戦した最初の頃、平日の開催で参加者は10名以内。私は当然最後尾でしたが、5,6周すると、スタート地点には誰もいなくなり、前の人は遥か離れた前方を走っています。すぐに再スタートするのですが、追い付けるわけもなく、さらに差が広がります。そうしている内に先頭の人が後に追い付いて来ます。自分がスタートするときには先頭の人がもう到着して、自分がずっと先まで走ってからスタートするのが横目で見えるのです。ちょうど、図の⑳の状態です。
その時にわかったのですが、答えは簡単、次の周回をパスすればよいのです。そして前走車が戻ってきたところでそのすぐ後につき直せばよいのです。
そうするとまた数周は前には追いつかず、後からは追いつかれずの状態で走ることができます。
数周に一回、周回をパスすることで、次のようなメリットが得られます。
①速く走らなければというプレッシャーから解放される。プレッシャーのために走りがぐしゃぐしゃになっていることが実際多いものです。
②全体の様子を把握し、さらに他の人の走りを観察することができます。
③疲れを軽減できます。上級に参加した当初は肉体的にも精神的にも物凄く疲れ、ぼろぼろになってしまいます。慣れている人と同じように走ろうとすること自体に無理があるのです。
このような一人旅状況は、以下のような条件の時に起こりやすくなります。
イ)参加人数が少ない。
ロ)他の参加者のスピードの差が小さい。
ハ)コースの距離が長い。
最後尾の人、本人は、なかなか状況がつかみにくいのですが、
)スタート地点に戻ったときには前の人が既にスタートしている。
)前の人に離され、前が大きく空いている。
)後の人、つまり先頭の人が追い付いてきていて、スタートを待っている。
ということがわかったら、一回パスすると良いでしょう。はわかりにくいのですが、とはすぐにわかります。前が大きく空いていたら、ちょっと後を振り向いてみるという余裕があると良いですね。
要点をまとめる次のようになります。
a)スタート時点で前の人がスタート待ちをしているときにはどんどん走る。走っているときに離されるのは気にせず、ていねいで精確な運転を!
b)スタート時点に戻ると既に前の人がスタートしているときには、前が大きく空いていないか、後ろが迫っていないか時々確認し、適宜、脇に寄って周回をパスする。そしてじっくり他の人の走りを観察する。
初めからそういう作戦を立てておけば、多少スピードが遅くても、全体への影響を最小限にしながら上級クラスを走ることができますし、気持ちの余裕があれば上達も速いと思います。私の場合は、上級に参加し始めてから半年位はこれを意識して走っていました。そのうちにスピードがついてきて、気にならなくなります。
尊大とも受け取れる内容で気が引けたのですが、不安を抱えながらも上級に挑戦してみたいという人のために参考になればと思い、あえて記事にしました。
筆者自身の体験をふまえた初参加の心得です。
まず、上級のスピードがわからないときは集団の最後尾についていくのが無難です。それはまず車庫からの車両出しの時から列の先頭に出ないように気をつけましょう。イントラさんの「後で順番を入れ替えますから大丈夫ですよ」などの甘言には釣られずに、少し離れた場所で待って車列が固まってから加わります。それでも囲まれてしまったら、それ以上無理せず、コースに移動して、荷物などの手仕舞いをした後のスタート時点で、周りの人に合図して先に行ってもらうのが無難です。
完熟走行の時に例えばオフセットパイロンスラロームで離されたら、1往復パスして追い付きます。ただし、これは後続がいない時にのみ許されることです。直線スラロームをしている時に離されたら構わず直線で追いかけて追い付きます。この場合は後続があっても構いません。スラロームを浅くして追い付いて行くということも考えられます。他にも初参加の人がいたら、あまり考えずにともかく走り始め、どちらが速いかわかったところで迷わず順番を入れ替えます。
さて、前ふりはこの辺まで。
遅い人が入った場合の全体の状況を考えると、どうすればよいかがわかります。
上の図は、コースにどれだけ人が入れるかという全体の状況を表しています。普段そういう見方をする人は少ないでしょうが、こんなことが起こっています。
参加者全体がコースをどれだけ効率的に走れるかという観点からは、コース上に何人のライダーが同時に走れるかがポイントになります。図では、前稿で紹介したタイムスケールで上級の常連さん20人が4秒間隔でスタートし、最初にスタートした人がフィニッシュしようとしている瞬間の参加者全員のポジションをあらわしています。このコースが50秒で走るコースであれば最初のライダーがフィニッシュラインに到達するまでに12人の参加者がスタートできます。この時、スタート地点で待っている人は8人ということになります。最初のライダー①は次にスタートするまでに、8人のスタートを待ちます。⑳の人がスタートしても、そこから4秒後にスタートするとスピード差が7秒ありますのでフィニッシュまでに追い付いてしまいます。そのため①の人は、スピード差7秒と基本的なマージン4秒を加えた11秒待ってからスタートします。(これはその他のロスタイムを一切無視した想定です)
上級の場合は、周回ごとのコンディションによるバラツキや、多少のスピードの見積差を考えても4秒の間隔があれば、追いつくことも追いつかれることもありません。それで追いつくほどのスピードの差がある時は、すぐに順番を入れ替えてしまいます。調子が乗ってくれば、3秒間隔で走っても問題はありません。上級は皆が接近して走っているように見えますが、スピードがコントロールされているので安全なのです。
図に書いてあるように、このケースでは30分間の走行で21周の周回が可能になります。ここで、もしも20番目のライダーがプラス10秒の遅れで走っている時にはどうなるでしょうか?
計算すると、19周、周回できることがわかります。この⑳は、先頭①のライダーに対して17秒遅れ、すなわち134%のスピードとなっているのですが、周回数で評価すると10%抑制するに留まります。これは①の人が周回を終えて戻ってきても、まだスタートしていない人が待っているので、その人たちのスタートを待つ分、バッファができるからです。
この状況で考えると、仮に10秒遅い人が参加していたとしても、「3割遅い」と考えるよりは、全体の運営効率に与える影響は小さいと言えます。ですから、遅いことを余り気にかける必要はないわけです。21周が19周に減るということをもって、「他の参加者に対して迷惑をかける」という意見もあるでしょうが、私の個人的な見解では「誰でも初めてはある」という観点からはOK、つまり許容範囲だと思います。
しかし、条件によって、もっと違ったことが起こってきます。上の例で、何周回っても、①の人のスタート待ち時間が一定であるという前提は、⑳の人が戻ってきたときに、待ち行列ができているということです。⑳の人は⑲の人のスタートを待って、その4秒後にスタートするので、⑳と⑲の間隔が広がっていくことはありません。
ところが、コースの距離が長く周回で100秒以上かかるようなコースを想定すると事情は変わってきます。
図の上段、市街地+新コースのコースレイアウトですと、全長800mくらいで、おそらく周回は90秒程度ではないかと思われます。ここでは議論を簡単にするために120秒と仮定します。
120秒のコースに20人の参加者が4秒間隔で発進したとすると、最後のライダーのスタートは76秒後になります。最初のライダーが帰ってきたときにはスタート地点で待っている人はいません。基本的にすぐに再スタートできるわけです。極めて効率よく周回をこなしていくことになります。
このケースで、最後尾に20秒遅いライダーがついたとします。そうすると何周か回っているうちに、図のような状況が発生します。最後尾⑳のライダーは前走⑲のライダーに対して周回ごとに10秒ずつ離されているとすると、数周回るうちに⑲と⑳の間は数十秒離れることになります。
一方で、⑳の後に来る最初のライダー①は⑳に接近するので、周回中に追い付くことを避けるためにスタートを遅らせます。結果として図のような状況が起こり、⑳は⑲に対して数十秒遅れ、①は⑳に対して20秒+4秒以上待ってからスタートするようになります。
結果として図に示されたように⑳は前後にそれぞれ20秒から30秒の間隔を取ることになり、合計約50秒の「空間を占有」することになります。このために当初は無かった待ち行列が発生します。(①が⑳に追いつくとスタートのタイミングが制約されるので、⑲と⑳の差は、それ以上広がらなくなります。)
全体最適の観点からは、⑳と①の間のスペースは「やむをえないスペース」だと考えられますが、⑲と⑳の間のスペースは「もったいないスペース」になります。工夫次第でつぶせるスペースだからです。
私が上級に挑戦した最初の頃、平日の開催で参加者は10名以内。私は当然最後尾でしたが、5,6周すると、スタート地点には誰もいなくなり、前の人は遥か離れた前方を走っています。すぐに再スタートするのですが、追い付けるわけもなく、さらに差が広がります。そうしている内に先頭の人が後に追い付いて来ます。自分がスタートするときには先頭の人がもう到着して、自分がずっと先まで走ってからスタートするのが横目で見えるのです。ちょうど、図の⑳の状態です。
その時にわかったのですが、答えは簡単、次の周回をパスすればよいのです。そして前走車が戻ってきたところでそのすぐ後につき直せばよいのです。
そうするとまた数周は前には追いつかず、後からは追いつかれずの状態で走ることができます。
数周に一回、周回をパスすることで、次のようなメリットが得られます。
①速く走らなければというプレッシャーから解放される。プレッシャーのために走りがぐしゃぐしゃになっていることが実際多いものです。
②全体の様子を把握し、さらに他の人の走りを観察することができます。
③疲れを軽減できます。上級に参加した当初は肉体的にも精神的にも物凄く疲れ、ぼろぼろになってしまいます。慣れている人と同じように走ろうとすること自体に無理があるのです。
このような一人旅状況は、以下のような条件の時に起こりやすくなります。
イ)参加人数が少ない。
ロ)他の参加者のスピードの差が小さい。
ハ)コースの距離が長い。
最後尾の人、本人は、なかなか状況がつかみにくいのですが、
)スタート地点に戻ったときには前の人が既にスタートしている。
)前の人に離され、前が大きく空いている。
)後の人、つまり先頭の人が追い付いてきていて、スタートを待っている。
ということがわかったら、一回パスすると良いでしょう。はわかりにくいのですが、とはすぐにわかります。前が大きく空いていたら、ちょっと後を振り向いてみるという余裕があると良いですね。
要点をまとめる次のようになります。
a)スタート時点で前の人がスタート待ちをしているときにはどんどん走る。走っているときに離されるのは気にせず、ていねいで精確な運転を!
b)スタート時点に戻ると既に前の人がスタートしているときには、前が大きく空いていないか、後ろが迫っていないか時々確認し、適宜、脇に寄って周回をパスする。そしてじっくり他の人の走りを観察する。
初めからそういう作戦を立てておけば、多少スピードが遅くても、全体への影響を最小限にしながら上級クラスを走ることができますし、気持ちの余裕があれば上達も速いと思います。私の場合は、上級に参加し始めてから半年位はこれを意識して走っていました。そのうちにスピードがついてきて、気にならなくなります。
尊大とも受け取れる内容で気が引けたのですが、不安を抱えながらも上級に挑戦してみたいという人のために参考になればと思い、あえて記事にしました。
現実問題として常連の方々とスピードに差がある以上、初心者としてこのようなコツを知った上で参加する事は全体の為にも自分の為にも重要だと思います。
車両出しの時から後方ポジションを狙うのは非常に有効でしょうね。先日、イントラさんの説明通り、ゆっくり周回しながら左側に出て最後尾に落ちようと努力しましたが皆様も逆に気をお遣いになるのか、「気にしないで下さいよ~」なんて、なかなか行ってもらえず・・。
車両出しの時には、車庫から出してすぐに脇に寄せて、スタンド出して待っていましょう。イントラさんに訊かれたら、「皆さんが出すのを待っているのです」と答えましょう。
周回しながらの順番入れ替えの時には、どうしても後に行きたいときには、後続車に合図をして左に寄せて止まってしまうとよいですよ。皆が止まってしまったらしょうがないですけど。
上級へとステップUPを試みてはいるものの、
みなさんにご迷惑かけているんじゃないかと、
内心ハラハラしています。
私の場合、速さはまだまだ中級の域ですが、
難易度の高いコース設定に挑戦したいというキモチがあって、
ずうずうしくも赤組で勉強させていただいています。
ロングコースはやっぱり千切られてしまいますが。。。
上級の皆様は紳士&淑女なので、
絶妙のタイミングでスタートしていただいてます。
ご迷惑をおかけしておりますが。。。。
今後ともよろしくお願いいたしますm(__)m
19日のコースをパイロンも倒さずしっかり走られていたので大したものだと思いました。上級に参加されて数回だと思いますが、この間の上達の速さに眼を剥きます。
淑女のご参加を心よりお待ちしています。
ついていけるか不安が大きくて一人で悩んでいたので
、こんな風に具体的に教えていただいて有り難いです。「とりあえず参加してみないと」とイントラさんにも言われたので、とりあえず怖々ですが、平日あたりからはじめようかな~・・・と。
ありがとうございました^^。
これもいつも言うことですが、「上級のレイアウトを走れるようになるためには上級で練習しなければならない」という観点が大切です。
頑張ってください!