いつもの事だが、まだ5時前。外も真っ暗。
女湯と男湯が逆転したので、夫と息子にも是非「星の湯」の絶景を堪能して欲しい。夜明けよ早く!と思うものの、中々明るくならない。
日の出が見えるだろうかと期待して窓の外を眺めていたが、徐々に明けていく空は、何だか雲が多め。昨日のような青空を期待していたが、残念ながら曇りだ。
羊蹄山が見えるけど、雲にかすみ気味。
夫と息子は8階の「星の湯」へ、私は地下の「月の湯」へ。食前の一風呂を浴びる。
朝食もバイキング。
7時5分前に会場の列に並び、マスク、殺菌、ビニテを付けて、皿を持っていざ!例の12凹皿に一口ずつ12種類。
朝もデザートがあったが、パスした。
フレンチトーストを私が食べていると、息子は気付けなかったらしく、場所を聞いてきた。私も昨日、夫に焼きエビの場所を聞いた。
「美味しい物みーつけた!」
こんなささやかな事を教え合うのも、バイキングの良さ楽しさなんだと思う。
子供達が小さい頃からバイキングに行く機会はあったが、バイキングの掟は彼らにしっかり説いてきた。
「お残しはゆるしまへんでー」
自分で取ってきたものは、決して遺してはならぬと。当たり前のことだが、常に自分のお腹と相談しながら食べられるのがバイキングの利点だ。
少食になった夫と私は、もう部屋食は無理だろうなと思う。半分は残してしまうと思うと、罪の意識にさいなまれそうだ。
その点、バイキングは少食の人にとっても良いシステムだ。
若い頃は、たくさん食べる目的で利用していたバイキングだが、年をとってからはお腹に合わせて少ないながらも多種類食べられる楽しみがある。
食後のコーヒーを二杯飲んで、バイキング会場を後にした。
部屋へ戻り際に早めの精算を済ませる。
部屋代などは予約の際に支払済。
入湯税一人300円、合計900円の支払いのみ精算。
部屋に戻ると、軽い疲労感が襲う。
そのまま布団に潜り込み少し眠る。息子も同じく、Zzzz…。
10時少し前、フロントに鍵を返却してホテルを出る。
とても良いホテルだったが、残念なことに段差が多い。お年寄りには不向きかも。
ホテルからさほど遠くない所に「壮瞥滝」があると知り、ちょっと見に行ってみようという事になった。
所要時間は車で10分ほどだった。
散策路の入り口に、近隣の幼稚園の園児がヤマメの稚魚を放流したことを、写真入の真新しい看板が伝えていた。
小さな川にかかった橋を渡ろうとすると、看板がもうひとつ。
“ヤマメは釣りで楽しむ魚であるから、網・タモなどで捕獲しないで”という注意書きだった。そういう不届き者がいるという事なのだな。
滝まで5分ほどの散策路は、道路下の広い谷間の様な場所だ。すぐ上を車が行き交っているのに、静かで神聖な感じがする。
滝をゆっくり見る為の、石で出来た円形のテーブルといすがあったが、すっかり苔むしていた。
11月も末だというのに、シダ類が大きな葉を広げ青々と繁茂しており、苔むした倒木もあり、なかなか雰囲気のある場所だ。息子がジュラシックパークのテーマを口ずさむ(笑)
「洞爺湖唯一の水の出口。落差18メートルの大瀑布」という触れ込みだったのだが…。
大瀑布はいずこに?滝の流れはチョロチョロだった。流れ落ちた水は、川床が岩盤状の川をなめるように流れて行く。
滝を見上げると、滝の頂上に岩があり四角い穴が見える。ん?滝の噴出口?人工物?
滝の側の祠にお参りしているおじさんに遭遇。私が祠について尋ねたのをきっかけに、色々話してくれた。
この壮瞥滝は人工的な滝であり、この時期は水の放水を止めていると言う事だった。(洞爺湖は冬季間に水位が低くなるので、放流時期は湖の水位が上がる4/20~11/20頃)
他にも、壮瞥町に松浦武四郎が来た話や周辺にコウモリが棲息していることなども伺った。
調べてみると、滝の側にある小さな祠は、地元の方が「瀧不動尊」と呼んでいるものだった。
確かに祠の中をのぞいたとき、剣を持ったお不動様が据えられていた。
壮瞥町では9月末頃には2日にわたり、「瀧不動尊例大祭」が行われているという。
1日目はカラオケ大会で賑わい、二日目は神輿の「壮瞥川の川渡り」や餅まきがあるそうだ。特に神輿の川渡りは瀧不動尊の祠まで、川底や岩場の難所を越えて練り歩いて行くのが最大の見どころらしい。
祠にお賽銭を入れ、家内安全を祈願し、ショボショボの壮瞥滝を後にして、帰路へ。
洞爺湖温泉三人旅(5)へつづく